BACK
X X

予約システムの英語対応は、多言語が飛び交うインバウンド需要の獲得に必要な機能強化の第一歩

知る・学ぶ

/
2022.12.07 2024.03.05
予約システムの英語対応は、多言語が飛び交うインバウンド需要の獲得に必要な機能強化の第一歩
浅川 仁

会社員時代はITソリューション系商社で営業職・企画職に従事。セキュリティ関連企業の営業中間管理職なども経験。旧司法試験が終了する前に記念受験するなど、法律好きだったりもする。ネットの可能性に目覚めたことから、その一環としてWebライティングを探求中。

INDEX

予約システムが英語対応しているかどうかは、インバウンド需要の獲得に関係する大きなポイントのひとつです。また、訪日外国人が予約しやすいシステム環境を整えたなら、実際のサービスにも目を向ける必要があります。

この記事では、予約システムの英語対応とインバウンド需要獲得に向けて必要なポイントなどについて紹介・解説します。

予約システムの英語対応が必要な理由とメリット

ノートPCで予約システムにアクセスする外国人女性

海外からの顧客増に欠かせない

予約システムの英語対応が必要な理由は、海外からの観光客を増加させるためであり、そのための環境整備だといえます。

では、なぜインバウンド需要に注目が集まるのかといえば、日本経済に与える影響の大きさと、個別企業や店舗の業績に対する期待感であることは間違いないでしょう。訪日外国人旅行者数の増加は、2018年に3,000万人を突破するなど日本のさまざまな分野で経済的な影響をもたらしています。海外旅行の活発化、インバウンドの増加は日本に限った話ではありません。

しかし、少子高齢化によって国内需要にこれ以上の期待が困難である状況では、インバウンド需要を増加させ、それを獲得することが重要課題となっています。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて一時的にストップした感はあるものの、インバウンド需要への期待感は変わっていません。より一層の需要獲得を目指すなら、まずは日本を旅行先として選んでもらうことが必要となります。ただし、各企業や店舗単位において第一に自分たちがやるべきことといえば、入国する人たちに自社・自店を選んでもらうことだといえるでしょう。

日本語を理解する外国人が極めて少ない中、機会損失を防いで顧客を獲得するために、予約システムの英語対応が急がれています。

予約手続きが簡単にできるため問い合わせ対応が楽になる

予約システムが英語対応していない場合、日本語をあまり理解できない訪日客にとって予約のハードルが上がるため、入国後の利用先としての選択肢から外れてしまう恐れがあります。予約の不便さを超える魅力があれば機会損失はないかもしれません。それでも、電話やメール、メッセージソフトなどを利用した予約対応の業務にリソースを割く必要があります。

予約システムの英語対応は、いわばWIN-WINの対策です。訪日外国人旅行者にとっては、日本語での操作に苦労する問題が解決し、簡単に予約できるメリットがあります。受け入れる企業や店舗側のメリットは、予約に関する業務負担が減り、顧客を獲得しやすくなる点です。

予約システムを英語対応にする方法

システムを検討するビジネスパーソン

英語対応の予約システムを導入する

訪日外国人旅行者の利用を見込む企業や店舗が新規に予約システムを導入する場合、選択肢を多言語対応、英語対応の予約システムに絞ることで英語対応問題は解決します。これまで自動で予約ができるシステムを導入していなかったことから、使い慣れなどの問題を考慮する必要はありません。もっとも、既存の予約システムをリプレイスする場合も基本的には同様です。最新の予約システムであれば、古いほうがよかったと思うことはあまりないでしょう。

ただし、日本語の予約システムを導入しており、それほど期間が経過していない場合は、コスト面の課題があるかもしれません。そのまましばらく日本語システムのままで営業を続けるのか、それとも英語対応のシステムにリプレイスするのかはそれぞれの判断となります。

日本語の予約システムを英語対応にする

すでに日本語の予約システムを導入している場合、英語対応の選択肢はリプレイスだけではありません。別のソリューションをプラスして英語対応にすることも可能です。また、新規導入やリプレイスであっても、日本語の予約システムも捨てがたいといった事情がある場合には、次の組み合わせの活用が考えられるでしょう。

たとえば、予約管理システムのChoiceRESERVEに多言語化ソリューションであるWOVN.ioをプラスすることで、日本人の顧客にも訪日外国人旅行者にも使いやすい予約システムになります。ChoiceRESERVEは画面を見ての直感的な操作が可能で、予約がしやすいユーザーインターフェースを持つクラウドタイプの予約管理システムです。

WOVN.ioは後付けでWEBサイトやアプリの多言語化ができるソリューションで、対応コストやリソースを抑えて効率のよい多言語化に役立ちます。

予約システム選びにはお試しやデモが重要

予約システム選びの際に忘れてならないのが、お試し利用や無料デモサイトの利用による使い勝手の確認です。英語対応がない場合はもちろん、英語対応するならなおのこと重要になります。

たとえば、料金の決済に関連して使いにくい印象があれば、利用したくないと思われるかもしれません。日本人の感覚と外国人が受ける印象は異なる可能性が高いため、可能であれば英語を日常的に使っている人に操作してもらうとよいでしょう。

また、設定その他の機能が自社のニーズにマッチしているかどうかを資料ではなく操作を体験することで確認しなければ、こんな筈ではなかったという事態にならないとも限りません。お試しやデモの際にはサポートの運営体制も確認しておきます。

予約システムの英語対応と同時に考えるべきこと

外国人客を接客する女性スタッフ

英語でのコミュニケーションを円滑におこなう

予約システムの英語対応はインバウンド需要を獲得するための第一歩に過ぎないといえます。予約システムだけが英語対応になっていたとしても、その他の部分が日本語オンリーという状況では、英語を使う訪日客の需要に応えられる可能性が低くなるでしょう。少なくとも英語でのコミュニケーションが円滑にできるような体制づくりが必要です。

日本語しか話せない幹部や従業員に、英会話を習得させることも方法としてはあり得ます。ただし、容易にできるかどうかは疑問が残るところです。人員を増やせる余地がある場合に限られますが、英語を話せるスタッフを雇い入れるほうが時間的には早く解決するかもしれません。

訪日客を意識したWEBサイト構築

予約システムとともに重視したいのが自社・自店のWEBサイト構築です。英語を使う人を呼び込むなら日本語サイトだけでなく、英語サイトを作って内容を充実させることがポイントになります。このときに注意すべきは、単に使用する言語を変えればよいというものではない点です。

日本国内からやってくる顧客とインバウンドの顧客、それぞれにマッチしたコンテンツは何かを考えることが重要だといえます。このあたりはターゲットをペルソナレベルで設定して、役立つコンテンツを投入するコンテンツマーケティングの考え方が参考になるでしょう。日本人向けに発信する情報とは別に、海外向けに発信する情報を作ることで、よりターゲットに浸透しやすくなります。

訪日客に選ばれる店舗や施設になる

予約システムや顧客対応の英語化と同時に考えるべきことは、訪日外国人旅行者に選ばれる店舗や施設になることだといえます。「英語で書かれた公式サイトに掲載されていた情報は興味深いものだったし、英語で予約ができてスタッフにも英語が通じる、だけど実際の施設やサービス内容はありきたりなものだった」と思われてしまっては、そこで使ってもらえるお金にもブレーキがかかりそうで、リピーターの獲得は望めません。

インバウンド需要獲得の取り組みとして参考になるのが、天然温泉平和島がおこなっている、到着便に合わせて送迎バスを運行する施策です。24時間化した羽田空港を利用する訪日外国人旅行者の到着時刻に合わせて、バスで送迎するプランが人気を呼んでいます。空港からバスで20分程度の距離にある24時間営業の温泉施設という点が、特殊とはいえ自分たちの特徴を活かした施策展開の好例といえるでしょう。

▼関連記事
羽田発着の深夜&早朝便に合わせた送迎バスプランが大ヒット!平和島温泉のインバウンド施策とは?

予約システムの英語対応と深い関係があるインバウンドに対する国の政策

人力車を楽しむ外国人カップル

観光先進国に向けた国の施策

日本政府は、2030年の訪日外国人旅行者数6,000万人達成を目標として掲げており、主要な観光地の環境整備などの補助金事業をおこなっています。観光振興事業(インバウンド受入環境整備高度化事業)や訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業です。後者についての説明文の中には「多言語での観光情報提供機能の強化」や「非常時における多言語対応の強化等に関する取り組みを支援する」といった記述が見られます(※1)。

また、ポストコロナを見据えた訪日プロモーションへの注力(※2)も既定路線です。訪日外国人旅行者をひとまとめにして考えるのではなく、その中核をなしているともいえるアジア各国のリピーターをターゲットとした大規模なキャンペーンが一例としてあります。

高度なプロモーションを可能にするためのデジタルマーケティング基盤の強化も盛り込まれています。6,000万人のインバウンドを想定した多言語対応の強化となれば、予約システムの英語対応への期待感の高まりが加速するであろうことは想像に難くありません。

訪日外国人旅行者数の推移

訪日外国人旅行者の数は、2013年に1,036万人と1,000万人を突破し、2019年の3,188万人まで右肩上がりで増えていました。一部には、さらに加速をつけて一気に4,000万人突破を期待する声まで聞かれたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて状況が一変したことは周知のとおりです。結果的に、翌2020年には412万人へと大きく落ち込んでいます(※2)。しかし、2030年に6,000万人を達成するとの目標に変わりはなく、コロナ後の需要回復、人数の伸びが期待されているところです。

※1 出典:観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/ukeire.html
※2 出典:観光庁「訪日旅行促進事業(訪日プロモーション)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html

日本語では「予約」でも、英語にすると複数の言葉になる

黒板に描かれたReservedの文字

定番のReservation

予約を英語に訳すといえば、定番といえるのが「Reservation(リザベーション)」です。Reservationにはホテルの部屋の確保や列車の席の確保といった、自分が利用するための物理的な空間の確保といった意味合いがあります。日本人の間では、「席をリザーブする」「リザーブ席」といった使い方を見聞きすることが多いのではないでしょうか。飲食店のテーブルに「ご予約席・Reserved」の札を見かけることもあります。

使用機会が多いBooking

感覚的にはReservationに匹敵するくらい使われていると感じられる言葉に「Booking(ブッキング)」があります。スケジュールを押さえるなどの用途で使われることが知られている言葉であり、ホテルの部屋の予約であっても、記帳を指す場合はBookingを使うこともあるようです。予約が重複してしまった場合に使われる「ダブルブッキング」は、一般化しているといっても過言ではありません。

注文ならOrder

ケーキの予約など、商品の注文やサービスの手配には「Order(オーダー)」がよく使われています。規格品だけでなく、特注品の注文にも使われている言葉で、「オーダーメイドの洋服」といった表現に接する機会は少なくないでしょう。

業種や商品によって使い分ける

・ホテルの部屋を予約する
・来週の月曜日を予約する
・記念品を予約する

日本語ではすべて「予約」で通用しますが、英語にするとReservationであったりBookingであったり、Orderであったりと、使い分けるシーンが異なります。インバウンド需要の確保とは直接関係ないかもしれませんが、誰かに会う予約は上記のどれでもなく、「Appointment(アポイントメント)」が一般的です。日本でも「アポをとる」といった使い方は日常化しているといえるでしょう。

このように、英語表現は使用するシーンに応じて変化します。インバウンドで訪日する外国人が宿泊するホテルならReservation、または予約の記帳を含めてBookingが妥当であり、ショッピングに訪れる土産物店ではOrderを使うといったように、業種や目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

予約システムの英語対応と現場の英語対応でインバウンド需要をゲットする

観光先進国を目指す国の方針と、インバウンド需要に期待する経済界という環境の中にあって、予約システムの英語対応は待ったなしの場面を迎えつつあるといっても大袈裟ではないでしょう。予約システムの英語化を有効なものとできるかどうかは、第一にシステム選びであり、第二に訪日外国人旅行者を迎え入れる体制と態勢作りにあるといえます。

この両者を上手く実現することで、インバウンド需要をゲットしましょう。

浅川仁

会社員時代はITソリューション系商社で営業職・企画職に従事。セキュリティ関連企業の営業中間管理職なども経験。旧司法試験が終了する前に記念受験するなど、法律好きだったりもする。ネットの可能性に目覚めたことから、その一環としてWebライティングを探求中。

INDEX

この記事を読んだ人へのおすすめ

PICK UP STORY

コラム

中谷コラム - 予約の研究

Last update 2022.12.07

特集

予約は未来の約束
~ビジネスを成功させる理想の予約とは~

Last update 2022.12.07

INFORMATION

CONTACT