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ネット予約導入で売上が2倍!?星野リゾート トマムのアクティビティ戦略とは?

ビジネス

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2015.12.16 2023.12.16
Ogino Keiko

「予約」を通して皆様のビジネスのお手伝いできることや、お客様とのつながりを作るきっかけを、毎日考えています!

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出典:

雲海テラスの運航により夏の集客が安定し、通年型ファミリーリゾートとして成功を納める星野リゾート トマム。その星野リゾート トマムが新たな夏の集客として注目をするのがアクティビティです。アクティビティは自社で開発したプログラム以外にも、アクティビティを提供する地元の催行会社と契約し、宿泊客に紹介・送客をしています。

これまで主に電話やフロントで受けていたアクティビティ予約でしたが、2015年夏、同社が窓口となり、契約会社にネット予約システムが導入されました。そこで株式会社星野リゾート トマム アクティビティー ディレクター 平井裕司氏に同社におけるアクティビティの位置づけとネット予約システム導入の経緯を伺いました。

注目したいポイント!
「トマムでしかできない家族の思い出づくりを提供していくことで顧客満足を高める」
「お客様を思い、導入したネット予約システムでアクティビティ契約会社の売上が2倍」
「大事なことは滞在してくださるお客様にどう楽しんでいただけるか、アクティビティの総合代理店となりたい」

雲海テラスの後にお客様に楽しんでいただけるものを提供したい

雲海テラス

おかげさまで、雲海テラスは昨年で累計来場者数が50万人を超えて、ゴンドラの乗降者人数が冬の稼働時期を超えるほど、ご好評をいただいてます。
雲海テラスは、雲海発生確率が30〜40%なので、基本的に連泊していただければ、見られる確率が上がると考えています。ただ、夏の北海道って、どうしても周遊観光なんですよね。富良野行って、動物園行って、札幌行って帰るとか。そんな中で、お客様に2泊していただくのはすごい難しいんです。

だから次の課題は雲海テラスの後に、お客様にどう楽しんでいただくか。顧客満足度調査をしたところ「雲海テラスを見た後、何もすることがない」っていうコメントがすごく多かったんですよ。そこで挙げた目標が「何かをさせること」。とりあえず無料でも有料でもなんでもいいからやりました。それがアクティビティです。すると、本当に「何もすることがない」というコメントが消えました。

そうなると次は満足度ですよ。やっぱり「トマムでこれをして楽しかった!」と、思っていただくことが次の課題でした。

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そういった意味ではラフティング。ラフティングはまさに「トマムでラフティングした」って思っていただけるアクティビティです。私も何度も行っていますが、行ったら絶対楽しいですから。
極端な言い方をすると、クリックした時点で満足度は保証されているぐらい。トマム周辺には、日本三大激流にも数えられる鵡川があります。鵡川はラフティングの聖地とも言われるぐらいで、北海道で一番高低差があるラフティングを体験できます。
それと空知川。空知川では、なんと3歳のお子様からご年配の方までラフティングを楽しむことができて、家族の夏の思い出づくりに最適なんですよ。

いざアクティビティを始めると生まれる新たな課題

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スタッフやアクティビティで契約している会社と試行錯誤をしたことで、アクティビティも順調に伸びていきました。
ところが、ここでまた一つ問題が出てきます。7、8月になるとアクティビティの受付がラフティングの出発を待つお客様でぱんぱんになるんです。
そんな状況で受付をしながら、スタッフは、翌日以降に宿泊されるお客様のアクティビティ予約を受け付けたり、契約会社さんに空き枠の確認の電話対応もしていくわけです。目の前にはラフティングのお客様が待っていて、電話で予約受付しているお客様にも「少々お待ちください」。どちらのお客様にも本当に申し訳ない思いでいっぱいでした。

また、私たちは24時間、お電話でもフロントでもお客様のご対応をしてますが、アクティビティを提供している契約会社は違いますよね。彼らは17、8時には電話対応が終わったり、電話番、兼ラフティングガイドさんなので、電話を常に取れるわけでもありません。そうなるとこちらも空き状況が分からず、お互い利便性が悪い状態になってしまいました。

予約システムを導入後、アクティビティの売上が2倍になった

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そこで、今年の夏からアクティビティのネット予約を始めました。アクティビティの受付をスムーズにするということで、導入したネット予約システムでした。
いざ始めてみると、今までこれだけ予約を取りこぼしていたのかってぐらい予約が入るようになりました。特にラフティングのシーズン前である5月から予約が入ることは今までなかったので。
ネット予約システムを導入していただいた契約会社さんは、全社で200%売上が上がりました。

実は1社だけ予約システムを導入されない会社もあったのですが、こちらは前年比100%。売上という面だけでもスゴイ如実に差が現れましたね。われわれも予約システムを見ながら、空き枠があるところから予約を入れていくから、導入しているところからどんどん予約が埋まっていくわけです。

今度、契約会社さんを集めて、今シーズンの振り返りをするのですが、アクティビティはまだ伸びるから、多くのお客様に楽しんでいただけるよう、ラフティングボート一艇でも多く買ってくださいとお話しする予定です(笑)。

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星野リゾート トマムと共に長年アクティビティを提供する契約会社、リトルトリー代表 大野氏

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アクティビティ提供中は電話に出ることがでず、また夕方になると翌日の予約が埋まってしまうため、せっかく予約電話をいただいてもお断りの対応に代わります。これらはお客様にも私も大きな負担になっていました。
大手である星野リゾート トマムさんが導入することで、私たちも予約システムを利用できることは本当にありがたいです。おかげでこの夏だけでも5000件近くの予約を受け付けることができました。※大野様の詳しいインタビューは「星野リゾート トマムで人気のアクティビティを提供するリトルトリー大野社長にお話を伺いました!」に掲載中。

アクティビティコンシェルジュになり、楽しい体験を提供したい

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私たちの主たる事業は宿泊事業なので、大事なことは滞在してくださるお客様にどう楽しんでいただけるかです。自社のスタッフがラフティングボートを漕ぐのではなく、アクティビティのコンシェルジュにならないといけないと思っています。
別に契約会社さんの空き枠を支配したいわけではないんです。枠を把握することで、お客様をスムーズにご案内することができる。

ネット予約システムを契約会社さんに入れていただくことで、星野リゾート トマム以外からの予約も管理できるようになります。われわれのレジを通らなくても全然それでいいと思います。われわれと一緒にやっていただくことで「予約が入る」というアドバンテージと安心につなげていければ、うれしいです。
そういう意味ではアクティビティの総合代理店という事をやりたいですね。トマムで楽しい体験ができて、リピートしてくださることはもちろんですが、なによりお客様に「この間のホテルのお兄さんが紹介してくれたラフティングが面白かった。」と、言っていただけた時は、本当にうれしかったですね。

だから、われわれは契約会社さんのアクティビティのことをもっと勉強しないといけないと考えています。まだまだお客様に提供しきれていないトマムでしかできない楽しい体験をどんどん開発していきたいです。

取材者からの「ここだけの話」
実際に星野リゾート トマムに宿泊をしたところ、ファミリーリゾートとしてアクティビティが重要な位置づけであることを改めて体感しました。契約する催行会社と理念を共有することで提供される「感動体験」は、リピートや連泊という、両社にとって新たなメリットを生み出しています。

株式会社星野リゾート トマム

tomamu_logo
北海道のほぼ中央、占冠村にある約1000haの広大な敷地では、ホテル「ザ・タワー」「リゾナーレ トマム」、スキー場、氷の街アイスビレッジ、ミナミナビーチ、夏の雲海テラスをはじめとした通年型複合リゾート。
株式会社星野リゾート トマム

OginoKeiko

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