「事前決済」は、店舗側とお客様の双方にメリットのある決済方法です。利便性が高く、無断キャンセルの抑止効果もあることから、多くの店舗で導入が進んでいます。

この記事では、事前決済とはどのようなものなのか、メリットや注意点を分かりやすく解説します。事前決済の導入に適した業種と活用例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

事前決済とは? 導入で得られるメリット

「MERIT」という文字

事前決済とは、お客様が店舗を利用する前に、支払いを完了させる決済方法のことです。オンライン上での予約と同時に、クレジットカードなどで決済をおこないます。事前決済の導入には、具体的に以下のようなメリットがあります。

  • 無断キャンセルや直前キャンセルの抑止
  • 業務効率化・省力化
  • 行列や混雑の防止
  • 訪日外国人観光客の取り込み
  • 顧客情報の取得と活用

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

無断キャンセルや直前キャンセルの抑止

事前決済は、無断キャンセルや直前キャンセルの抑止力になります。予約したお客様がキャンセルの連絡もないまま当日に現れない問題、いわゆる「No show(ノーショー)」対策としても有効です。無断キャンセルのリスクを減らせることは、店舗側にとって大きなメリットとなります。

また、事前決済であれば、予約時に支払いを完了させているため、もし直前にキャンセルが発生しても店舗側はキャンセル料を確実に徴収できます。店舗側の損害を最小限に抑えられるという効果もあります。

ドタキャン防止、お支払いの手間を削減

業務効率化・省力化

事前決済の導入は、業務効率化や省力化につながります。事前に支払いが完了しているため、お客様来店時の会計業務が不要になります。また、レジで金額を打ち込む作業やお金の受け渡しがなくなることで店舗スタッフの負担が軽減され、より丁寧な接客ができるので、サービス品質や顧客満足度の向上も期待できます。

さらに、事前決済は会計ミスの削減にも有効です。利用者が増えてレジでの現金のやり取りが軽減されれば、釣り銭のミスなどのトラブル防止も期待できるでしょう。

行列や混雑の防止

事前決済を導入することで、行列や混雑の緩和が期待できます。事前に決済が完了していれば、お客様は来店当日に商品を受け取るだけ、あるいはサービスを受けるだけです。会計の手間がかからず、人の流れがスムーズになるため、レジ待ちの行列や店内の混雑が発生しにくくなります。

お客様の中には、レジの行列や店内の混雑を気にする方もいます。「混み合っているから、また次の機会にしよう」と買い物やサービス利用を諦めてしまうケースも少なくありません。事前決済の導入は、このような機会損失を防ぐ対策にもなります。

訪日外国人観光客の取り込み

事前決済の導入は、訪日外国人観光客の取り込みにも有効です。事前決済を利用すれば、日本語に不慣れな外国人観光客でも安心してサービスが受けられます。事前に正確な料金が分かるので、ホテルの予約や体験ツアーなどにも申し込みやすくなるでしょう。

また、店舗側のメリットとして、外国語でのコミュニケーションによるトラブルを回避できることが挙げられます。言葉が障壁となって注文に手間取る、会計で揉めてしまう、といったトラブルを防止できます。
事前決済の有無は、外国人観光客の心理的な安心感につながり、集客にも影響します。他店との差別化を図り、売上を伸ばす上でも重要な要素です。

顧客情報の取得と活用

事前決済の導入で、予約者の入力を追加することで顧客情報の取得と活用が可能になります。オンラインで予約と事前決済をおこなう際、お客様は氏名やメールアドレスなどの情報を登録します。登録内容は自動的に収集、データベース化されるため、顧客情報の収集と管理が容易になります。

また、取得した顧客情報はマーケティングへの活用が可能です。例えば、定期的にメールマガジンを配信してお客様とのつながりを維持したり、新商品やキャンペーンの情報を発信して来店を促したりするなど、集客やリピート率の向上を狙った施策を打つことができます。

事前決済を導入する際のポイントと注意点

チェックリスト

事前決済を導入する際の大切なポイントや注意点を紹介します。

決済方法の種類を確認する

事前決済を導入する際に必ず確認したいのが、決済方法の種類です。事前決済には、クレジットカード決済のほか、キャリア決済ID決済などさまざまな決済方法があります。代表的な決済方法には以下のようなものがあります。

  • クレジットカード決済
  • オンライン銀行決済
  • キャリア決済
  • 電子マネー決済
  • ID決済
  • コンビニ決済

事前決済を導入しても、お客様にとって利用しやすい決済方法がなければ離脱につながる可能性があります。決済方法を幅広く取り揃えることや、自社の顧客ニーズに合った決済方法を導入することが大切です。

例えば、クレジットカード決済は利用者が多くスタンダードな決済方法です。優先して導入したい決済方法ですが、クレジットカード決済のみに限定してしまうと、クレジットカード保有率が低い10代から20代のお客様を取りこぼしてしまうおそれがあります。若年層もターゲットとするなら、キャリア決済コンビニ決済の導入も視野に入れるといいでしょう。

キャンセルポリシーを設定する

事前決済を導入するなら、キャンセルポリシーの設定は不可欠です。キャンセルポリシーとは、予約をキャンセルする場合の注意事項やルールをまとめたものです。キャンセル料が発生するタイミング、キャンセル料の金額、返金方法などを明確化します。

キャンセルポリシーは、予約キャンセルによる損害を最小限に抑えるためのものですが、規定を厳しくしすぎると集客に影響するおそれがあります。予約直後からキャンセル料が発生する設定や高額なキャンセル料は、お客様に予約を躊躇させる要因になります。キャンセルポリシーは店舗側の都合だけでなく、お客様の立場になって検討することが大切です。

▼関連記事:キャンセルポリシーとは?予約キャンセルに備え、書き方や例文をご紹介!

セキュリティを重視する

事前決済では個人情報や金融情報を扱うため、セキュリティの確保は必須です。ログイン時の安全性が確保されているか、情報の暗号化がされているか、十分なモニタリング体制が整備されているかなど、セキュリティへの対策状況をしっかり確認しましょう。

また、内部から情報が漏洩するリスクもあるため、顧客情報を扱うスタッフに情報保護教育をおこない、セキュリティ対策への意識を高めることも重要です。

万が一、顧客情報の流出や不正利用による被害が発生すれば、大きな問題になります。お客様に不安や損害を与えてしまうだけでなく、店舗の信頼も失われてしまいます。

セキュリティへの取り組み

自社のニーズに合ったサービスを選ぶ

事前決済を導入する際は、自社のニーズに合ったサービスを選択しましょう。クレジットカード会社と直接契約を結ぶ方法もありますが、利便性を重視するなら決済代行サービスの利用がおすすめです。クレジットカード決済やキャリア決済、コンビニ決済などのさまざまな決済方法を一括で導入できるほか、各クレジットカード会社との契約や入金管理、支払いの督促といった煩雑な業務を代行してもらうことができます。

なお、事前決済の機能は、予約業務を一元管理する「予約システム」にも搭載されています。予約サイトの開設や予約受付の自動化、顧客管理なども併せておこないたい場合は、予約システムの導入を検討するのもおすすめです。

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事前決済のメリットをアピールする

お客様に事前決済を利用してもらうためには、メリットをアピールする必要があります。事前決済なら当日の会計が不要になることや、スムーズにサービスを受けられることとなど、お客様にとって利便性の高い決済方法であることを周知しましょう。

また、事前決済の利用者に限定して、割引や特典を提供するのも効果的な方法です。「事前決済の利用で10%割引」など、お客様に有益な付加価値を付けることで、事前決済の利用促進が期待できます。

事前決済の導入が効果的な業種と活用シーン

スマホとクレジットカードを持っている手

事前決済は実際にどのような業種で導入されているのでしょうか。各業種における活用例をご紹介します。

ホテル・宿泊施設

ホテルや旅館などの宿泊施設では、事前決済を導入する施設が多くなっています。予約と同時に決済が完了しているため、無断キャンセルや直前キャンセルが発生しにくくなります。また、現地での会計が不要になることで、お客様をお待たせしないスムーズなチェックイン・チェックアウトが実現します。「お客様が集中する時間帯にフロントが混み合う」「会計待ちの長い行列ができる」といった問題の解消にもつながります。

レストラン・飲食店

レストランや飲食店で度々問題となる無断キャンセル。事前決済は、無断キャンセルを防ぐ有効な手段です。万が一、無断キャンセルや直前キャンセルが発生しても、店舗側はキャンセル料を徴収できるため、損害は最小限に抑えられます。

また、事前決済の導入は、インバウンド需要の取り込みにも効果的です。事前に席や料理の予約ができ、現金を使わずに会計を済ませられるため、日本語に不慣れな外国人観光客でも安心して利用できます。

小売業

事前決済の導入は、繁忙期や繁忙時間帯のある小売業にも適しています。具体的には、季節商品を扱うケーキショップや菓子店、お昼前に人が集中する弁当店などです。事前にWebサイトで注文と支払いを済ませて、店舗では商品を受け取るだけという販売方法が定着すれば、お客様の待ち時間が減り利便性が大きく向上します。

また、当日の会計が不要になることで店舗スタッフの負担も軽減されます。事前決済の導入によって、より丁寧な接客やスムーズな対応ができるようになれば、集客向上も期待できるでしょう。

美容室・サロン

事前決済は、美容室やエステサロンでも利用されることが多くなっています。予約時に事前決済だけでなく、コース内容の選択やアンケートが可能なシステムを導入している店舗も多いです。美容室やエステサロンでは限られた時間内でサービスを提供しなければならないため、事前にお客様の要望や悩みを把握しておくと、来店当日の対応がスムーズになります。

美容室やエステサロンの特徴として、お客様一人当たりの対応時間が長いことや、客単価が高めであることが挙げられます。無断キャンセルや直前キャンセルが発生すると損失も大きくなりがちなので、事前決済の導入は有益であるといえるでしょう。

各種スクール・レッスン教室

スクールや教室といった分野においても、事前決済を利用して当日の会計が不要になれば、終了後、お客様はすぐに帰宅できます。会計待ちの時間がなくなることで、あまり時間に余裕のないお客様も気軽に受講しやすくなります。

また、スクールやレッスンの受講者は、毎週利用している継続顧客や、体験など1回のみの単発顧客などさまざまです。さらに、コースによって料金が異なる上に、参加人数が多くなるほど料金徴収の手間もかかるため、事前決済が利用できると会計業務の効率化にも役立ちます。

イベント・レジャー

イベントやレジャーを実施する際、事前決済でチケットを購入してもらう仕組みを作れば当日の入場がスムーズになります。入場までの待ち時間が短いことや混雑の回避は、顧客満足度向上につながります。

また、当日に料金を徴収する業務がなくなると、運営側の負担が大きく軽減されます。会計のためにレジや現金の手配をしたり、スタッフを増員したりする必要がなく、運営コストを削減できます。

事前決済は店舗とお客様の双方にメリットのあるサービス

この記事では、事前決済とはどのようなものなのか、メリットや導入時の注意点、各業種における活用例などを紹介しました。事前決済には、無断キャンセルの抑止効果や業務効率化など数多くのメリットがあります。お客様の利便性向上にもつながるため、顧客満足度や集客の向上も期待できます。
また、事前決済の機能がついているクラウド型予約システム「ChoiceRESERVE」の導入もおすすめです。

ぜひこの機会に、事前決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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