事前注文で車に乗ったまま受け取り|ドライブスルーとは違う「カーブサイドピックアップ」とは
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コロナ禍以降、アメリカで広がりを見せている新しい形態のサービス「カーブサイドピックアップ」をご存じでしょうか。
主にウェブサイトやアプリなどを通じて事前に注文した商品を、駐車場で車に乗ったまま受け渡しするというものです。
この記事では、ドライブスルーとはまた異なるサービス「カーブサイドピックアップ」のメカニズムや国内事例などをご紹介します。
目次
カーブサイドピックアップとは
カーブサイドピックアップとは、事前にオンライン注文した商品を、店舗の駐車場で受け取るという販売サービスのことです。
もともとはアメリカのスーパー最大手「ウォルマート」がコロナ禍より数年前から実施していたサービスで、あらかじめ注文された商品を店舗側がカゴに詰め、駐車場の来店客の車まで運び搭載するといったものです。つまり、オンライン注文した商品を自宅に届けてもらう宅配サービスではなく、顧客が最寄の店舗に出向き自分で受け取るというサービスになります。
「混雑した店舗を歩き回る必要も、長い列に並ぶ必要もない」という顧客の手軽さや快適さを売りにした施策が功を奏し、コロナ禍以降は接触を避ける意味でも、さらに注目され始めました。
日本においても、ピザやファストフードショップなどにおいて採用され始めています。
カーブサイドのメカニズムとは
駐車場での受け渡しということでドライブスルーと混同されがちですが、違いはその工程にあります。
たとえばマクドナルドのドライブスルーの場合、
【専用レーンに入りマイクで注文】
↓
【進む間に商品を用意】
↓
【窓口で支払い後に商品を受け取る】
といった3つの工程が必要となります。
しかしカーブサイドの場合、オンライン事前受付によって【注文】【決済】という2つの工程が省かれるため、【商品受け渡し】という1つの工程のみを実行すればよいことになります。
つまり、店舗側はドライブスルーのための専用レーンがなくても、駐車場という引き渡し場所のみ確保すれば開始できるということです。
カーブサイドピックアップのメリット
カーブサイドピックアップは、顧客と店舗、双方に大きなメリットがあります。
顧客側のメリット
- 店舗に入る必要がなく混雑を回避できる
- 接触を避けられるため感染症対策などの面でも安心
- 事前決済で商品を受け取れるのでレジに並ぶ必要がない
- 子ども連れの顧客も乗車したまま受け取れるのでスムーズ
- 定期的に購入する商品はまとめて買っておけば再注文ですぐに注文可能
店舗側のメリット
- 店内の混雑を回避できる
- 接触を避けられるため感染症対策などの面でも安心
- 対応フローが少ないので省人化も可能
- オンライン注文のため、リアルタイムで在庫の把握ができる
- 宅配に比べ配送コストがかからない
アメリカではウォルマートの成功を受け、食品だけでなくディスカウントストアや家電量販店などでもカーブサイドピックアップが導入され、活気づいているということです。
対象となる商品
その店舗で販売されている商品のほとんどは、手に取れるものであれば対象となります。
ドラッグストアなどでは、医薬品や生鮮食品については店舗内での受け渡しとなることもあるようです。
ほとんどの場合は、顧客が注文した商品を詰めた状態のものをそのまま受け取るだけとなり、商品をひとつひとつ手に取って確認するなどの時間は取られません。駐車場で短時間での受け渡しを原則としています。
カーブサイドピックアップの国内事例
カーブサイドピックアップは日本でも普及し始めています。主な事例をご紹介しましょう。
ドミノ・ピザ ジャパン「スマートドライブスルー~車にお届けサービス~」
出典:https://www.dominos.jp/service/uketori
株式会社ドミノ・ピザ ジャパンでは、2020年8月よりできるだけ接触を避けた受け取りサービスを展開。テイクアウト受け取り時のオプションサービスとして「スマートドライブスルー~車にお届けサービス~」を開始しました。
具体的には、公式モバイルサイトから商品購入する際に持ち帰り方法から「私の車まで届けてください」を選択して注文する形になります。その後注文店舗の駐車場に入り、注文後に表示される画面にある「店舗に電話する」ボタンから電話で到着を知らせるとスタッフが車まで商品を届けてくれるというサービスになります。
来店客用駐車場のある全国約300店舗にて導入されています(※一部対象外店舗あり)。
イオンネットスーパー「店舗受け取りサービスピックアップ!」
出典:https://shop.aeon.com/netsuper/ar_tenpouketori
本州・四国のイオンネットスーパーでは、宅配だけでなく、手数料無料の店舗受け取りサービスが展開されています。指定カウンターで受け取りできる「カウンターピックアップ」、店内ロッカーで受け取りできる「ロッカーピックアップ」がありましたが、2020年9月から、車に乗ったまま受け取りできる「ドライブピックアップ」が新たに開始されました。
公式サイトから注文後、店舗に出向くとスタッフが車まで商品を届けるという仕組みで、事前決済となります。
日本マクドナルド「パーク&ゴー」
出典:https://www.mcdonalds.co.jp/shop/mobileorder/
マクドナルドのモバイルオーダーでは、2020年6月より受け取り方法として店舗の駐車場で受け取れる「パーク&ゴー」を開始。事前のモバイルオーダーで商品選択まで行ったあと、車で店舗の駐車場に出向き「駐車場番号」を入力してキャッシュレス決済を完了させると、できたての商品が車まで届けられるサービスです。
店舗の駐車場に到着してから「モバイルオーダー」を開始し「パーク&ゴー」の利用も可能です。通常のドライブスルーのレーンに入ったり車から降りたりする必要がなく便利なサービスとして浸透してきています。
くら寿司「くるまdeお持ち帰り」
出典:https://www.kurasushi.co.jp/topic/000435.html
くら寿司では、テイクアウトの際に駐車場での受け取りサービス「くるまdeお持ち帰り」が導入されています。くら寿司アプリの「スマホでお持ち帰り」から商品を予約し、店舗敷地内の黄色いのぼりがある「受け取りスペース」に駐車します。車を降りずにアプリの「店舗に到着しました」というボタンをクリックすると、スタッフが車まで商品を運んできてくれるというサービスです。支払いはオンライン事前決済のみとなります。
薬王堂「P!ck and(ピックアンド)」
出典:https://www.yakuodo.co.jp/pick-and/
ドラッグストア薬王堂は、2021年3月より、チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer」を展開する10Xと共同で実施する「ドラッグストアDX推進プロジェクト」の一環として、モバイルオーダーアプリ「P!ck and(ピックアンド)」を提供開始。アプリで商品を注文すると、最短2時間で店頭または店舗駐車場での受け取りが可能となります。
ナカガワ「お持ちかえりBOX」
千葉県いすみ市「ナカガワお持ちかえりBOX」では、事前注文システムCOTOL(コトル)を利用し、ウェブサイトから複数のマルシェ出展者の商品を同時に事前注文し、民家の駐車場で受け取ることができるドライブスルー型マルシェが運営されています。
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、普段は通常のマルシェに出店されている仲間を集めて始められたサービスとのことで、火曜から木曜の間に受けた注文を、その週の土曜にまとめて受け取ることができ、1回あたり6分ほどで段取りよく受け渡しがされています。
▼コトル
ネットで販売、店舗で渡す
ネットで注文・店舗でお渡しを可能にする、
店舗商品の予約注文受付システムです。
https://cotol.jp/
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予約制のドライブスルー型マルシェを体験して気付いた3つのこと
https://yoyakulab.net/investigation/nakagawatakeoutbox/
まとめ
店舗側は省人化や混雑回避ができ、利用者は並ばずスムーズに商品の受け渡しができる「カーブサイドピックアップ」。感染症対策という面だけでなく、その迅速さや利便性から、日本国内においても少しずつサービスが広がっているようです。
アメリカでは、スーパーやドラッグストアを中心にこのサービスによって大幅な売り上げアップにつながった企業も多く、モバイルオーダー後に車上受け取りというこのスタイルは、今後はさらに幅広い分野の業種への拡がりが期待されます。