予約業務の効率化のために、予約システムを導入または検討する企業や店舗も多くなりました。予約システムは無料から有料のものまでがあり、プログラミング言語を使えば無料で自作も可能です。

これから予約システムを作りたい人の選択肢に入るのが、初心者でも取り扱いしやすいPHPです。PHPを使った予約システムを構築したい人のために、PHPを予約システムで使用するメリットや、初心者でもすぐに使える予約システムのPHPのオープンソースを紹介します。自社や店舗の予約システム導入に、ぜひ役立ててください。

PHPとは? 初心者におすすめの理由

PHPと書かれたブロック

PHP(PHP: Hypertext Preprocessor の再帰的な略)とは、オープンソースのプログラミング言語( スクリプト言語)です。柔軟性が高くHTMLにも埋め込みができるため、幅広いWebサイトやアプリケーションの実行に使われています。ECサイトやSNS、掲示板サイト、社内管理システム、そして予約システムもPHPで作成可能です。

PHPは記述がかんたんでシンプル、HTMLにもそのまま内容を記述できるため初心者向けのプログラミング言語と言えます。上級者にとっても、使い勝手のよい多機能なプログラミング言語であり、Webサイトやアプリケーションに強いのもメリットです。JAVAやJavascriptなど他のプログラミング言語よりも幅広い環境で動かせるため、PHPは世界の80%近くのサイトで使用されています。

多くのサイトやアプリケーションで活用されていることから、PHPは情報が手に入りやすいメリットもあります。記述のサンプルからエラー時の対処法まで、PHPに関する情報はあらゆるところで公開されています。

PHPで予約システムを作成する3つのメリット

スマホを持つ手元とTICKETの文字

PHPで予約システムを開発すると得られる、以下の3つのメリットを解説します。

オープンソースが公開されている

PHPは歴史の深いプログラミング言語です。今までWebアプリケーションとしても多く活用されてきました。予約システムとして構築できるPHPのオープンソースも、すでに多く公開されています。Web上でPHPのオープンソースを利用すれば、すぐに予約システムを構築し、利用できるでしょう。

WordPressにも対応している

WordPressとは、PHPベースで作られたオープンソースのCMSです。PHPで予約システムを作ろうとするなら、WordPressとも相性がよいです。すでに自社サイトなどをWordPressで作成している場合には、予約システムのプラグインを利用する方法も選べます。

WordPressのプラグインはそのまま設置して使えるだけでなく、ソースのPHP記述部分のカスタマイズも可能です。WordPressの予約システムプラグインは、有料から無料まで幅広いものがあります。プラグインによって特徴が異なるため、予約対象である商品やサービス、予約システムを設置する目的に合ったプラグインも選べます。

▼予約システム構築に使えるおすすめのWordPressプラグインについて、以下の記事でも紹介しています。
【2023年最新版】[WordPress]予約システム構築に使える<br>おすすめプラグイン12選を徹底紹介|簡単に埋め込める既成フォーム、スクール向けなども

カスタマイズやエラー対応も簡単にできる

PHPは記述もシンプルで初心者でも取り扱いやすいプログラミング言語です。PHPのオープンソースやプラグインを導入したあとも、記述によるカスタマイズができます。PHPでの予約システム作成時、または構築後にエラーが発生したときも、対処方法をWeb上ですぐに検索可能です。

PHPのオープンソースやプラグインで予約システムを作るポイント

コードが書かれたノートパソコンの画面

公開されているPHPのオープンソースやWordPressプラグインを利用すれば、PHPを0から記述しなくても予約システムが作れます。
ただし、PHPのオープンソースやWordPressのプラグインを利用する際には、踏まえておかなければいけない注意点もあります。
PHPのオープンソースやWordPressプラグインを使って予約システムを作る方法と、注意点を解説します。

自社の商品やサービスに合ったものを選ぶ

PHPのオープンソースやWordPressプラグインの予約システムは、それぞれで特徴が異なります。自社の商品やサービスに合ったものを選ぶのが重要です。

たとえば、日付や時間を指定しての予約のみのシステムもあれば、ひとつの予約で連続する日付の予約が可能なシステムもあります。宿泊予約など日をまたぐか、イベント予約など特定の日時に予約するかなどを踏まえて選びましょう。 レッスンやスクール向け、美容院向け、イベント向け、ホテルや旅館向けなど、業種に特化したオープンソースやプラグインもあります。

導入を検討しているオープンソースやプラグインに、自社に必要な機能がそなわっているかを確認しましょう。

ライセンスを確認すること

オープンソースやプラグインは、無料で公開されているものもあります。無料のものは、コストがかからないため気軽に導入できるのがメリットです。

ただし、ライセンスはかならず確認しなければいけません。
ライセンスとは、簡単に言えばオープンソースの著作権を指します。無料のオープンソースやプラグインはコストが発生せずに利用できるものの、著作権は作成者に帰属しています。ライセンスの条件を遵守することで、オープンソースやプラグインが使用できる仕組みです。ライセンスの条件は、作成者が「利用規約」にて定義しています。

ライセンスの規約には、たとえば「使用時には作成者の記載やダウンロードページへのリンクを貼る」「商用利用はできるが再配布は禁止」などがあります。ライセンス違反をすると著作権違反に問われる可能性があります。無料のオープンソースやプラグインの予約システムを利用するときには、ライセンスについても確認をしておきましょう。

マニュアルやサポートについて確認しておく

オープンソースや無料のWordPressプラグインは設置からトラブル発生時まで、基本的に自分で調べて解決しなければいけません。サポートがあるのは一部の有料WordPressプラグインのみです。WordPressプラグインはマニュアルが用意されている場合が多いですが、なかには英語マニュアルしかないものもあります。

オープンソースの場合はマニュアルを含め、サポートをしていないものがほとんどです。自分や予約システムを構築する担当者がどこまで対応できるかという点も、オープンソースやWordPressプラグイン選びのポイントになります。

PHPによる予約システムを作る方法

カレンダーとペン

PHPで予約システムを作るにはどうしたらよいか、知りたい人もおられるでしょう。ここでは、PHPで予約システムを作成する手順をご紹介します。

PHPはあくまでプログラミング言語であるため、予約システムのメカニズムはどの言語で開発した場合でも変わりません。予約の対象(リソース)と、予約する時間を登録し、保存する仕組みがあればよいだけです。

予約システムの仕組みについては、以下の記事にも紹介しています。
▼関連記事
「予約システムの作り方」を無料で運用方法まで検討してみる

PHPで予約システムを作成する流れ

ここから具体的にPHPで予約システムを作成する流れについてご紹介します。予約システムの仕組みは前述のとおり「予約の対象(リソース)と、予約する時間を登録し、保存する」です。よって、この仕組みをPHPというプログラミング言語で実装します。
具体的な流れとしては、以下の作業を行っていきます。

  • 予約情報を保存する入れ物をつくる(データベースの設計、構築)
  • 予約の対象と時間を入力する画面をつくる
  • 入力した予約情報をデータベースに書き込む処理をつくる
  • データベースから予約情報を読み込む処理をつくる
  • 予約情報を一覧表示する画面をつくる

入力された予約情報を格納するためには、データベースが必要です。PHPでシステムを開発する場合は、PHPと同じオープンソースである「MySQL」や「PostgreSQL」を利用するケースが多いです。「MySQL」と「PostgreSQL」は、同じオープンソースとはいえライセンスが異なるため、利用規約を確認しましょう。

その他、PHP以外にもJavaScriptといった、画面を作成するために必要なプログラミング言語もある程度習得しておく必要があります。

データベースの設計

最初に、データベースの設計から実施します。「MySQL」「PostgreSQL」ともにリレーショナル型データベースであり、表形式の「テーブル」にデータを格納します。最初に予約情報を登録するための「予約テーブル」を作成します。参考までに、予約テーブルには以下の情報を格納するとします。

  • 予約ID(主キー)
  • 氏名
  • 電話番号
  • 人数
  • 予約日
  • 登録日

他にも、たとえばホテルのような宿泊施設であれば部屋番号、セミナーであれば会議室といったリソース情報があれば、テーブルの項目としてあげられます。

予約テーブルだけだと、同一顧客が複数回予約した場合でも氏名や電話番号を繰り返し入力する必要があります。顧客情報を保存する「顧客テーブル」を作成し、一意の顧客IDをつけると、顧客IDで紐づけることにより、氏名や電話番号を何度も登録する必要がなくなります。

テーブルを作成することにより、データベースに予約情報を保存できます。次に、予約情報を入力するためのフォーム(画面)を作成します。

予約情報の入力フォームの作成

Webブラウザで、予約情報を入力するためのフォームを作成します。ここで、HTMLやCSS、JavaScriptなどのスキルが求められます。これらはいずれもWebページを作成するための言語です。

HTMLは、Webページに表示したい文章やリンク、画像などを表示するためのマークアップ言語です。CSSはスタイルシートとも呼ばれ、HTMLで作られた文書構造を装飾し、見栄えをよくするためのものです。

HTMLとCSSだけでもWebページを作成できますが、それだけだとそのまま表示されるだけで、操作ができません。JavaScriptという言語をつかうことで、入力項目にチェック処理をいれたり、メニュー項目をいれたりといった、動きをつけることができます。

データベースにデータを保存する、といったサーバー側の処理を組み込むなど、データベースとのやりとりを開発するには、PHPを使用します。

データベースへ予約データを書き込む処理の作成

入力された情報を、最初に作成したデータベースへ登録する処理を実装します。ここでPHPを使用して処理を作り込みます。

ここでの処理の内容は、PHPで以下の3つの処理を行います。

  • データベースへの接続
  • データベースに入力された項目を登録する
  • 登録に成功すれば、処理成功のメッセージ、失敗したらエラーメッセージを表示

具体的なプログラムソースの内容は割愛しますが、PHPではMySQLやPostgreSQLといったデータベースへの接続は標準で組み込まれており、情報も豊富にあります。ぜひチャレンジしてみてください。

ここまでで予約情報の登録を行うことができましたが、今度は登録した情報を確認できなければなりません。確認するためには、データベースから登録した情報を「読み取る」仕組みが必要です。その仕組みも、PHPで実装します。

データベースから予約データを読み込む処理の作成

登録された予約情報を読み込む処理を作成します。この処理がないと、一度登録した予約情報を確認できません。予約データを読み込んだあと、更新した結果を登録する処理を作り込みます。

ここでは、以下の処理を実装します。

  • データベースへの接続
  • データベースに登録されている予約情報を読み込む
  • 読み込んだ予約情報を順次表示する処理を作成する

注意しておかなければならないことは、予約情報が大量にあると、読み込む時間が長くなることです。そのため、情報を検索するための画面を別途作成しておくとよいでしょう。
たとえば、なにも検索条件がなければ全ての予約情報を読み込んでしまいます。仮に数万件も蓄積されていた場合は、読み込むだけで時間がかかってしまいます。月ごとの予約情報を確認できるようにすれば、その月分の予約情報を取得するだけで済みます。

そのため、読み込む予約情報の検索条件を設定できる項目を作成しておくと便利です。

予約データを一覧表示する処理の作成

予約データはカレンダー形式で一覧表示すると、わかりやすくなります。また、予約フォームへのリンクまたは予約ボタンを一緒に表示すると、操作も簡単になり、使い勝手もよくなります。予約時は予約したい日付のボタンまたはリンクを選択し、予約フォーム表示画面へ遷移するように処理を作り込みます。

これらの画面および機能を作成して、予約システムが完成します。データベースの設計から予約画面の設計及び作成となると、スキルだけでなく作成時間もかかります。しかし、ITスキルを学んでない人が1から予約システムを開発するのは大変と思う人もおられるでしょう。

そんな方に向けて、フリーで公開されているPHPオープンソースの予約システムをご紹介します。この予約システムをWebサイトに組み込むだけで、予約システムが利用できます。予約システムの開発が難しいと思う方は、オープンソースの予約システムの利用もご検討ください。

今日から使えるPHPオープンソースの予約システム4選

PHPのイメージ

PHPは初心者でも取り扱いしやすいプログラム言語ですが、いきなり予約システムをすべてPHPで記述し、構築するのは難しいです。PHPで作られたオープンソースの予約システムを使えば、初心者でもすぐに予約システムを作れます。

オープンソースをベースにカスタマイズしていけば、PHPに少しずつ慣れながら理想の予約システムを構築できるようになります。 オープンソースの予約システムを4つ紹介します。

web closet「予約希望日時を受付ける予約フォーム- FormReserve ver 1.0 -」

予約者が希望する日時をフォームから送信できる予約システムです。日時の表示変更や確認メール送信の有無なども設定できます。

同じくweb closetで公開しているオープンソースのカレンダーシステム、「定休日や休業日を指定・管理できるカレンダー- MiniCalendar ver 1.0 -」と一緒に使うのもよいでしょう。ユーザーが予約を取る前に、定休日や休業日を確認できます。

有料ライセンスを取得すると、著作者リンクを表示せずに利用できるだけでなく、予約希望日を第2希望、第3希望と複数指定することが可能です。また、予約希望のリストに除外したい日を設定ファイルに指定することで、より柔軟な予約受付日の設定ができます。

PHP工房「CalendarForm01」

営業日カレンダーを兼ねた予約システムです。予約、申し込み(受付)数管理、予約のメール送信ができます。簡易的なものでよければ、宿泊など日をまたぐ予約も可能です。担当者名、部屋タイプなど補足情報の入力もできます。なお、予約受付上限設定のない有料配布版もあります。

PC、スマートフォン、携帯電話(ガラケー)それぞれに最適化されたファイルが同梱されており、同時更新が可能。申込上限数も設定できるため、上限に達したら自動で申込ボタンを非表示にできます。

フリー版でも細部まで設定が可能であるため、サンプルデモ等を実際に利用して機能を確認するとよいでしょう。

OpenReaf「OpenReaf」

施設予約システムのオープンソースです。複数施設の予約ができます。利用料金、営業時間なども施設ごとに設定可能です。オープンソースながら利用ガイドがあるため、初心者でも設置しやすいのが魅力です。有料のライセンス版への移行もできます。

利用者に使いやすい機能が豊富という点も特徴です。予約を行った施設に対して繰り返し予約できる機能や、よく扱う施設をお気に入りとして保存する機能も搭載。期間中に多くの人が申込む場合に、公平に利用者を選び出す「抽選申込」機能も利用できます。

Open Source Fruits「phpScheduleIt」

予約の管理や権限設定などができる管理者ユーザーに加えて、複数の一般ユーザー設定ができる予約システムです。一般ユーザーについてはログイン画面からユーザー自身が登録するか、あるいは管理者のみが設定できるようにするかを選べます。会員制の予約サイトを構築したいときにも選択肢に入ります。会議室をはじめ、施設の予約システムとして便利です。海外版ですが、日本語にも対応しています。

施設単位で利用者のスケジュールを一覧表示する機能や、参加者を招待して予約する機能があり、利用者を一目で把握することが可能。また、管理者の設定により、利用者ごとに予約できる会議室を個々に設定したり、予約時に承認の要・不要を設定したりできるなど、予約に制限をかけることもできます。

まとめ

PHPは初心者でも取り扱いやすく、情報も手に入りやすいプログラミング言語です。PHPで作った予約システムは機能の追加やデザインの変更などカスタマイズもしやすくなっています。

ただし、システム開発(SI)は、オーダーメードならではの優位性がある一方、ディレクション・プロジェクトマネジメント〜要件定義〜テスト〜導入〜保守〜セキュリティ対策〜導入範囲拡大・運用変更・システムの老朽化への対応まで多大な金銭的・時間的コストがかかります。

予約システムに関する作業の手間を省きたいなら、クラウド型の予約サービスを利用するのも有効です。

クラウド型予約システム「ChoiceRESERVE」は、システム開発の発注・運用経験が不要でカスタマイズのように自社の要件に合わせて見た目や機能を選ぶことができます。

コストや設置・管理の手間などを考え、自社の予約管理業務に合う予約システムを設けましょう。

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