コロナ禍以降、感染症対策が店舗運営の重要課題となり、さまざまな業種において事前予約制を導入する店舗が増えています。行列回避や店舗内の混雑防止といった感染症対策につながることを主な目的としていましたが、入店を事前予約制とすることは、ほかにもさまざまなメリットがあります。

この記事では、来店予約システムの導入によって、店舗と来店客の双方が得られるメリットを解説し、実際に来店予約制の運用が進んでいる店舗の事例をご紹介します。

来店予約システムとは

接客中の女性

従来の予約システムは、宿泊予約や、飲食店・美容室・セミナーなどで日時を予約するものが主流でした。しかし、2020年から感染症対策の重要性が高まり、それまで予約制を取り入れていなかった店舗においても、入店予約システムの導入が増えています。

たとえば、銀行や携帯電話ショップにおける事前予約制がスタンダードとなったケースなどはその代表例です。店内の混雑防止のほか、店舗の業務効率や売上成績・顧客満足度の向上など、さまざまな利点があるとしてウェブ上での入店予約システムが活用されています。

それでは、来店予約システムが具体的にどのような点で役立っているのか、次項でさらに詳しくみていきましょう。

来店予約システムの導入によるメリット

メリットのイメージ

電話予約の受付だけではなく、ウェブによる来店予約システムを使用することによって得られるメリットについて解説します。

来店予約システムが店舗にもたらすメリット

まず、来店予約システムを導入することで、店舗スタッフの業務効率化が図れるというメリットがあります。

予約管理がシステム化されることによって、以下の業務が簡略化されます。

  • 予約数に対するシフト調整
  • 来店客にマッチするスタッフの配置
  • シフトの状況に合わせた予約枠の調整

また、予約受付データを元に自動的に顧客情報が作成・整理されます。顧客台帳が手間なく管理でき、すぐにアフターサービスやフォローなどに活用できます。さらに、相談内容や検討したい商品などについて、予約システムに記入欄を設けることも可能。店舗側が事前に適切な接客準備をできることも、売上アップに効果的です。

お客様側が受けるメリットは?

次に、お客様側が受けるメリットを挙げてみましょう。

・入店待ちや混雑を避けられる

時間枠で来店者数が整理されるので、待ち時間や混雑を回避でき、入店がスムーズになります。対応するスタッフにも余裕が生まれ、質の高いサービスを受けることができ、店舗応対に対する満足度が上がります。

・ウェブによる予約システムの利便性

電話予約のみの場合、電話受付が営業時間内に限られますが、24時間受付可能なウェブシステムがあれば、いつでも予約できます。
また、予約入力後の確認メールや、予約日時が近づいたときにリマインドメールを受け取れることで、予約内容をあらためてメモに残すことは不要。自動送信機能があれば、店舗側の手間もかかりません。

来店予約制を運用している店舗の事例をご紹介

アウトドアシューズのディスプレイ

2020年以降は、大阪心斎橋PARCO(パルコ)の新規オープン時など、大型商業施設においても施設自体への入場が事前予約制となることもありました。

アフターコロナにおいても、施設の中のテナントや独立店舗における事前予約制は、多くで継続されています。

ここからは、実際に来店予約制を運用している店舗をいくつかご紹介します(記事公開時点での情報です)。

ロレックス ブティック 大丸・松坂屋

ロレックス ブティック 大丸・松坂屋 事前来店予約サービスのお知らせ

全国の大丸・松坂屋内のロレックス正規品販売店、ロレックス ブティック 大丸・松坂屋。
こちらの一部店舗においては、スムーズな来店受付・対応のため事前来店予約サービスが導入されています。
事前来店予約が可能な期間は、毎週金曜日午前10時に1週間分ずつ追加・更新され、翌々日の日曜日23時59分まで選択可能な日時のリクエストという形での予約が可能です。

▼ポイント
予約受付期間:毎週金曜日午前10時から日曜日23時59分まで
予約人数の制限:-
日時や個人情報以外の項目:-
注意事項:アフターサービスは予約不要
公式サイト予約サービスページ:
https://www.dm-dept-watch.jp/rolex/info/2022/08/reserve.html

ボン・ヴォヤージュ/東京ディズニーリゾート

ボン・ヴォヤージュ/東京ディズニーリゾート 事前来店予約サービス

東京ディズニーリゾートのボン・ヴォヤージュは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーのパーク内で売られているグッズの一部を、パーク外で購入できる店舗です。事前来店予約が必要な期間は随時公式サイトで公表されます。

パーク内の新商品がボン・ヴォヤージュでも販売されるかどうかは、東京ディズニーリゾートの公式アプリでチェック可能。人気商品が発売されるタイミングによっては、アクセスが集中する予約システムです。

▼ポイント
予約受付期間:来店希望日の5日前の11時から受付開始
日時や個人情報以外の項目:-
注意事項:予約完了後の日時変更不可、キャンセル受付は来店時間の30分前まで
公式サイト予約サービスページ:https://www.tokyodisneyresort.jp/goods_reservation_system/shop_reservation/

日本橋三越本店・伊勢丹新宿店/株式会社三越伊勢丹

日本橋三越本店・伊勢丹新宿店/株式会社三越伊勢丹 来店予約について

三越伊勢丹ホールディングス傘下の日本橋三越本店と伊勢丹新宿店では、同じ形式の予約システムを採用。来店予約を要するブランドが一覧でわかるページが用意され、ウェブ予約ができます(一部店舗では電話予約のみ受付)。

事前の来店予約が必要なのは、おもに土日のみ。前日までに予約して来店すると、店舗スタッフのアドバイスを受けながらゆっくり試着をして商品選びをすることが可能です。入力内容に購入希望商品に関する情報があれば、店舗側も事前の接客準備として商品をそろえておくことが可能になり、スムーズな接客ができます。

▼ポイント
予約受付期間:ブランドブティックごとに異なる
予約人数の制限:-
日時や個人情報以外の項目:購入希望商品の型番・色・サイズなどを記入できる
注意事項:商品が取り寄せの場合は、日時の変更を店舗側からお願いすることもある
URL:
日本橋三越本店予約サービスページ:https://www.mistore.jp/store/nihombashi/service/brand_reserve.html
伊勢丹 新宿店予約サービスページ:https://www.mistore.jp/store/shinjuku/service/brand_reserve.html

高島屋

高島屋 事前来店予約サービス

高島屋には、事前予約をすれば専門のスタッフが買物に関するさまざまな手伝いをしてくれるストアコンシェルジュサービスがあります。2017年から新宿店と玉川店で運用されてきましたが、2020年10月からはほかの店舗でも開始されました。

ほかにも事前予約を要するサービスがあり、その種類は店舗によって異なります。たとえば、シューシャインカウンター、婦人服のオーダーメード、シューフィッター、ギフトサロン、呉服などで、顧客満足度の高い丁寧な接客が行われています。

▼ポイント
予約受付期間:店舗により異なる
個人情報以外の入力項目:希望するサービス、商品カテゴリ、要望などの記入が必須
注意事項:ストアコンシェルジュは1回2時間まで(30分以内・1時間以内・2時間以内から選択)
公式サイト予約サービスページ:https://www.takashimaya.co.jp/store/special/remote/index.html

好日山荘

好日山荘 店舗貸切りタイム予約

登山やアウトドアグッズの専門店である好日山荘では、一部の店舗で店舗貸切タイム(予約専用時間帯)を実施。事前予約をすれば密を避けて商品選びができます。

各店とも開店前の1時間を予約専用時間に設定。店舗ごとに1時間に予約受付できる人数は店舗面積に応じた人数として設定されています。

▼ポイント
予約受付:来店希望日の4日前まで
予約人数の制限:1組最大2名まで/1日2~4組まで(店舗により異なる)
個人情報以外の入力項目:来店人数、接客の要/不要を記入
注意事項:ウェブ予約のほか電話予約も受け付けているため、予約受付状況の確認などは電話での問い合わせがおすすめ
公式サイト予約サービスページ:https://www.kojitusanso.jp/support/shop_reserve/

エルメスブライダル来店予約

エルメスブライダル来店予約

フランスの最高級アパレルブランド・エルメスの一部店舗では、ブライダル目的に限り来店予約を受付しています。
ジュエリーアドバイザーが、数々のコレクションの中から、リングにまつわるメゾンのストーリーにも配慮しつつブライダルリング選びをサポート。事前予約時に気になるコレクションや要望を伝えることができるので、スムーズな相談が可能です。

▼ポイント
予約受付期間:来店予定日の1か月前~前日まで
日時や個人情報以外の項目:必要な時期・探している商品/コレクション・その他の要望
注意事項:
予約は1人1回まで(指定の予約日時完了まで次回予約不可)
予約開始時刻を15分過ぎた到着は予約キャンセル扱い
公式サイト予約サービスページ:
https://reservation-jp.hermes.com/store/

ブライダルに関連したブランドショップの事例

上記のエルメスのほか、ブライダルジュエリーを販売する店舗では、コロナ禍以前も、すでに多くの店舗で入店予約制が導入されていました。結婚準備で忙しい時期でも、カップルで店舗を訪れる時間を確保して慎重に指輪を選びたいと考える人が多いためと考えられます。

予約システムの入力内容として共通しているのは、相談内容や来店回数(初めてか、2回目以降か)のほか、いつごろまでに用意したいかという時期についても記入欄があることです。店舗側は必要な情報を事前に把握して、顧客ニーズに合わせた接客準備に役立てています。

▼公式サイト予約サービスページ:
和光ブライダルブティックギンザ https://wakobridalboutiqueginza.resv.jp/reserve/calendar.php
ヴァンドーム青山 https://vendome-bridal.resv.jp/
ミキモト https://www.mikimoto.com/jp_jp/schedule-appointment-stores
4℃ https://4-bridal.jp/reserve/
star jewelry https://www.star-jewelry.com/bridal/pages/sjb-reservation.html

顧客満足度の向上に入店予約制は重要なポイント

待ち時間短縮や混雑回避といった目的だけでなく、じっくり商品を選びたいという要望が多い店舗での入店予約制は、今後も重視されるでしょう。電話予約だけでなくウェブ予約が可能なことも重要なポイントです。

予約システムによるウェブ予約なら、顧客側にとっては利便性が高く、店舗側にとっては業務効率化やマーケティング面での活用など、大きなメリットがあります。
週末や祝日など来店客が多い日だけ予約制とすることもできるため、業務効率化を図る目的も含めて、今後も来店予約制は多くの業種での導入が期待されます。

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