2019/07/01

Amazonでのタイヤ購入体験から見た、 オンラインによるタイヤ販売と交換予約サービスの現状

車を持っていると、車検を筆頭にタイヤやオイルの交換、不具合の修理など、メンテナンスのためにサービス工場を利用するシーンに迫られる。
この原稿を書くことになったのも、私が古くなったスタッドレスタイヤを交換する必要に迫られたことがきっかけだ。
これまでタイヤ交換の際に利用したのはほとんどが大手量販店だったが、今回は初めてオンラインで購入することに。利用したのはAmazonだ。
タイヤをオンラインで購入しても、自分で交換作業をすることはできない。ところがこの問題を解決するチケットが、Amazonにはあったのだ。
一連の体験から調べたことを通じて、オンラインによるタイヤ購入とサービス工場予約の現状を考えてみたい。

Amazonでのタイヤ購入から、サービス工場での交換作業完了までの流れ

1.タイヤを購入する選択肢としてのAmazon

タイヤにかかわらずカー用品を購入しようとする場合、まず思い浮かぶのは大手量販店を中心とするリアル店舗ではないだろうか。リアル店舗に行けば、スタッフに車を見てもらうことによって、「どんな商品を買うべきか」「どんなサービスを受ける必要があるか」を、直接教えてもらうことができる。
しかし今回はAmazonでタイヤを購入することにした。日ごろからよく使っているサービスだったし、もともと車が好きで、タイヤについても自分自身で間違いのない商品を選べる程度の知識はあったからだ。
自分が購入の見当をつけたタイヤについて、いちおう大手量販店でも調べてみたところ、Amazonのほうが価格が安かった。
したがってリアル店舗に相談する必要もないし、同じものでも安く買えるのなら断然Amazonのほうがよかったというわけだ。

2.Amazonで購入したタイヤを取り付けるには?

Amazonでタイヤを購入した場合、交換作業をお願いするサービス工場については別途手配する必要がある。
当初、私はタイヤをどこかに持ち込んで交換作業をしてもらおうと考え、インターネットでそうした作業も請け負ってくれるサービス工場を調べていた。
ところがAmazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」の欄に、「タイヤ組み換えサービスチケット」なる商品が出てきたのだ。いくつかの商品ページを見ているうちに、自然とこのサービスチケットにも目が留まるようになっていた。

出典:Amazon

「タイヤ組み換えサービスチケット」はゴーゴーガレージという会社が販売するサービスで、価格は税込6,480円(2019年6月現在)。内容を簡単に紹介すると以下のとおりだ。

この「タイヤ組み換えサービスチケット」を利用する決め手となったのは、上の3つめの「Amazonで購入したタイヤをサービス工場に直送できる」点だ。タイヤは車全体でみればパーツの一部にすぎないが、けっして小さくはないし軽くもない。Amazonで購入して家に送ってもらっても、一時的とはいえまだ何の役にも立たないモノにスペースが取られ、さらにまた自分でサービス工場に運ぶ労が発生する。

タイヤをAmazonで購入するにあたって、致し方なしと考えていたデメリットが解消されるサービスチケットが、魅力的に思えたのだ。

3.先に買うのは「タイヤ組み換えサービスチケット」

Amazonの商品ページで案内されている手順どおりに「タイヤ組み換えサービスチケット」を購入したら、即座に以下のお問い合わせがメールで届いた。

「車両情報」は、車検証を見れば答えられる内容だ。「取付商品情報」は、これから購入する予定のタイヤを記入し、当日中に返信した。
すると、お問い合わせ内容について確認の電話が来た。購入予定のタイヤが車に適合するかの確認が細かくあったような記憶がある。なお、この確認の電話までは、チケットを買った当日中の出来事だ。チケット購入やメールの返信をした時間帯によって違いはあるだろうが、対応は非常にスピーディーな印象を受けた。

こうしてチケットを購入した翌日、決定したサービス工場と、タイヤ交換作業日時が記載されたチケットが、メールで送られてきた。

なお、このあとにも続く流れを各関係者を含んだ図に表すと以下のようになる。

4.送り先を間違えないように、タイヤを購入

サービス工場の取付日時が決まったことによって、ようやくタイヤの購入ができるようになった。
ここから先はAmazonの通常の商品購入と同じであった。タイヤだからといって特別な操作や入力はない。ただし送り先は自宅ではなく、チケット利用によって決定したサービス工場に変更することだけ注意した。

5.タイヤはちゃんと届くのだろうか?

購入が完了すると、Amazonでの販売元よりタイヤがサービス工場に送られる。
ここでのちょっとした不安は、購入したタイヤがまだ自分にとって接点のないサービス工場に送られることだ。タイヤの受け取りを直接お願いしたわけではないために、「いきなり知らない人からの荷物が届いた」みたいな扱いになりはしないか、少し想像してしまった。
もちろんAmazonからはタイヤの発送から納品まで逐一連絡が届く。状況はわかるので、特に自分からサービス工場に問い合わせたりはしなかった。

6.予約日時には、サービス工場へ車で行くだけ

最後に、案内されていた交換作業予約日時に車でサービス工場に行く。チケットを提示すると届いたタイヤを見せてくれた。あとは交換作業をしてもらうだけ。
3時間程度で無事に作業は終了した。工賃はチケット購入時に支払っているので、ここでは必要ない。

なお、古いタイヤを処分してもらうための「廃タイヤ処分料」と、タイヤと同時によく交換する「エアバルブ」の代金については、作業後に支払った。チケットにはこれらの費用は含まれていないからだ。

Amazon+サービスチケットを通じたタイヤ購入〜工場予約は、やや煩雑だと思ったワケ

この体験のそもそもの目的は、タイヤをオンラインで購入し、サービス工場を予約し、そこにタイヤを直送して交換作業をお願いしたいというものであった。

ただ、いささか流れが煩雑に思えたこともたしかだ。

いずれにしても「サービス工場の予約方法」にまつわる部分がネックになっているようなのだ。

煩雑さを解消したサービス工場の予約方法はほかに存在しないのか?

こうした煩雑さを解消するには、タイヤを買うと同時に「①サービス工場の指定」と「②即時予約」ができるECサイトがあるとよいのではないか。

イメージとしては、タイヤの購入画面に続いて「多くのサービス工場の空き状況を閲覧できて、タイヤの発送にかかる時間なども考慮したうえで即時予約ができる」ようなサイト。

そこでこれらを実現したものがないか、タイプ別に代表的なサービスを調べてみた。

 

タイプ ECサイト ①サービス工場の指定 ②即時予約※
オンラインモール Amazon(サービスチケット) ×
楽天(楽天タイヤ取付サービス) ×
タイヤECサイト TIREHOOD
オートウェイ
量販店の通販 オートバックス
イエローハット × ×
メーカー系EC ブリヂストン(コクピット/タイヤ館)
ミシュラン(ミシュランストア)

※「△」はサービス工場の予約はできるものの、即時予約ではなく時間調整が必要

オンラインによるタイヤ販売と、交換作業をお願いするサービス工場予約においては、「TIREHOOD」が理想形を提供している。

総じていえば、「タイヤECサイト」と「メーカー系EC」が特にサービス工場の予約の利便性を高める努力をしているようだ。いずれも、商材をタイヤに絞ったECサイトであり、チャネル戦略の一環として予約サービスを充実させているのだろう。

今回体験した「Amazon+サービスチケット」という形も、プラットフォーム上ではサービス工場の予約を提供できないが、ゴーゴーガレージと提携してできうるかぎり利便性を高めようとした結果のように思われる(Amazon自身も数多くの種類のタイヤを販売しており、タイヤECサイトの一種といえる)。

サービス工場の予約は、タイヤ販売側のチャネル戦略の狙いどおり?

とはいえ、利用者目線で考えるとすれば「予約の利便性が高いから、そのECサイトを通じてタイヤを購入しよう」とはならないように思う。

たとえば私の場合、今回の体験でAmazonを利用した最大の理由のひとつが「タイヤの価格が安い」という点だった。その際、特にサービス工場の予約の利便性などを気にしていたわけではない。個人的には、価格重視なので予約の利便性は目をつむってもいい。

タイヤ交換という目的は同じでも「たくさんの種類のなかから選びたい」「ブランドにこだわりがある」「アフターサービスが充実しているほうがいい」など、利用者によってさまざまなニーズがあるはず。予約の利便性以前に「もっとも求めているものはなにか」によって、どのECサイトを使うかはあらかじめ決まっているように思うのだ。

また、どんなタイヤを購入すればいいかわからなければ、いたるところにある量販店に行って聞いてしまったほうが話は早い。タイミングがよければタイヤを買ってすぐに交換作業をしてくれることもあるだろう。

タイヤの販売側で考えると、ECサイトは価格以外の強みやこだわりまでしっかり打ち出すことが必要だろう。予約サービスはオンラインにおけるタイヤ販売戦略の一環ではあろうが、販売戦略として機能させる前に、クリアすべき課題が多いように思う。

以上を総括すると、タイヤの販売側(=予約サービスの提供元)と利用者側とのミスマッチがかなり大きい、というのが実感である。ほぼ完ぺきと思われる予約方法を整備したECサイトもあるにはあるが、それが販売戦略として狙いどおりの効果を上げているのかどうかを、運営者に聞いてみたいところだ。

(ライター:三浦健一郎 編集:水藤友基)

予約ラボでは、共同研究や予約に関する調査を行っています。

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