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有料予約の事例8選
予約を有料で受け付けている業態やサービスとは?

調査

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2023.05.19 2024.03.05
有料予約
加藤 高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

INDEX

いつでも気軽に予約ができるこの時代。多くの予約は無料となっていますが、なかには予約するために料金が発生する「有料予約」も存在するようです。多くは、混雑が予想される時間に利用したい人を対象に、希望の時間にサービスを優先的に受けられる権利を有料で予約するというもので、確定型予約という言葉を使っているところもあります。病院や娯楽施設など、混雑が予測される業態の一部で採用されています。

予約ラボでは、これまでにもテーマパークのアトラクションの時間指定や飛行機の優先搭乗など、有料予約の事例をいくつか紹介してきました。

今回は、インターネット上でこうした業態について調査し、どのような業態やサービスで採用されているのか、それぞれにおいて無料の通常予約と有料予約でどのような違いがあるのかなど、その内容や使い分け方を中心にご紹介します。

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調査結果サマリー

  • クリニック、病院、娯楽施設、駐車場などの業態において有料予約サービスの該当がみられた
  • 特にクリニックの有料での予約サービスは多くみられた
  • 先着順に待つことが必要な場面に採用されているケースと、希望の時間に空き枠がなくサービスを受けられない人のために採用されているケースのの2パターンがある
  • クリニックなどでは、急患対応や直前の診療対応なども考慮し、診療が予約時間より一定時間遅れた場合は返金するといったオペレーションを採用しているケースもある

業態別有料予約事例

有料予約

調査によって、有料予約には、予約そのものに料金が設定されているものと、事前予約・事前決済によって優先権が得られるものと2つのパターンがあることがわかりました。

今回は、予約そのものに料金設定がされている事例をご紹介します。

1.クリニックA

  • 業態:皮膚科クリニック
  • 予約料金:3,100円
  • 予約方法:ネット・電話
  • 支払い方法:当日来院時

こちらの皮膚科クリニックへの来院は完全予約制となっており、通常予約と有料予約に分かれているようです。通常は30分単位での予約となっていますが、有料予約の場合は時間指定が可能で、通常予約よりも待ち時間も短縮されることになります。

2.クリニックB

  • 業態:整形外科クリニック
  • 予約料金:3,300円
  • 予約方法:ネット
  • 支払い方法:ネット予約時に事前決済

こちらの整形外科クリニックでは、指定した時間に優先的に診療が受けられる「時間確約型予約サービス」を有料で提供しています。 指定時間より10分以上経っても診察が開始されない場合は、予約料金は返金されます。

通常予約の場合は、午前と午後のみの指定で待ち時間は混雑状況によりますが、カレンダーに予約をしない場合の待ち時間の目安が記載されています。

3.クリニックC

  • 業態:外科クリニック
  • 予約料金:平日5,000円、休日6,000円
  • 予約方法:アプリ
  • 支払い方法:ネット予約時に事前決済

こちらの外科クリニックは完全予約制となっており、医師による診療予約は無料での受付はされていません(※セラピストによる保存療法外来、検査結果説明や術前外来、手術、術後1年までの診療については予約料不要)。

専用のアプリから医師を指定し日時を選択する方式で、来院希望日の3か月前から予約でき、診察予約時間から診察開始まで30分以上の待ち時間が発生した場合には予約料は発生しません。

アプリでの予約が難しい場合は、通常の予約フォーム(日時は希望のみで別途調整の必要あり)での予約も可能となっています。

4.クリニックD

  • 業態:皮膚・形成クリニック
  • 予約料金:300円
  • 予約方法:電話
  • 支払い方法:当日来院時

こちらの皮膚科・形成外科クリニックでは、電話にて通常の診療予約と優先診療予約を受け付けています。

診療予約枠は各30分で1日4枠に設定されており、有料予約はそのうち1枠で、最優先で好きな日に待ち時間なく診療が受けられます。

残り3枠は通常予約として先着順に枠が確保され、それらの予約診療のあいまに予約外の通常診療がおこなわれます。

5.クリニックE

  • 業態:精神科クリニック
  • 予約料金:3,300円
  • 予約方法:ネット・電話・対面
  • 支払い方法:当日来院時

こちらの精神科・心療内科クリニックでは、初診は電話による完全予約制、再診は準予約制となっています。10分ごとに枠が設定されており、予約者優先で診察がおこなわれ、空いた枠で予約外診療がされます。どうしても予約時間通りでの診察を希望する人のために、無料1時間に1枠、有料での特別予約枠が設けられており、予約時間から30分以内に優先的に診療をうけることができます。特別予約枠での診療が不可の場合、予約料金は不要となります。

 

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6.自動車運転免許教習所

  • 業態:自動車学校
  • 予約料金:44,000円
  • 予約方法:電話・対面
  • 支払い方法:入所申込時に現地で決済

自動車学校の事例です。こちらでは、第一段階では1日2時間、第二段階では1日3時間の技能教習予約を、都合のよい時間帯に優先的に取得できる「優先予約コース」を設けています。時間短縮や土日などの混雑時でも予約を取得できるため便利です。

有効期限2か月の定員制サービスで、入校手続きの際に教習料金全額とともに優先予約料金を追加で支払う形になります(※教習途中からの優先予約コースへの変更は不可)。

7.空港施設

  • 業態:空港駐車場
  • 予約料金:1,000円
  • 予約方法:ネット
  • 支払い方法:ネット予約時に事前決済

某空港では、駐車場の一部において事前予約が受付されています。ウェブサイトで会員登録後、予約メニューより手続きでき、駐車料とは別に1件の予約につき事前決済で1,000円の予約料金が必要となります。入場予定日の30日前、午前10時から日時を指定して予約できるので、利用当日の駐車スペースを待たずに確保できます。

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8.ヘアカット専門店

  • 業態:ヘアカット専門店
  • 予約料金:0円~150円
  • 予約方法:アプリ
  • 支払い方法:ネット予約時に事前決済

幅広く店舗を展開する某ヘアカット専門店では、通常は店舗の券売機でチケットを購入して順番を待つ仕組みですが、一部店舗においてはスマートフォンアプリから事前予約・事前決済ができます。

アプリでの当日の順番待ち受付と日時優先予約の2種類があり、一部店舗では日時優先予約については別途予約料金が必要となります。

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その他事例

上記事例のほかにも、某テニスコートでは、通常1か月先までの予約が、予約料金を支払うことで優先的にその先の予約もできるというサービスもあります。また、タクシーの時間指定予約といったサービスも有料予約の部類に入ります。

まとめ

有料予約、時間確定型予約、日時指定予約、日時優先予約など、予約料金を支払って優先的に受けられるサービスは増えつつあります。

とくに、医療機関において採用されていることが多く、ほかにも駐車場や娯楽施設などに該当がみられました。

今回は予約料金として、診療代金やサービス料金とは別に料金が発生する事例をご紹介しましたが、今後も、待ち時間短縮特別待遇といった付加価値のために有料での予約を展開する業態は増えていくのではないかと考えられます。

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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