星野リゾートの旅館・ホテル運営に学ぶ「予約のしやすさ」へのこだわりと、予約数&顧客満足度アップのための工夫。

予約サイトのご担当者さま、ご自身で予約しにくかった経験はありませんか?

旅行サイトや病院のホームページを見て、いざ予約や申込をしようとしても、時間帯によって電話がかけられなかったり、サイトの遷移やシステム、料金プランなどが複雑で、手続を途中で断念したことはありませんか?

例えば、わたしが以前体験したゴルフスクールでは、営業時間外で電話がかけられなかったり、先日は、健康診断の日時を決めるために、健保の提携クリニックに電話した(WEB予約の用意はなかった)ところ、「混み合っているためつながりません」の自動応答。その数分後に、再度電話したところ、ちょうど受付終了の18時をまたいでしまったため、結局その日に予約ができないという経験をしました。

星野リゾートが「予約のしやすさ」に、徹底的にこだわるワケ。

一方で、WEBサイトからのアクセス、コンタクトのしやすさ、予約のしやすさに徹底的にこだわっているのが、旅館・ホテル運営で有名な星野リゾート様。

その星野リゾート様を、日経BP社が2年間かけて各施設を取材して書き上げた『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』(中沢康彦著、2010年)という本の56ページに、

  • 「予約しやすさ」で他社と差別化する コモディティ化した市場で勝つ

という章がございました。

この「予約しやすさ」を重視する戦略は、米国の経営コンサルタントフレッド・クロフォードとライアン・マシューズが書いた『The Myth of Excellence: Why Great Companies Never Try to Be the Best at Everything』の中にある、「製品やサービスの質に差がなくなったとき、お客さまは買いやすい会社、手間をかけずに安全に早く欲しいものが手に入る会社を選ぶ」という記述に、星野佳路(ほしのよしはる)社長が感銘を受けたことに由来しています。

「お客さまにとっての理想は、泊まりたい施設の希望する部屋を瞬時に予約できること。その実現に向けてアクセスを良くすることが競争力になると確信している。」

とは星野社長の言葉で、その徹底した顧客志向と、運営へのこだわりが面白く、ホテルや旅館業以外の「予約」に携わる皆様にも、ご興味を持って頂けるかと思い、その内容についてのシェアと、私自身の体験談や、他業界との比較、私なりの考察を織りまぜながら記述させていただきました。

予約の二台窓口である「電話」と「ウェブ」の受付を徹底改善。

この本では、星野リゾートグループ内の予約業務改革による二つの成果事例が挙げられています。

  • 1,予約業務を予約センターに移した結果、お客さまの利便性が高まり、予約件数が増加しているだけでなく、顧客満足度の向上に結びついている。
    -ウトコ
  • 2,予約電話の受付時間を、1組あたり1分短縮
    -リゾナーレ

この成果を出すための星野リゾートの取り組みを「電話」と「ウェブ」に分けて、ご紹介いたします。

A,電話予約の受付業務を改善。
取材当時、月10,000件つまり、1日約333件の電話予約がある星野リゾートの課題とその解決策が下記となります。

■課題1
「旅館・ホテルを経営する会社では、施設ごとに専門の電話予約受付スタッフを置くケースが多い」が、「予約スタッフの待ち時間が長く、非効率」だった。
→解決策:「星野リゾートは、各施設ごとにフロントや客室清掃など複数の仕事を兼務することによって業務効率を上げてきた」。

■課題2
ところが、この運用だと、高知県室戸市のウトコでは、予約業務が「どうしても片手間になりがちで、ときにはお客様からの問合せに対して、スタッフが迅速な対応ができないこともあった」
→解決策2:沖縄県那覇市にコールセンターとして「統合予約センター」を新設し、電話予約を一括受付することにした。
また「宿泊を希望するお客さまの質問にすぐに答えられるように、常に最新情報が分かる仕組みをつくっている」

ここでわたしが着目したポイントは、太字の箇所です。

筆者にご相談をくださるお客さまも、予約業務だけを専任でやっているというよりも、他の業務との兼任で担当されているケースが非常に多いです。
そのため、星野リゾート様と同様に、本来サービスとして重視されるべきファーストコンタクトの対応がおろそかになってしまったり、むしろ整体、カイロ、整骨、鍼灸、治療院などを少人数で運営されている場合、電話に出られないことすら起こっていると伺っています。

そんな問題に対して、予約管理システムを導入することで、そもそもの電話予約の一部をWEB予約に移行したり、電話がかかってくる場合も、事前に空き状況やメニューをWEB上で確認しているために「予約がスムーズになった」という声を伺っています。
実際、2014年3月に弊社で行ったアンケート調査では「システム導入して得られた具体的な効果」として54.3%のお客さまが「電話対応負荷の軽減」と回答しています。

B,「予約ページの使いやすさ」と「サイト訪問者の予約率を高める」改善。
いざ予約しようとしても、予約の仕方が分からないサイトや、ホームページから予約ページへのリンク箇所が分からないページがよくありますが、星野リゾート様ではこの部分のPDCAを徹底的に回されています。

■予約ページの使いやすさをチェックするために、外部の専門会社を使い調査を実施
お客様が予約ページを見るとき、「画面のどこを見るか」をアイトラッキング(視線追跡)で測定する

■使いやすさだけでなく、サイトを訪れた人が実際に予約してくれる確率を高める改善も実施。
・画面のどんな点に着目したのか
・注目した点が予約につながったのか
・予約してもらえなかった場合、その理由はなぜか
→「ホームページ内の予約ボタンの置き方や写真の使い方を変えるだけで、宿泊予約の件数は大きく変わる

■100項目のチェックポイントを設定し、サイト作りに生かしている。
ex>旅館やホテルの写真をサイトに掲載するときには、「イメージカット」ではなく、実際の施設の内容をできるだけ具体的に伝える写真を選ぶ

注目したいのは、やはりお客さまをもてなす予約サイトを常に改善され、予約数、売上アップにつなげられている点です。
星野リゾート様のように外部の専門会社に依頼しなくても、無料で提供されている、Googleアナリティクスやヒートマップツールなどを使うことで、予約サイトの状態を把握し、予約ボタンの配置や、興味を持ってもらうためにキーとなる掲載写真の改善に、取り組まれてみてはいかがでしょうか。

参考文献
星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』 – 2010/4/15 中沢 康彦(著)

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星野 陽介

予約ラボ所長。2012年に(株)リザーブリンクに入社し、3000件以上の予約管理の課題解決に関わる。国内最大規模のクラウド型予約システムであるChoiceRESERVE事業部責任者を経て、2018年より予約ラボ所長として、利用者と事業者双方の視点で「予約の知見」と「サービスの現場」を研究・発信中(twitter)。旅、料理、野球が好き。1985年浦和育ち・世田谷在住。「予約」と「サービス・マーケティング」の専門性を活かした顧問サービスのご相談や、予約ラボに関わってみたい!という方、お気軽にお問合せください。

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