シェアリングエコノミーで予約機能が担う役割を探る
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インターネットを介し、個人間で物や場所、技能、サービスなどを貸し借りする、シェアリングエコノミー。
当初は家具や場所、車といった有形財を貸し借りが中心でしたが、ここ数年で保育やドライブなどのサービスなど、その領域は着実に拡大しています。
このシェアリングエコノミーを支えるのが、マッチングプラットフォームです。借主・貸主を探すコストを圧倒的に減らすプラットフォームによって、シェアする文化は急速に広まりました。
そして、このプラットフォーム内で重要な役割を果たしているのが、「予約」。双方のリソースを確保する行為として予約はサービス内でほぼ必ず行われています。今回は予約がシェアリングエコノミーの加速に与える価値を、予約を活用したマッチングプラットフォーム事例と共に、ご紹介します。
目次
シェアリングエコノミーにおいて予約が果たす役割
シェアリングエコノミーのプラットフォームが広まるにつれて、有形無形の商品をより細かい単位で切り売りすることができるようになりました。
プラットフォーム上で予約が果たす役割は、遊休リソースの活用可能枠を隙間なく埋めること。ものや場所のレンタルだけでなく、運送代行など、「時間を売る」という考え方も浸透してきています。
サービスを提供したい人の空き時間を予約してもらうことで、計画的な稼ぎ方ができるようになったとも言えます。
予約が活用されるシェアリングエコノミープラットフォーム事例
ここで、実際に「予約」というフローが取引上に組み込まれているサービスを確認していきましょう。
1. 場所のシェア:「ecbo cloak」
『ecbo cloak』は、カフェやお店の空いているスペースに、コインロッカーと同料金で荷物を預けることができるサービス。
コインロッカーを予約し、事前に決済することで「空いていなかった」「どこにあるかわからない」「小銭がない」などの不便を解消します。
駅ナカや郵便局も預かり場所として登録されており、駅近や観光地に預け先が多いのが特徴です。コインロッカーに入らないベビーカーや楽器など大きなサイズも600円から預け入れ可能。利用者は預け場所の広さを知った上で予約をするので、ミスマッチも防げます。
エリア・利用日・荷物数を入力すると、預け先候補の写真や詳しい地図が表示され、予約の操作性自体も簡単です。
Webサイトは英語、中国語、韓国語にも対応。ホスト側にも、預けるついでに店を利用してもらう、海外の旅行者に店を知ってもらえるなどのチャンスがあります。
ecbo cloak(エクボクローク)- コインロッカーいらずに手ぶら観光|ecbo clook
2. 時間のシェア:「Pick Go」
『Pick Go』は、個人荷主とフリーランスのドライバーを繋ぎ、荷物の運搬を実現するサービス。
いつ、どこへ、なにを運ぶのか入力すれば、3500名以上(2018年8月現在)のドライバーとマッチングできます。
Pick Goによって個人のドライバーでも予約を取り、自分のペースで働ける環境を得られるようになりました。予約が働き方の多様化を推進したサービス事例といえます。
3. 移動のシェア:「notteco」
『notteco』は、車を持たない人とドライバーをつなげる相乗りマッチングサービス。
利用料は無料ながら、本人確認を徹底して安全なサービスの提供に努めています。予約時には、個別メッセージのやりとりで、詳細な場所や時間を確定させます。
レンタカーのような、返却日時と場所が固定されているようなサービスとは違う、個人個人の都合に合わせて移動手段を予約できるのが、このサービスの魅力。
長距離ライドシェア(相乗り)- notteco(のってこ!)
4. スキルのシェア:「タイムチケット」
『タイムチケット』は、名前の通り自分の空き時間と技術を30分単位で売ることができるサービス。
提供側は提供したいスキルやサービス、時間、価格を登録。その内容に興味を持った依頼側は、サイト上で申し込みを行い、双方が同意すれば交渉が成立します。
時間が30分単位と細かく、スキルの提供方法・提供内容とも各自が指定できるので、幅広いサービスが提供され、利用者の幅が広く、汎用性に富んでいるのが特徴です。
5. モノのシェア:「Totte」
『Totte』は、プロ用のカメラやドローンなどの撮影機材に特化したシェアリングアプリ。
機材のオーナーはレンタルしたいアイテムを登録。機材を借りたい利用者は、使ってみたい機材を所有するオーナーにレンタルリクエストを送り、両者が承認したのち、オーナー指定の場所で機材の受け渡しが行われます。
個人が保有する機材をシェアすることで、レンタル会社を利用する場合よりも安い価格で取引ができるというメリットがあります。破損や紛失のリスクに対しては、保険補償のへ加入をさせることで、機材オーナーと借りる人の双方を守っています。
取引する商材によって異なる、ユーザーと予約の関係性
シェアリングエコノミーではリソースの提供者とリソースの利用者の双方が、予約行為を行いますが、手続きを進めるタイミングが異なります。
例えば『ecbo cloak』の貸す側は、オーナー登録をし、自分が所有する「荷物置き場」の空き状況を常に報告し続けます。一方借りる側は、借りたい日の直前にサイトへアクセスし、「荷物置き場」を検索、予約するという流れで手続きをします。
借りる側の予約タイミングが「点」である一方、貸す側の予約タイミングは帯のように期間を跨いでいるのです。これにより、予約をするときに、空き状況を聞いて、返信をまち、空いてなかったら別の日程を問い合わせる、と行ったようなやり取りが無くなります。
このような仕組みづくりが、シェアリングエコノミーを支える予約サービスでは行われているのです。
また、提供するリソースの時間や場所が限定されている場合、商品の形を誰にでもわかりやすいものに変容させる必要があります。スキルシェアの「タイムチケット」では、スキルを”時間”と置き換え、時間枠を予約することで、両者のマッチングが成立されています。
コストを削減したい利用者と、空き時間・スペースを有効活用したい提供者。マッチングサービスで予約をすることが、双方のニーズを満たしています。今後、どんな分野で予約が可能になっていくのか楽しみです。