『EVERY DENIM』が提案する、新しい消費の形とは?

EVERY DENIM 山脇耀平さん

全国を回り、各地で対面販売を行なうデニムブランド『EVERY DENIM』。

同ブランドを立ち上げたのは、山脇耀平さんと島田舜介さんは、2017年4月に経済誌『Forbes』が選ぶアジアを代表する30人の起業家にも選出。現在、注目を集めています。

ゲストハウスやイベントで対面販売をする独自のスタイルは「ものづくりの現場を発信したい」という想いをきっかけに生まれたそう。今年からは自らのキャラバンで全国各地を巡り移動型販売に注力する予定といいます。

今回はEVERY DENIMを手がける”デニム兄弟”の兄、山脇耀平さんに対面販売を始めたきっかけやブランドにかける想い、今後の展開についてお話を伺いました。

『EVERY DENIM』が対面販売にこだわる理由

——『EVERY DENIM』のブランドを立ち上げたきっかけ、対面販売を始めたきっかけを教えてください。

山脇:僕たちがデニムブランドを始めたきっかけは、弟が岡山の大学に進学しデニム工場の職人さんと出会ったことにあります。

ただ、当初からブランドをはじめたわけではなく、はじめは職人さん・経営者の方を取材し、情報発信をしていました。ものづくりの現場のおもしろさを、多くの人に伝えたいと考えていたからです。

デニムづくりと出会った当初、ネットで調べても工場の名前は出てこなかったですし、僕らにとってはとても閉ざされた世界のような感覚がありました。でも、やっていることは非常におもしろい。この面白さを「大学で横に座っている友達」のような人たちにうまく届けたいと考え情報発信をしていました。

ただ、次第に情報発信だけでは、デニム工場や業界の人にしか届かないと気づきます。そこで、身近な人にもデニム作りの現場の面白さをわかりやすく伝えるために、製品を企画して販売しようと思い立ったんです。

——とはいえ、いきなりブランドを立ち上げるのは簡単ではないのではないでしょうか。

山脇:おっしゃるとおりです。大学在学中に立ち上げたため、知名度ゼロからのスタート。いきなり店舗で取り扱ってもらうのも難しく、ECサイトも待っているだけでオーダーが来るほど簡単ではないだろうと考えました。そこでたどり着いたのが、対面販売です。

「実際に商品を手に取って、お客さんに見ていただける場所が必要だ」と考え、倉敷市にあるゲストハウスにお願いし、1日限定の販売イベントを開催。泊まりに来ているお客さんなどに対して、岡山の生産工場のこと、製品に込められた想いなどをしっかりとお話ししました。

その時に、「我々がやりたいプロダクトは対面販売と相性が良い」という感触を得て、今のスタイルが定着しました。

2017年4月からは移動販売を始め、ゲストハウスだけでなく飲食店などにも出かけます。実際に試着をしてもらい、裾上げなどのオーダーシートを記入し注文。岡山からデニムを発送する形をとっています。

——生産のストーリーと製品を、セットで届けたいという感覚なのですね。

山脇:そうですね。「長く愛着を持って使ってほしい」という思いが当初からあるため、対面で販売して想いと一緒にデニムを届けることは、とても大切だと考えています。

ストーリーがあることで、同価格の製品が並ぶ一般的なお店では出会うことのなかった人たちとも接することができる。

購入していただく方には、生産者の方たちと繋がっている感覚、自分で選んだ製品なんだという感覚をもってほしい。想いとともに販売することで「購入して本当によかった、だから友達にもすすめたい」という口コミが広がればいいなと思っています。

製品の想いに触れる体験と、自ら選択する消費

EVERY DENIM 山脇耀平さん2

EVERY DENIMを手がける”デニム兄弟”の兄、山脇耀平さん

——販売の感覚やマーケティングの考え方は、学生時代から培われてきたものなのですか?

山脇:今までの経験を振り返り導き出しているという感覚です。僕たち兄弟は、工場を見学させてもらったり、快くお話を聞かせてもらったり、生産者のみなさんにとてもよくしていただいています。製品企画をして販売を始める際にも協力的に動いていただいた恩もある。
そのため、デニム販売のビジネスをしっかりと成り立たせていきたいという想いを、常に持つことを大切にしています。「どうすれば今あるリソースで販売を行っていけるのか」と考えながら運営をしてきました。

販売の感覚は、お客さんと接する中で培われたとも言えます。移動販売にきてくださるお客さまは、すでにウェブサイトで製品の説明を読んでいただいている方も多い。ですから知識や機能を語るというより「ここで買う決め手」をつくる感覚で販売をしています。自分たちの過去・現在・未来、この先に何をやりたいのか、ということをお話しすることが多いですね。

——生産者の方の想いや背景を伝えることで、購入する方にとってどのような体験が生まれるのでしょうか。

山脇:大きく2つあります。ひとつは、「この人から今買いたい」と思える体験。もうひとつは製品を主体的に選んだ感覚です。

「この人から今買いたい」と思えることで言うと、世の中には「いいもの、いい人と出会ったら買いたい」という潜在的な購入ニーズのある製品が、多くある。一方で自分から探しに行くほどのモチベーションがあるわけではないものもある。

そういった感覚をもつお客さまに対して、思いや背景を伝えることで「この人から今買いたい」と思っていただけると考えています。デニムという製品は、日本でも世界的にも普及しており、人を選びません。その点は大きなチャンスだと考えています。

もうひとつの主体的に選んだ感覚も大切です。

先日友人が、ネットでとてもレビューの良いリュックを買いました。彼は実際に使ってみて、良い製品であることは理解しつつも「これはみんなが選んだモノで、俺が選んだモノじゃない」と言って使うのをやめていました。製品の購買においては、自分からすすんで選んだからこそ愛着が湧くという感覚があると思っています。

選んだ理由や意味づけは人それぞれでいいと思います。ただ長く愛着を持って使ってもらうには、どんな理由でも自分で選んだ感覚が必要なのかなと考えています。

ちいさな経済圏づくり。衣食に関わる身近で温かい時間を提案していきたい

EVERY DENIM 山脇耀平さん3

——今後『EVERY DENIM』は、どのように展開していく予定ですか?

山脇:お客さん同士の交流を生む、ちいさな経済圏が作れればなと考えています。我々のデニムはこれまで価値観の近い方々が購入してくださっています。ですから、デニム以外においても共有できる価値観がきっと存在する。ですから、デニム以外のモノの売買もできたり、一緒にテーブルを囲んで食事をしたり、衣食に関わる身近で暖かい時間を一緒に過ごしていく機会をさまざまな形で提供できればと考えています。

それは特定の地域に限らず、地方と東京を繋げる役割としても機能させていきたい。たとえば地域の野菜や魚、肉を東京に持ち帰って「こんな想いで作られている」と紹介することで、その地域に行くきっかけを作りたいなと。

自分のためだけではなく、販売者・生産者を応援する気持ちをもった消費を促していくことが大切だとおもっていて。それが、お金を出す側の満足度も高くなっていくと思うんです。

『EVERY DENIM』を履いていることが多面的な意味を持ち、人と人とをつなげることを目指したい。デニムを手に取って履いてもらってからが、僕らとの関係性の始まりだと思っているので。

EVERY DENIM

——これからはデニムにとどまらず、さまざまな商品を展開していく、ということでしょうか。

山脇:「楽しい消費の仕方、買い方や使い方、手放し方」をテーマに、さまざまな商品を提案していきたいです。

以前一度、デニムを購入していただいた方向けに、製造工程を巡るツアーを企画したんです。参加者からは「より愛着がわいた」という感想をいただき、生産現場の方からは「実際に使ってくれる人たちを知れたことで、より自分の仕事に誇りを持てた」とおっしゃっていただきました。このような形で、消費者・生産者、どちらにも火をつけたいなという想いがあります。

僕のゴールは「購入したことに納得感や誇りを持てる物を身に着けて、みんなでテーブルを囲んで食事をすること」です。いつもそのために動いているというか。東京でも地方でも、そういう場をたくさん作ることができたら、幸せだなと思います。

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