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ネイルデザインからそのまま予約!アプリで収益が好調の「ファストネイル」とは?

ビジネス

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2019.03.20 2022.12.27
予約ラボ編集部

予約一筋15年のリザーブリンクが運営する『予約ラボ』の編集部です。注目のサービスや、予約から始まるサービス体験、予約管理にまつわるビジネスノウハウまで、「予約」に関するあらゆる情報をお届けします!共同研究のご相談や、予約ラボに関わってみたい!という方、お気軽にお問合せください。

INDEX

美容に関するWEBサービスを手がけるホットペッパーが2018年に行なった調査では、子どもをもつ女性の66.9%が「メイクやオシャレに気合が入る(気をつけている)場所・場面がある」と答え、なおかつ化粧品やお手入れ関連、美容サロン代に1ヶ月で費やす金額の合計は平均8,930円と回答しています。また、同サービスが2017年に行なった調査では、何らかのスキンケアを行なっている男性は2014年の同様の調査に比べて10.9%増加しています。

さらに、同サービスが2015年に若者を対象にして行なった調査では、情報収集の範囲が広く、美容改善の意識が強い層は化粧品や美容器具を買うだけではなく、サロンの利用頻度が高いということがわかりました。近年のSNSの発達やWEBメディアの増大により、若者が美容の情報に触れる機会は急速に増えています。それに伴い、美容に関するサロンビジネスは今後も伸長すると考えられます。

そんな中、今回取り上げたのは、ネイルサロンを多く展開している株式会社コンヴァノの「ファストネイル」。美容サロンを効率よく運営し、質の高いサービスを顧客に提案するためには、予約システムは欠かせません。今回は、独自のアプリを導入して予約率を向上させ、高効率のオペレーションを実行して業績を上げているファストネイルの事例を考察します。

1.ファストネイルとは?

1−1 . ファストネイルの特徴と業績数値

ファストネイルは、株式会社コンヴァノが関東・東海・関西を中心にチェーン展開する運営するネイルサロンです。高品質なジェルネイルを最短30分でサービスを受けることができ、ネイルサロンのデザインにより値段が変動しやすい点と違い、定額料金にて施術を受けられる点が画期的です。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

ファストネイルでは、以下に挙げる4つの点をセールスポイントとしています。
1、24時間ネットからの予約が可能。
2、店舗の多くが駅の近くや大型ショッピングモールの中にあり足を運びやすい。
3、上記でも説明しましたが、通常のネイルサロンでは施術後に確定することの多い施術代を最初から7種類に分けて提示しており、料金が明確である。
4、ジェルネイルを除去する必要がなければ最短30分と短時間で施術が可能である。
どれもメインターゲットとなる女性の現代的なニーズを反映した特徴であると考えられます。

コンヴァノの決算説明資料によると、売上利益、営業利益、当期利益共に上昇しており、中長期的に成長を続けていることが示唆できます。後述しますが、コンヴァノは今後も新規出店、エリア拡大を検討しているため、今後も増収見込みであると考えても良いでしょう。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

また、来店客数は13万3,000人と前年の同クオーターと比べて10%増加しており、顧客から支持され堅調に業績を伸ばしていることが分かります。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

ペルソナのニーズを叶えたセールスポイントが顧客満足度につながり、来店客の増加を実現しているファストネイル。これらのポイントももちろんですが、それ以外の要因も着実に業績数値を伸ばしていると考えられます。

また、多くの顧客を抱え、そしてチェーン店を効率的に運営していくためには、IT化、高効率のオペレーションの実現による管理のしやすさ、工数の削減について考えていく必要があるでしょう。つまり、各店舗のサービスを一定に保ち、効率的に店舗の運営をするためには、本部が一括して行うべき施策が必要になります。

それでは、ファストネイルではどんな施策によって業績を伸ばしていったのでしょうか。詳細をご紹介していきます。

2.売り上げにつながった要因とは?

2−1.自社会員が増えたことによる予約増加

ファストネイルの売上増加を支えている要因として、まずは新規出店を継続していることが挙げられます。ファストネイルのセールスポイントでもある立地の良さ、便利な場所に出店と掲げているように、2018年4月〜9月に新規出店したジョイナステラス二俣川店・広島パルコ店の例を見ても、ファストネイルの店舗は駅ビルやショッピングモールにあることから顧客が足を運びやすく、また新規顧客が来店しやすい環境にあるといえます。これらの要因が自社会員の増加に貢献しています。

ファストネイルが現在出店しているエリアは関東・東海・関西地方が中心で、それ以外の地域の店舗数はまだ多くありません。そして、マルイや東急、イオンなどの全国展開している主要な商業施設に対し、ファストネイルはまだ数%しか出店していません。コンヴァノは現状を「出店余地は広い」と認識しているので、今後も商業施設への新規出店が拡大・継続していくものと思われます。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

ファストネイルの予約システム「FASTNAIL TOWN」への会員登録者数は、2019年第3クオーターの時点で33万4,000人です。前年の同クオーターの会員数が24万2,000人ですから、順調に会員数が増加しています。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

2−2.アプリで叶えた顧客の要望とは?

ファストネイルが手がけるアプリ「ファストネイルアプリ」は2017年6月時点で10万ダウンロードを突破しました。通常のネイル関連のアプリは予約のみ、もしくはネイルデザインの閲覧のみのどちらか一方に特化しているものがほとんどです。しかし、ファストネイルアプリはその両方を可能としています。このアプリが予約件数の増加に繋がったものと見られます。

このアプリでできることは大きく分けて2つあります。1つ目がファストネイルの予約です。予約のシステムに関しても、24時間予約が可能なのはもちろんのこと、来店希望の1分前まで予約が可能なので、思い立った時に気軽にファストネイルを利用できる点が新規・リピート顧客の満足度を高めています。

またファストネイルの特徴として、リピーターが多いことが挙げられます。ファストネイルの顧客のリピーター率は2019年第3クオーターで85.9%と、リピーターだけで8割を超えています。しかもこの比率は前年の同クオーターと比べて3.3%増加しています。
この気軽に予約ができるシステムがリピーターになりえる理由の1つかもしれません。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

2つ目がネイルデザインの検索・閲覧です。「デザインFit検索」で豊富なデザインの中からユーザーの好みに合わせ、デザイン順に表示できます。また、検索対象となるネイルデザインは30万通りあり、豊富なデザインから好みのデザインを選べます。

また、キャペーンなどに参加するとポイントが貯まり、ファストネイルでの支払い時に利用できることは、リピートユーザーの獲得に繋がっていると考えられます。

このように、アプリでネイルデザインをデザイン順、顧客の好みに合わせて表示することや、30万通りのレパートリーの高さは顧客の潜在的な要望を叶え、UXの改善につながります。またデザインを店舗で決めるのではなく、店舗来店前にデザインから予約できるため気に入ったデザインから施術を受けるという工程も、顧客の満足度につながるといえるでしょう。

また、ファストネイルを運営しているコンヴァノも好調である理由を下記と考えています。

”通常のネイル関連のアプリは、「予約」だけや「ネイルデザイン」だけ等、どちらか一方に特化しているのに対して、ファストネイルアプリでは、ネイルデザインからそのまま予約ができ、店舗でスピーディにサービスをうけることができるのが好調要因だと考えております。”

今回の例は、業績向上にアプリの導入が大いに貢献する可能性があるということを示唆しています。

引用元:「ファストネイルアプリ」のダウンロード数が10万件を突破!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000006824.html

2−3. アプリによる高効率オペレーションの実現

チェーン店の運営に欠かせない効率のよいオペレーションを実現すると、無駄の無さから、顧客の満足度につながったり、また管理側も工数が大幅に削減するなど事業にとってプラスになることが多くあります。オペレーションが効率化すると、顧客をたくさん受け入れる体制も作れるので、利益に繋がることもあると言えるでしょう。また決算説明資料において、コンヴァノは会社の強みとして高効率オペレーションの内容を紹介しています。
ファストネイルではどんな施策を行なっているのでしょうか。そこで、効率的なオペレーションを実現していると考えられる3つのポイントを考察しました。

1つ目は、すでに取り上げたファストネイルのアプリにあります。ファストネイルアプリでは予約をする段階でネイルのデザインを見て決め、予約の際にデザインを指定できます(従来のネイルサロンと同じく、店舗で指定することも可能)。こうすることで、店舗側は1人当たりの店舗滞在時間を短縮して回転率をあげることができ、顧客としても自宅でゆっくりネイルのデザインを決められるので、双方にメリットがあります。アプリだけではなく、コンヴァノは自社の予約システムによりリピーターの増加はもちろん、コストの削減を実現していると説明資料にて示唆しています。

出典:コンヴァノ 決算説明資料

2つ目は、店舗における役割の分業です。従来のネイルサロンでは、ネイリストがネイリスト以外の仕事、つまり受付や会計などを行なっているため、必然的に1人の顧客に対して多くの時間を割かざるをえない状況になってしまい、その分生産性は低くなってしまいます。ファストネイルでは、受付やデザイン確認、会計やお見送りといった業務はコンサルと呼ばれるスタッフが行います。そのため、ネイリストはジェルオフ(すでに顧客の爪に付けられているジェルネイルを取り去る作業)やジェルオン(新しくジェルネイルをデザインし、塗布する作業)などの専門性の高い業務に集中できるので、生産性を高めることが可能になり、オペレーションが効率化したと考えられます。

3つ目は、データ分析による店舗支援です。ファストネイルには包括的な広告宣伝や販売促進行うマーケティング部門と連携した、データ分析の担当部署があります。この部署がPOSデータなどから数値を収集し分析を行ったうえで店舗の諸課題や解決策を検討し、 予約管理やキャンセル対策などを行います。
各店舗の課題や解決策を、店舗自体が思案、対応するのではなく、設置された部署が支援するため、効率的にサービスの改善ができます。これにより、ネイルサロンが業務に取り組みやすくなり、オペレーションが効率化したと考えられます。

3.まとめ

「時短」そして「高品質なサービス」など、現代の忙しい顧客のニーズに答えるためには、予約のシステムはもちろん、オペレーションの向上が不可欠です。ファストネイルは、予約と同時に「ネイルデザインの指定」という付加価値がリピーターの獲得に繋がっています。リピーターと新規顧客の獲得により、業績が好調なファストネイル。ネットからの予約が当たり前の時代になっている現状では、ただ予約ができるだけでなく「予約+α」に価値を見出すことが大きなポイントとなりそうですね。

顧客のニーズに答えながら、新たな付加価値を生み出す。ファストネイルの事例が、ビジネスの参考になれば幸いです。


予約ラボ編集部

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