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健康診断における業務効率化のカギは予約と平準化【清水建設株式会社 | インタビュー】

健康診断の業務効率化と受診率アップのポイント」では、企業健診の業務負荷を軽減する支援システムや施策についてご紹介しました。

その一つ「健診日時の指定」は、事前の日程調整の負荷軽減が期待されます。しかし同時に業務の都合による突発的な予定の変更に伴い、健診会場に受診者が集中する時間帯が生まれるなど、新たな問題も発生します。
集中する・空き時間ができる時間帯が生まれると、受診する社員の待ち時間が長くなり業務に支障がでるだけでなく、現場担当者は効率的に業務を進めることができなくなります。

そこで健診日時を社員自らが選ぶ「予約制」にすることで、「システム化による空き枠の可視化、平準化により集中を回避」し、「業務上の都合による受診日の偏りを防ぐ」ための取り組みを行った、清水建設株式会社様(以下清水建設)に、業務課題と共にシステム化によってもたらされた効果についてお話しを伺いました。

平準化でバラつきをなくし、現場の効率化に取り組む

右から清水建設 人事部 企画グループ長 秋山氏、人事部 明崎氏、情報システム部 仲田氏

右から人事部 企画グループ長 秋山氏、明崎氏、情報システム部 仲田氏

年に1回行われる清水建設本社の健康診断の対象は40歳未満、その数は1500名を超えます(40歳以上は人間ドック)。そのため健診期間は7日~8日間にわたり、外部健診業者や健診会場の手配など、人事部にとって健康診断は一大イベントになると秋山氏は言います。

予約ラボ 『一度に1500人以上のスケジュール調整は大変な業務だと思います。健診日時の日程調整では具体的にどのような課題がありましたか?』

秋山氏 『これまで健診日時は人事部が指定して一斉にアナウンスをしていました。しかし建設現場に勤務している社員は、突発的な予定の変更も多く、受診日が変わるたびに、担当者が電話・メールで対応に追われていました。
結果的に、特定の時間帯に集中する、急に空き時間ができるなどの問題が発生していました。健診をスムーズに運営する立場として、受診者が事前に受診しやすい回を自分で予約することで、平準化し、非効率をなくせるのでは、と考えていました。』

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予約ラボ 『集中する時間帯の受診者を空いている時間帯に分散する健診業務の平準化を考えた時に、どのような仕組みづくりを考えましたか?』

秋山氏 『社員が自分の予定に合わせて健診日時を申し込むことができれば、集中を回避できるのでは?という発想から、健診予約のシステム化を考えました。病院だって予約システムがあるのだから、いつまでもアナログな対応ではなく、企業健診でも同じことができるだろうと。
そこで予約システムというキーワードで製品の検索や運用の検討をしました。いくつか精査したところで情報システム部に相談して、健診予約のシステム化へ向けて具体的な導入が始まりました。』

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空き枠を可視化し、受診者(社員)自身に希望受診日時を選択させ、その場で予約を確定するーーつまり予約のシステム化です。
また同時にシステム側で過剰供給(健診受け入れ枠以上の申し込み)を制御(防止)し、空き枠から予約が埋まり平準化されることで、担当者が本来の業務に専念でき、生産性の向上につながると考えられます。

社員が自分で日時調整を行えるようになったことが第一歩

健診日時の予約のシステム化により、予約の変更やキャンセルも社員自身で行えるようになったため、日程調整のやり取りが最小限に抑えられます。また、予約日時をメールで自動通知することで受診日忘れの防止にもつながります。 清水建設ではこのようなメリットを最大限活かすために入念な試用期間を経て運用を開始。運用スタート時には社内ホームページによる企業内健診の告知が行われました。

予約ラボ 『これまで書類とメールで告知してきた健診予約をシステム化することは初の試みになるわけですが、社内に混乱はありましたか?』

秋山氏 『特に大きな混乱はありませんでした。受診率に関しても元々100%でしたが、予約制にしたことで受診率が下がるという問題もまったくないですね。』

予約ラボ 『これまで人によるやり取りがシステム化されたことで、受診率へ影響するのでは?という考えもありますが、受診率への影響はなかったということですね。平準化に対する効果測定は難しいと思いますが、予約のシステム化による健診業務の平準化についての評価はいかがですか。』

秋山氏 『予約時間の単位をもう少し細かくするなど課題はありますが、導入後はある程度平準化されたと思います。
社員が希望日時を選び、自身で申し込みができる仕組み作りができたことは、まず一歩目として良かったと思います。
予約データやアンケートを元に、システム提供会社へ機能改修や運用提案などの相談をしながら、今年の課題を少しでも改善できればと考えています。』

清水建設では現場の健診担当者へのヒアリング、社員を対象にしたアンケートを行い、課題・効果を数値化し評価をします。さらに導入をした予約システムの予約データを出力し、内容を確認しながら分析をしているといいます。

需要(受診希望者)と供給(健診受け入れ提供数)のバランスを保つことは、実は予約管理において重要なテーマの一つです。
例えば健康診断の場合、1時間の枠に100名を受け入れる設定にしても、それが本当に適正な設定であるかの判断は困難だと考えます。なぜなら提供するサービス(健康診断)が無形性であるため、ECのように在庫管理をすることが難しいからです。
適正な提供枠を設定することは業種・用途の域を超え、効率化・売上アップのポイントになると考えます。

予約のシステム化は希望制のイベント受付で、より効果を実感できる


健康診断の日程調整をシステム化してから2か月後、清水建設では毎年1ヶ月間で約2000人が受けるインフルエンザ予防接種の予約もシステム化を行いました。

予約ラボ 『企業健診に続き予防接種の予約をシステム化したことにはどのような背景があったのでしょうか?また需要量や提供期間が決まっている中で、受け入れ可能人数や所要時間を考えながら供給量を調整していくことは難しいですよね。』

明崎氏 『予防接種はこれまで希望制で行っていました。社内に一斉に告知を行い、接種希望者から日程の要望を受けていました。
今回、予約をシステム化したことで、人事部が日程調整を行う必要がなくなり、スケジュール管理は今までの方法より楽になりましたね。
医師の人数にもよりますが、予約枠の設定は1日何本と割り切って決めました。もともと予防接種はそれほど緊急性が高いものではないので、計画的に行うことが大切だと考えます。』

通常の診療を行いながらインフルエンザ予防接種の提供を行うには、健康診断と同じように受付枠の設定を行わなければいけません。この設定が適正な人数以上であれば待ち時間が発生し、逆に少なすぎると1日の提供数も減ってしまいます。
もともと希望制で予約日を受け付けていた予防接種では、予約システムの持つ、効率化という特性が大きく貢献したと考えられます。

情報システム部の新しい役割は「見つけること」

予約ラボ 『今回の健康診断・予防接種の予約システム化では、外部企業が提供するクラウド型の予約システムを採用されましたが、内製によるシステム開発が可能な環境がありながら、なぜクラウドサービスを利用したのでしょうか。』

仲田氏 『今回のシステム導入は人事部がある程度システムの目星をつけてから相談されました。
情報システム部では、より良い仕組みづくりを求めて、常に各部署の担当者と相談しています。仕組みづくりという点では、やはり人事部と話す機会は自然に多くなりますね。
これまでも社内システムのみでなく外部のクラウドシステムも運用していたので、要件にあっていれば内製にするかクラウドサービスにするかはあまり問題ではありません。
昔は情報システム部がシステムを作っていましたが、今はスピードも重要です。今までは「聞いて作る」でしたが、これからは「聞いて見つける」ということも情報システム部には必要になっているのかなと思っています。』

外部システムを利用するか?内製によるシステム開発か? システム化による費用対効果を出すことは簡単ではありませんが、スピードと効率を考慮する上では、導入期間の短縮や運用する中で見つかる課題を改善しながら進めるという選択肢は一つのポイントになります。

ある企業では健診日時を社員の希望制から、今回のようなシステムによる予約制にすることにより、1人月分の作業が軽減されたという報告があります。
企業の人事担当者や総務担当者にとって健康診断の日程調整をシステム化することは、課題を深堀し効率化を紐解くという点でメリットは大きいのではないでしょうか。

清水建設株式会社

清水建設ロゴ

幅広い事業分野を手掛ける清水建設は、建設業界でいち早く設計組織や研究所を設けるなど、経営面でも常に時代の先がけとして注目されています。企業倫理行動規範に「人を大切にする企業の実現」とあるように、1万人を超える従業員一人一人の手厚い健康管理を徹底しています。
同社では健診・ストレスチェックなど法令義務だけではなく、新入社員に対してのフォローも徹底しています。 新入社員は環境の大幅な変化により心身に不調をきたすリスクが高いため、入社時に産業医・臨床心理士の講話で健康保持の意義について意識を徹底などの取り組みを行っており、入社後3年以内の離職率には低下傾向が見られます。

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