予約ラボは、「予約の知見」で「サービスの現場」を科学し、そこに眠る価値を発見・共創していく、日本で唯一の予約研究機関です。

秘境、島、清流。人をつないで、地域を開く!!

日高村

こんにちは、西村拓也と申します。現在、フリーランスで地域のコーディネーターやメディアの立上げ、川越でゲストハウスの立上げ等をやっております。

地域創生が叫ばれる中で、着実に動いている地域が日本国内には多数あります。
すでに知名度の高いものや成功事例として扱われるもの、残念ながら成功とは言えなかったもの、新しく動き出しているもの。その中で今回は、私自身が主体的に関わっていたり友人が関わっている地域のうち、まさに動き始めている地域を3つご紹介致します。

長野県最南端の秘境 遠山郷

旧木沢小学校

地域の交流拠点として残る昭和7年建設の旧木沢小学校。

長野県最南端の秘境、遠山郷(とおやまごう)。長野県飯田市に属していますが、周囲を山に囲まれており、飯田市街地に出るためにも山を越えていかなければなりません。

そこには豊かな自然や数々の文化的な資産が残されています。日本の里100選に選ばれ日本のチロルとも言われる「下栗の里」。昭和七年に建てられ、地域の交流拠点として残る「旧木沢小学校」。国の重要無形民俗文化財に指定されている「霜月祭り」。

そのほかにも魅力は数多くありますが、多くの地域と同じようにそれが外部に効果的に伝わっていなかったり、地域の担い手が不足する等の問題があります。
そのような中で、今、遠山郷は動いています。

※遠山郷観光協会 http://tohyamago.com/

山に囲まれたゲストハウスを作りたい

現在、飯田市の遠山郷地区地域おこし協力隊として着任している水戸幸恵さん。彼女は2017年12月から遠山郷に移り住み、移住・定住促進、遠山郷の暮らしの魅力発信、そして宿泊施設の立ち上げを行なっています。

水戸さんのご出身は、千葉県船橋市、就職後は東京に暮らしていました。働きながら様々な経験をしてく中で、いつかは山に囲まれたゲストハウスを運営しながら、豊かに暮らしていきたいと考えていたそうです。その夢に向けて、創業スクールに通う等、知見を深めながら、仲間も増やしていきました。

そして、ゲストハウスを作るための物件を探している時、地域おこし協力隊の前任者である光田さんをご紹介されたのがご縁で遠山郷に興味を持ったそうです。実際に遠山郷を訪れるうちにその魅力に惚れ込み、ここでゲストハウスを開業することに決める至りました。

諏訪大社で鎌倉時代から続く、御射山祭(みさやままつり)

暮らし体験型のシェアハウスで、ワカモノと地域をつなぐ!

時期を同じくして、ワカモノたちによる動きが活発化してきています。
その一つが「山暮らしカンパニー」による「COM(M)PASS HOUSE」プロジェクトです。
「山暮らしカンパニー」はUIターンや通っている人など、遠山郷が大好きな様々な立場の方々が集まって、2016年に発足しています。代表の高橋さんは2008年から積極的に遠山郷に関わり始め、その魅力にすっかりはまってしまったそうです。
そして、
①まずは自分たちが、遠山郷の暮らしを思いっきり楽しみ、ワクワク心を躍らせていること。
②様々な体験を通して自分たちのワクワクを伝え、他のヒトに連鎖させていくこと。
この二つを継続していくために拠点を築くことを決意します。
それが「COM(M)PASS HOUSE」です。メンバーだけではなく、拠点に関わる人皆で秘境の暮らしを思いっきり楽しむための家です。
クラウドファンディングも大成功で、多くの方から賛同されているプロジェクトです。

暮らしをつくり、届ける。暮らし体験型シェアハウス。

期せずして、同タイミングで拠点作りが動き出しています。
これはこれまでの遠山郷での様々な人々の活動から流れが出てきており、決して偶然だけではないと思います。
複数の拠点、多くの賛同者を作りながら地域の良さを残してどう動いていくのか。期待が高まります。

日本のチロルと称される「下栗の里」

素材だらけの島 奥尻島

北海道の南西部に浮かぶ島、奥尻島(おくしりとう)。

澄み渡る奥尻島の海は「オクシリブルー」と呼ばれている

ウニやアワビといった海の幸、温泉、奥尻ブルーといわれるきれいな海、周囲を見渡せる山々、ワイナリーに地熱発電。車で一周2時間弱の島には魅力ある素材があふれています。

名前を聞いて、思い出されるのは、1993年の北海道南西沖地震かもしれません。現在は、津波や火災の被害に対して、「完全復興宣言」もなされ、さらに豊かな島へと変化しています。

上陸手段は主に二つ、対岸の江差町、せたな町からのフェリー、2航路。函館空港からのJAL。東京からだと、北海道の島というだけでとても遠いイメージがありますが、羽田空港から一回乗り継げば到着します。実際、羽田空港からの総フライト時間は2時間ほどです。

※奥尻島観光協会 http://unimaru.com/

あふれる素材を活用し尽くすために、人々が動き出す!

島の課題解決やありたい島の姿に向けて、島の人々は積極的に動いています。

若手が集まり、島の自然を活用したアクティビティを作っていく試みもしています。冬季はすぐにアクセスできる山の森林地帯をスノーシューで巡るツアーやスノーモービルを活用したアクティビティ等を考えています。夏季は美しい海を利用したダイビングやSUPなどを島内で気軽に体験できる仕組みづくりを考えています。商業施設が少ないことを解決するために、漁業組合の青年部を中心にマルシェの様に島民や観光客に販売する試みも少しづつですが始まってきました。

新たに島に移住し、温泉を伴うゲストハウスを立ち上げる動きも出てきています。環境を活かした様々なアクティビティメニューを提供しながら、島の良さを味わってもらおうという試みです。

また、2017年10月に行われた、国交省の事業である「しまっちんぐ」ではありたい島の姿を問い直し、「素材だらけの島 オクシリーランド」と銘打って、プロジェクトを実現するために必要な知識技術等を東京など島外の企業や人を結び付け、解決しようとしています。

島外からの支援だけではなく、島内で自走するプロジェクトがいくつも同時多発的に起こっています。

しまっちんぐの様子。島の人々で、ありたい島の姿を議論中!


 

クラウドファンディングで130%超え!島外遠征費を自ら調達。

奥尻高校は島内唯一の高校です。2016年に町立に移管しています。それに伴いさらに魅力あるカリキュラムや制度づくりを進め、島内島外から積極的に生徒を集めています。例えば、スクーバダイビングや奥尻パブリッシングといった地域と関わり、地域の課題を解決するための授業です。

そして2017年、生徒達主体によるクラウドファンディングが立ち上がりました。目的は部活動の島外への遠征費を稼ぐこと。フェリー等を使って移動するので、試合をしに行くだけで1人16,000円以上という少なくない費用がかかります。人数が少ない中で金銭的理由により遠征にいけない生徒もいます。そうした島ならではの課題を解決するため、生徒自身がデザインしたTシャツを返礼品としてクラウドファンディングによる支援を募りました。設定金額120万円に対して、160万円近くの支援金が集まりました。大成功です。

函館空港-奥尻空港の空路は、片道約30分。

島の課題を解決し、さらに良い地域にしていく動きが自発的かつ自走可能な形で生まれてきています。奥尻島の素材がますます活かされていくはずです!

清流仁淀川を抱く 日高村

高知県のほぼ中央に位置し、5年連続で日本一の透明度に輝いた清流仁淀川(によどがわ)が村の北部を流れる日高村(ひだかむら)。

日高村北部を流れる清流仁淀川(によどがわ)

「シュガートマト」を始めとした農業が盛んです。夏は澄み渡る川を活かしたアクティビティも楽しめ、最近では「シュガートマト」を活用した地域活性化企画”オムライス街道”もTV等で放映され全国から観光客が訪れるようになって来ました。

※日高村役場 https://www.vill.hidaka.kochi.jp/kankou/

きっかけはボランティア。都会と地域をつないでいく。

現在、東京と高知の2拠点で活動している小野かおりさんを中心に、地域の活性化や雇用の促進を目指した拠点を作ろうという企画が動き始めています。彼女はボランティアの一環で日高村を訪れました。その時に出会った村民、そして仁淀川や素朴な暮らしに魅力を感じ、何度も通うようになったそうです。知れば知るほど、「人も自然ものびのび生きている日高村。こういう村にもっと人が来てほしい。特に自分と同じように都会で窮屈さを感じている人に、心も体ものびのびしてもらいたい。よし、気軽に来れる拠点をつくろう。」と考え、地元の協力を得ながら、それをプラン化。そして高知県が主催するビジネスコンテストに参加し、その後ご縁をもらい日高村に正式に関わることになり現在に至ります。

日高村

村民と東京のシェフが美味しいトマトについて語り合う

拠点となるのは、小村神社駅から徒歩5秒の日高村の入り口となる場所。目の前には、土佐二宮である小村神社が鎮座します。免許や車がない県外の人や、大学生なども気軽に来られて、地元の誰もが集まれるゲストハウスをつくる。また、地元の雇用創出も目的としており、地元のばあちゃんや子育て中の母親、障害を持つ人など、できる人ができることをやるという理念のもと柔軟に運営していく予定とのこと。ゲストハウスから徒歩510分で清流仁淀川を眺められるし、家族が安全に泳げる場所もある。さらに奥に行くと昔から変わらない素朴で穏やかな暮らしをしている集落群が広がります。まるで昔にタイムスリップできる入り口にあるゲストハウスです。

また、建築士やデザイナー、プランナーの肩書きを持つ東京の仲間たちと企画設計することで、プロジェクトの初期段階から「田舎と都会の交流を通したものづくり」を意識したプロジェクト推進になっているそうです。

今尚懐かしい風景が残る土讃(どさん)線最古の日下(くさか)駅

閉鎖的な集落で、みんなの気持ちをほぐす試みを。

小野さんの動きに関心をもった東京などの社会人も続々と関わり始めています。その仲間たちと、この夏、村民と地域外の方が交流する宿泊スペースを期間限定で実施する予定だそうです。そのような場所を作ることで、限界集落に住む村民の心をほぐす。そして集落での暮らしを通じて、来村者も心と体がほぐされる。そういう両者の気持ちをほぐすきっかけとなる”POP UP INN @日高村を、20187月にオープン予定です。

ゲストハウスに先駆けて、集落の空き地を使い実験的に宿泊所を運営することで、村民や役場の皆さんに理解してもらい、よりよい協力関係を構築することを目指しています。

仁淀川(によどがわ)の恩恵を受けて暮らす宮ノ谷集落

「まずは少しずつ。とりあえずやってみる精神で。日高村ならではの集落活性化モデルケースを作り出し、村に、社会に貢献していきたいですね。」と語る小野さん。この夏の日高村が楽しみです!

まとめ

今回なぜこの地域なの?と聞かれれば、自分が行ったことがあったり、自分がよく知っている人が関わっているということにつきます。全国各地で地域の魅力を活かして、様々な発信や集客、企画が立ち上がってきていますが、結局のところどれだけ人が繋がっているかということに尽きると思います。

魅力を誰にどうやって伝えるかという情報だけでなく、発信者は誰でどういった人なのか、友達になれるのか、関わりを持っていけるのか。最近よく聞く「関係人口」を増やすということと似てるかもしれません。これが上手くいっている地域には内部の人と外部の人を上手につなぐ、仕組みや人がいるところが多いように思います。

今回ご紹介した地域はそういった仕組みがある場所です。
是非、実際に訪れ、人と接して、その魅力を体感してみてください!!


文・写真:西村拓也
川越ゲストハウスPJちゃぶだい開業準備中。大手通信会社勤務を経て、街づくりへの参画、講義のキュレーション、地域コーディネーター、スタンドでの珈琲の提供、Webメディアの立上げ等、場に関わる様々なことを実践しながら動いている。
※写真は一部、友人からの提供物あり

編集:星野陽介

この記事の著者、最近書いた記事

西村拓也

川越ゲストハウスPJちゃぶだい開業準備中。大手通信会社勤務を経て、街づくりへの参画、講義のキュレーション、地域コーディネーター、スタンドでの珈琲の提供、Webメディアの立上げ等、場に関わる様々なことを実践しながら動いている。

カテゴリから探す

予約ラボについて