高島屋が推進する百貨店の業務効率化と、次世代小売りオペレーションとは?

予約ラボ

業務量が多く時間に追われていたり、集客率が不安定な時に、店舗業務をもっと効率よく行えたら、と思ったことはありませんか。

業務の効率化や、オペレーション改善をすることで、提供できるサービスの質が上がり、顧客の満足度も向上したり、予約率の増加や来店にも繋げる。

一方で、どのように改善したら良いのか、本当に自社でも取り入れられるのかと、不安に思うところもあるかもしれません。

この記事では、百貨店が推進する業務効率化や、ストアコンシェルジュ・セールススペシャリストなどの導入事例から、「次世代の小売りオペレーション」に焦点を当て、予約率の向上や、来店につながる施策を紹介していきます。

1.百貨店の店舗業務効率化の狙いとは?

1-1.業務改革を始めた理由

百貨店は、数多くの商品を一つの店舗で扱っている、大規模な小売り店舗です。長い歴史と伝統があり、時代の変化と共にさまざまな進化を遂げてきました。そんな百貨店の多くが現在、店舗業務の効率化に注目し、様々な施策を取り入れているようです。

日本百貨店協会によると、2018年の全国百貨店売上高は、既存店ベースで5兆8,870億円。
前年比0.8%減で、2年ぶりにマイナスに転じたものの、訪日旅行客のインバウンド消費は好調で、購買客数28.6%増、売上高25.8%増となり、過去最高を記録しました。

近年は、インバウンドや高額品を中心に、堅調な推移を続ける百貨店ですが、1991年に9兆円超を記録して以降、約4割も減少し、従業員数もピーク時の約14万人から半減しています。

最盛期の輝きを取り戻すべく、百貨店は成長戦略として、業務改革に取り組み始めています。店舗業務の効率化を進めることで、本来の業務である「接客」に時間を投資する目的が、業務改革の理由であると考えられます。

1-2.効率化するべき店舗業務とは?

百貨店は、接客時間を確保することで、サービスの質を向上させ、顧客の満足度を高めることを最大の目的として、業務改革を進めています。
その施策の一つである、IT技術の導入。
例を踏まえながら、IT技術を導入した各百貨店の取り組みを紹介していきます。

東急百貨店

東急百貨店では、訪日旅行客へのサービス向上と新たな店舗運営モデルの確立を目指し、モバイルPOSの導入や店舗業務の標準化・効率化に取り組んでいます。

訪日旅行客への対応強化の施策としては、動画撮影で顧客の目線調査を行い、モバイルPOSを適正に配置しました。その結果、顧客に不安を抱かせないクレジットカードの面前決済を実現しています。

また、全体の業務フローを検証し、非効率な業務やフローを改善することで、顧客サービスと収益の向上に役立てています。モデル店舗の業務を可視化し、店舗運営モデルの確立に向けた施策に取り組み、手ごたえを感じているようです。

J・フロントリテイリング(大丸松坂屋)

大丸松坂屋を傘下に持つ、J・フロントリテイリングは、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を導入し、今まで手作業で処理していた伝票入力業務を自動化しました。

従業員の税務申告など45業務を、同システムを使って自動化した結果、年間業務量を4300時間削減できる見込みです。

今後も傘下の百貨店にて、請求書の伝票入力などの事務作業にも同システムを導入し、早期にグループで計90業務を自動化することを目標にしています。

近鉄百貨店

近鉄百貨店では、ギフトセンターの受注業務で、処理能力と顧客満足度の向上を図るため、対面受注システムを導入しました。

同システムを利用することで、手作業で行っていた伝票記入の時間を短縮し、システムに入力した時点で瞬時に、顧客の注文が商品担当部門に配送データとして届きます。

IT技術を活用した取り組みから、店舗業務を効率化しながらも、「接客」に力を入れたいという、百貨店の意図を推測することができますね。

百貨店の取り扱う商品は、量販店と比べて高級感があり、質が良いというイメージがあるかと思います。さらに、きめ細やかなサービスを長年続けてきたからこそ、「百貨店」という信用があり、ブランドとして確立されています。
これらの強みを生かすためにも、店舗業務の効率化を推進することは必須だといえるのではないでしょうか。

2.高島屋グループが考える次世代小売りオペレーションとは?

2-1.高島屋グループのIT化戦略

高島屋グループは、IT化戦略として3つのオペレーション改革を行ってきました。

第一に、店舗全体のネットワークインフラへ取り組みました。
POSデータ、業務データ、クレジットデータなど、さまざまなデータはネットワークを介して行う業務フローに改善。
ネットワークサービスを統一することで、システムの安定稼働が可能となり、ネットワーク通信費のコスト削減にもつながりました。

次に、ECサイトのシステムを、プライベートクラウドに刷新しました。
同社は、3つのECサイト(オンラインストア、通販、ファッションモール)を運営していましたが、サイトのシステムは別々に構築していたため、運用の効率化が課題となっていました。
プライベートクラウド環境を構築し、3つのサイトの商品管理、注文管理、会員管理を共通化したことで、約50%のシステム運用費を削減したと言われています。

さらに、オンラインストアで画面操作を支援するサービスの提供も開始しました。

AIを活用し、「ローズちゃん」が24時間自動で顧客からの質問に回答できるという、画期的なアイディアを採用しています。

また、サポートデスクを設置して、顧客が操作する画面をオペレーターと共有することで、実際に画面を確認しながら電話で操作方法を案内します。

画面の共有を行うことでスタッフとの意思疎通がしやすく、ネット通販サイトの顧客満足度の向上を図る狙いです。

2-2.接客のプロの導入

高島屋グループは、業務効率化と顧客サービスの向上という2本柱で、顧客対応を強化しています。

IT技術を活用した業務の自動化も積極的に進めていますが、ロボットではなく、ヒトが対応するべき業務ももちろんあります。さらには「プロ」にしか担当できない業務もあり、それは「ストアコンシェルジュ」に代表されるような、丁寧な接客ではないでしょうか。

「ストアコンシェルジュ」は、幅広いサポートを担当する、接客のプロです。

シーンに合わせた洋服や小物のコーディネートや、贈り物などの相談をしたい時などに、好みや予算、目的などに応じた顧客の要望を叶えてくれます。

ブランドの壁にとらわれずに、フロアをも越え、さまざまな専門知識を持つスタッフと連携してサービスを提供します。

また、このサービスは、予約制となっている点もポイントです。

店舗全体で総合的にサポートする体制と、コンシェルジュの予約制。
この2点が合わさることで、「私だけのコンシェルジュが、私のためだけに対応してくれた」という価値の提供へつながり、顧客満足度が高まる仕組みとなっているのではないでしょうか。

3.IT化・アウトソーシング化で、リソース、予約を管理する

ストアコンシェルジュ、セールススペシャリストなど、厳選されたスタッフのリソースは、とても貴重です。
IT化・アウトソーシング化をすることで、スタッフのリソース管理を行うことも、業務効率化のポイントになるでしょう。
また、業務効率化によって予約がどう変化するのかについてもご説明します。

3-1.日時の調整業務

店舗業務において、「日時の調整」は集客に直結するため、大切な業務の一つです。

高島屋グループでは、従来電話などで行っていた日時の調整業務に、IT技術を導入しました。

Web予約の導入前は、日時調整の電話を受けており、あくまでも仮説ですが、仮に1件5分だとしても1ヶ月で1500分となり、年間300時間かかっていたことになります。
ストアコンシェルジュ、セールススペシャリストが、自ら予約受付していた事例もあったようです。
Web予約の導入後は、業務効率化を実現し、年間で多くの余剰時間を接客時間に充当することが可能になると予測できます。

Web予約の導入は、受付時間の拡大、またWeb予約では24時間受付が可能になるため、顧客の利便性の向上に成功すると見てよいでしょう。

今後は、Web予約のデータを活用し、シフト枠をチューニングする必要性や、来店希望の顧客を逃さない采配が、集客で成功するポイントとなってくるのではないでしょうか。

3-2.アウトソーシング化

2015年4月より、商店街やショッピングセンターなどの特定商業施設において、免税販売の手続きを商業施設内の一角に設けた免税カウンターにて一括で行うことが可能となりました。

高島屋グループは、この「免税カウンター」をアウトソーシングして、自社内のスタッフや時間、費用などを有効活用することを目指しています。

アウトソーシング化では、自社内でのリソースの確保が不要となることに加えて、多言語での対応や、梱包や免税手続きなどの事務作業を代行してもらえるメリットがあります。
さらには、各ブランドにて顧客を待たせてしまうこともなくなります。

店舗内に免税カウンターを設置することにより、年々増加している訪日旅行客のニーズを満たし、その利便性から顧客満足度の向上につながり、旅行の予約率増加、また売り上げアップも見込めるに違いありません。

4.まとめ

高島屋グループが推進する業務効率化と、オペレーション改革から、次世代小売りオペレーションについて検証してきました。

本来の百貨店のあるべき姿である、「プロの接客」へ力を注ぐために、IT化・アウトソーシング化をすることで、店舗業務の効率化や自動化を図ること。
その結果が、提供できるサービスの質と、顧客の満足度の向上となり、予約率や来店、売り上げアップにも貢献することになります。

また、Web予約の精度を上げることで、スムーズな日時調整や、若年層をはじめとした潜在顧客へのアプローチも可能となるかもしれません。

次世代の小売りオペレーションの施策として、IT化・アウトソーシング化に注目してみるのはいかがでしょうか。


この記事の著者、最近書いた記事

予約ラボ編集部

予約一筋15年のリザーブリンクが運営する『予約ラボ』の編集部です。注目のサービスや、予約から始まるサービス体験、予約管理にまつわるビジネスノウハウまで、「予約」に関するあらゆる情報をお届けします!共同研究のご相談や、予約ラボに関わってみたい!という方、お気軽にお問合せください。

カテゴリから探す

予約ラボについて