予約システム導入で、管理業務を10分の1に。改善のカギは、チームでの課題切り分け。
知る・学ぶ
INDEX
会議室やホールの貸し出し予約を電話受付からweb受付に変えて、月80〜100時間ぶんもの業務を削減した法人があります。
公益財団法人早稲田奉仕園は、それまで予約管理を担当していたスタッフの退職を機に、レンタルスペースの予約受付方法をチーム一丸となって見直してきました。
同園では、これまで全て人の手で行ってきた予約管理業務を、予約管理システムの導入で改善。ただ、チームをまとめてきた海野(うんの)さんは、単にシステムを導入するだけでは業務効率化は期待できないと言います。
「私が大切にしてきたのは、現場のみんなとコミュニケーションを取りながら課題を洗い出すこと。そして、どの課題から解決すべきなのか優先順位をつけながら、そこに効く適切なツールを見極めることです」
この言葉の真意は、予約管理の改善、あるいはそのために予約管理システムの導入を考えている全ての人にとって、きっと参考になるはず。そう感じた予約ラボでは、このたび海野さんたちの取り組みを共有するイベントを開催しました。
イベント概要
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スペシャルゲスト
海野 牧人(うんの・まきと)さん
公益財団法人 早稲田奉仕園
セミナーハウス事業部 マネージャー長野県の舞台芸術ホールに勤務した後、2015年に早稲田奉仕園へ奉職。セミナーハウス事業(ホールや会議室のレンタル事業)の担当として、予約やお問い合わせの対応、お下見のご案内、施設管理などを行う。 2018年、予約受付を担ってきたスタッフの退職を機に、予約管理業務の見直しに着手。紙と電話の受付に伴う膨大な手間と書き間違いなどのリスクを懸念し、web受付への切り替えを推進。システムの検討・導入と業務フローの見直しを進めてきた。
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ゲスト
早稲田奉仕園 セミナーハウス事業部のスタッフの皆さん
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参加者(一部)
(1)住宅設備メーカー勤務: 展示場の運営担当。来館の予約受付をFAXからwebに切り替えたいが、社内に提案する上でのポイントは何か、好ましくない団体による申し込みの見極めなど属人化しがちなスキルはどうすればいいのか、予約増加に結びつくのかという点が気になっている。
(2)ピラティス・ヨガスタジオ経営者: レッスンの予約をwebで受付している。レッスンプランが多様でシステムのカスタマイズが必要だったり、web受付に慣れていないお客様へ方法を説明したり、結果的に工数が増えているのが悩み。
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モデレーター
星野 陽介(ほしの・ようすけ)
予約ラボ所長
2012年に(株)リザーブリンクに入社し、3,000件以上の予約管理の課題解決に関わる。国内最大規模のクラウド型予約システムであるChoiceRESERVE事業部責任者を経て、2018年より予約ラボ所長として、利用者と事業者双方の視点で「予約の知見」と「サービスの現場」を研究・発信中。
イベント当日の流れ
■13:45〜14:00 受付
■14:00〜14:20 イベントスタート・イントロダクション・名刺交換
■14:20〜15:30 登壇者自己紹介・対談・質疑応答
■15:30〜16:30 予約管理の現場見学・フリーの意見交換
目次
早稲田奉仕園が予約管理で抱えていた3つの課題。
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星野
今日はお時間ありがとうございます。さっそくお話を伺っていきたいんですが、まず早稲田奉仕園さんについて簡単にご紹介いただけますか?
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1908年に設立された公益財団法人で、大学生などに寮をお貸しする「学寮事業」、語学講座などの市民向けプログラムを実施する「活動事業」、ホールや会議室などを貸し出す「セミナーハウス事業」の3事業を展開しています。「他者と共生する人間形成の場」として青少年育成や市民活動の促進に取り組み、多様性ある社会を作り出すのが当園の理念です。
海野さん
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星野
海野さんが担当されているセミナーハウス事業のミッションは、どんなものですか?
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そうした活動を滞りなく行えるよう、安定した収益を確保することです。当園ではセミナーハウス事業と学寮事業で収益を立てて、それを財源に活動事業を展開して理念の実現をめざしています。加えて、NPOをはじめ草の根で活動されている市民団体の活動の場を提供することもセミナーハウス事業の目的のひとつです。
海野さん
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星野
今回、予約管理の運用を見直されたわけですが、これは直接的には売上の拡大ではなく業務の効率化につながる施策ですよね。セミナーハウス事業のミッションとは、具体的にどうつながるんでしょう?
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まず当園の収益の柱は、いまお伝えした学寮事業とセミナーハウス事業なんですが、学寮事業の売上を拡大するには寮を増やす必要があります。でも、それはなかなか難しい。一方、セミナーハウス事業は予約枠がたくさん余っていて、収益の伸びしろがあったんです。しかし、日常業務が忙しくて売上施策を考える時間が取れず、具体的にどのくらい枠が余っているのかといった集計も出来ていませんでした。
海野さん
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星野
そのあたりを綺麗にするためというわけですね。では、具体的に予約管理で感じていた課題にはどんなものがありますか?
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具体的な課題は大きく3つあって、1つ目は膨大な工数がかかっていたこと、2つ目は業務が煩雑でミスも多かったこと、そして3つ目がいまお伝えしたデータ集計が出来ていなかったことです。
海野さん
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紙・電話からweb予約に切り替えて、月80〜100時間ぶんの業務を削減。
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星野
なるほど。では一つずつ、まず工数のお話から伺えればと思うんですが、具体的にどんな課題があったか教えていただけますか?
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1件の予約を取るのに10〜15分もかかっていて、それが1日10〜15件くらい、月間で350〜450件くらい予約が入っていたので、多いと100時間以上も予約管理業務だけに費やしていたんです。当園の営業時間は朝9時から夜9時なので、ざっと9営業日分ですね。これはさすがに何とかしたいなと。
海野さん
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星野
それは確かに多いですね。
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これまでの当園の予約受付方法をお伝えすると、すべて電話で受けていました。受付や接客を担当するフロントのスタッフ2人が電話で予約希望日時を聞いて、オフィスに置いてある共用の予約ボードを見て空いているか確認。空いていればボードの枠を押さえて、お客様に団体名やご利用内容や人数、使いたい備品などをヒアリングして、この小さな用紙に書いていきます。
海野さん
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そして記入した内容をAccessに入力します。そのデータをもとに予約カードが出来上がるので、これを印刷して月ごとに用意したバインダーにファイリングしていきます。
海野さん
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星野
予約管理システムを導入して、どう変わりましたか?
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お客様自身に予約を入れてもらうようになったので、まず予約対応業務を格段に減らせました。また、お客様と予約の空き状況が共有できるようになったので「この日、空いてますか?」という問い合わせ対応もほとんどなくなりましたね。おかげで少なく見ても、月間で80〜100時間ぶんの業務を削減できました。
海野さん
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すごいですね。
参加者
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ありがとうございます。
海野さん
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星野
参加者の皆さんの中で、紙で予約を受けている方っていらっしゃいますか?
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うちの会社はFAXで受け付けてます。
参加者
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星野
どんな流れでやっていますか?
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うちは住宅設備のミュージアムを持っていて、その来館予約をFAXで受けているんですけど、敷地内にいくつもミュージアムがあって、そこで開催される体験イベントなどの予約を事務所でまとめて対応しています。だから、予約変更などの連絡がミュージアムに直接入ると「え? 何の予約?」となって、いちいち事務所まで走って行って、FAX用紙を確認しなければいけないんです。
参加者
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星野
それはかなり大変ですね。
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それで今まさに予約管理システム導入の話を進めているんですけど、社内に提案するにあたってどうすれば納得してもらえるか悩んでます。うちの会社は、まだ紙に対する信頼が強いというか、web予約って考えが浸透していなくて。「導入したら、売上が増えるの?」って話もあって。
参加者
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予約管理システムはあくまで業務効率化のツールなので、売上とはまた別の話ですね。起案に際しては、まずそれをしっかり伝えて、その上で業務効率化を軸に話を進めたほうが良いと思います。
海野さん
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星野
早稲田奉仕園さんでも、同じような課題があったんですか?
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全く同じではないんですが、今まではフロントの方がセミナーハウス事業の予約も、活動事業のプログラムの予約も、すべて一括で引き受けてくれていたんです。でも、それはさすがに止めようって話になって。今は部署ごとに予約をシステムの管理画面で取るようにしています。一つのシステムで部署ごとに予約管理ができるのも、webの予約管理システムならでのメリットですね。
海野さん
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星野
先ほどの話に戻ると、そうして展示場ごとにアカウントを持って業務を効率化できれば、空いた時間で売上を伸ばすためにはどうすればいいかという話もできますよね。
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確かにそうですね。
参加者
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予約管理プロセスを、ほぼ自動化。「仮予約」と「規定」を駆使し、ベテランスタッフに頼らない運営に。
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星野
2つ目の課題、紙や電話による予約受付だとミスが出やすくなったり煩雑になったりするという点は、皆さんどうでしょう?
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うちの会社も同じ課題を抱えてます。予約受付や変更の電話を受けた人が、取り急ぎ紙にメモして対応してるんですけど、その字が本人しか読めなくて共有されても内容が分からないので、後から確認が必要になるとか。
参加者
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星野
そこは手書きのデメリットですよね。早稲田奉仕園さんでは、どんな課題を感じていましたか?
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お電話は、1時と7時、9とQといった聞き間違いがあるのがリスクでしたね。あとメールアドレスも1文字ずつ確認しないといけないから時間がかかってしまいます。それを手元のメモに書き残しておいて、今度は別の管理用台帳に書き写さないといけない。この書き写しでも、作業漏れや書き間違いが起こる恐れがあるので不安でした。
スタッフさん
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星野
「今日予約してる者なんですけど」って言われて台帳を見ても、予約が入ってないといったことも起こってしまいそうですね。
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うちも全く同じ課題を抱えていましたね。
海野さん
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星野
そうしたリスクを減らすために、今まではどうされていたんですか?
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ダブルチェックしていました。台帳とボードの情報を照合して。ただ、もちろん必要な作業なんですけど、ここにかなり工数がかかっていたので、このままの運用ではキツイと。だから、2019年4月からは、当日の予約以外、webでしか予約を受付できないようにしました。
海野さん
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もう電話受付は、基本、対応してないんですか?
参加者
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はい。ただ、web予約ができないお客様もいらっしゃるので、窓口に直接いらっしゃるお客様や、FAXなど確実に文字情報で残るお客様の予約については、web以外の方法で受け付けています。
海野さん
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お客さんから「この日に予約したいんですけど」って電話が来ても、webに誘導されているんですか?
参加者
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そうですね。紙と電話だと書き間違い・聞き間違いなどが起こり得るので、そうしたミスでご迷惑おかけするリスクを減らすためにって説明して、webから入れていただいています。
海野さん
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星野
現場の運用で困ることなどありますか? なかなか納得してもらえないとか。
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皆さんすんなり理解してくださるので、今のところ問題はないですね。
海野さん
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でもweb予約だと、好ましくない団体からの予約をどう断るのかといった懸念はありませんか? うちは今、そうした予約を人の手で避けているんですけど、web予約にしたらどうフィルタリングしようかという点がネックになっていて。
参加者
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分かります。当園も以前は、ベテランスタッフの経験に頼っていました。この属人化したスキルをweb予約でどう担保するかは悩みどころでした。
海野さん
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今はどうされているんですか?
参加者
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お客様が予約を入れると「仮予約」という状態になって、その内容をこちらで確認して、問題なければ承認するという流れになっています。あと、利用規定もかなり細かく書いています。現場のスタッフの話を聞くと「web予約だと利用規定をサイトに書いておけるのが良い」という声がありましたね。当園の規定はけっこう量があるので。
海野さん
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確かに、これだけの量を電話で説明するのは大変ですね。
参加者
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今まではそこをベテランスタッフに頼り切っていました。web予約にしたことで属人化したスキルに依存しない運用が出来るようになりましたね。
海野さん
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星野
実際、フィルタリングは出来ていますか?
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まだ改善の余地はありますが、おおむね問題ありません。
海野さん
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星野
パッケージ化されたクラウド型の予約管理サービスだと出来ることが限られると思うので、そうした対応が難しいケースもあると思います。導入した予約システムで出来ないけどやりたいことは、どう実現されているんでしょう?
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他のサービスを使っています。たとえば、当園はホールのご利用だけは別途「ホール申込書」の提出をお願いしています。これは用途によって当園の準備も変わるからです。コンサートでご利用される場合は、ピアノの調律が必要になるとか。だから、用途の詳細を教えていただくために「ホール申込書」の提出をお願いしているんですが、これは予約管理システムでは対応できないので、Googleフォームを使っています。そちらに送っていただき、内容に問題がなければ予約を承認します。
海野さん
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星野
予約管理システムで出来ること・出来ないことを把握して、それぞれに適したツールを併用されているわけですね。
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予約データの管理も効率化。より細かい現状分析が可能に。
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星野
では最後、紙だとデータの集計が出来ないという点について、まず改めて何が課題だったか教えていただけますか?
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収益を伸ばすためにはまず、予約の空き状況を把握しないといけなかったんですが、これまで紙で管理していたので、集計が上手くできていなかったんです。これを何とかしたかった。あと予約数という点でいくと、機会損失をなくしたいというのも私の中ではありました。もともと電話予約によるミスや業務工数を減らしたいというのが第一の目的で予約管理システムを導入したんですが、平日はけっこう枠が余っていて、これをもっとアピールしたかったので。
海野さん
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星野
web予約に切り替えてから、どう変わりましたか?
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集計が格段に楽になりましたね。CSVで出力できて自由に料理できるので、いろいろな角度から分析できるようにもなりました。たとえば、当サイトにユーザー登録いただいた方の7割が実際に予約いただいているなど、細かいデータが可視化できています。
海野さん
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狙いとは異なると思いますが、予約数は増えたんですか?
参加者
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ウェブ予約化が要因かどうかは定かではないですが、結果的に増加傾向にはあります。あと、これも副次的な効果ですが、新規団体の登録数も増えていますね。最近は偶然にも、中国の方の団体利用が平日にかなり入るようになっていて、これは驚きでしたね。
海野さん
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集客のために何か手を打たれたとか?
参加者
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いえ。それは次のフェーズの話だと考えているので、何もやっていません。そのため、利便性の向上が一因なんだろうと思っています。web検索で見つけられるようになったり、深夜でも予約できるようになったり。データを調べてみると、今は営業時間外の予約が4件に1件、25パーセントくらいあるんです。
海野さん
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星野
そういう分析もできるようになったわけですね。
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はい、まずは現状の数字管理ができるようになったことが重要に思います。ただ先ほどもお伝えしましたが、予約管理システムはあくまで、顧客の予約管理の利便性を向上させたり、運営側の業務を効率化したりするためのツールだと思っています。ですので、当園の予約数が増えたのは副次的な効果ですね。
海野さん
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予約システムは、何でも解決してくれる魔法の薬ではない。
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星野
ひとつお伺いしたいんですけど、海野さん、何度か「予約管理システムは、あくまで予約管理のためのもの」って主旨のことをおっしゃられてますよね。それは今回の予約システム導入に際して、最初から意識されていたんですか?
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スタッフのみんなとどうするのが良いのか試行錯誤していたら、自然とそう考えるようになったという感じですね。
海野さん
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星野
他に意識されていたことはありますか?
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大きくは3つあって、1つは今の「予約管理システムは、あくまで予約管理のためのもの」で、2つ目は現場とのコミュニケーションをしっかり取ること、そして3つ目はPDCAを回し続けることですね。
海野さん
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- Q. PDCAとは?
- A. Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)という流れを繰り返して業務を改善していく業務管理手法
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星野
具体的に伺っても良いですか?
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まず、予約管理システムは予約を増やしたり売上を伸ばしたりするツールではないと考えています。システムというのは何でもできる魔法の薬ではありません。
海野さん
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星野
おっしゃるとおりですね。
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だから「このシステムはどんな課題に効くのかな?」というのを、しっかり見極めないといけないんですけど、ここで大事なのが、組織の中で「いまどんな課題を解決しようとしているのか」を統一しておくことです。「いま私たちは予約管理業務の効率化を目的としていますよね? 全員その認識で合ってますよね?」って。
海野さん
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星野
なるほど。
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先ほど参加者の方が「web予約管理システムを導入して売上は伸びるの?」と会社から聞かれているとおっしゃっていましたが、これはまだ共通認識が作れていないからだと思うんです。上司の方は課題を「売上」だと考えていらっしゃる。でも、現場の皆さんは「業務の効率化」を解決すべき課題として捉えている。
海野さん
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確かにそうだと思います。
参加者
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だから管理者と現場がしっかりコミュニケーションを取って、課題について共通認識を持つことが大事だと思います。他の部署の人も含めて、みんなとコミュニケーションを取って理解してもらって、協力してもらえる体制を作ることが大切だと思います。「まずは業務を効率化しましょう。それから売上を伸ばす手を考えましょう」って。これが2番目ですね。
海野さん
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星野
3番目のPDCAは?
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ひとつ課題を解決すると、また別の課題が見えてきます。たとえば当園の場合、予約管理システムを入れて業務は効率化できましたが、一方でweb予約ならではの課題も出てきました。
海野さん
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星野
具体的には?
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先ほど好ましくない団体のフィルタリングの話が出ましたが、web予約にしていろんな方がアクセスできるようになったことで、今まで見られなかったお客様が受け入れられるようになっています。その影響で「この団体の用途、大丈夫かな?」という判断が難しくなってきていますね。だから、常にPDCAを回して改善していかなければいけません。
海野さん
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星野
ありがとうございます。実は早稲田奉仕園さんに今回の対談をご依頼させていただいのは、いまお話いただいた点が本当にすごいなと思ったからなんです。課題の優先順位をきっちりつけて、それを組織全体で共有して、改善している。これってビジネスの基本だと思うんですけど、なかなか出来ることじゃない。だから、それをとても上手くやってらっしゃる早稲田奉仕園さんの事例は、予約管理者の皆さんにはぜひ真似してほしいんですよね。
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チームで、予約管理の点検と改善を実施。
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星野
組織で意識統一、改善!PDCA!といっても簡単でないですよね?具体的にされていることはございますか?
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たとえば参加型評価といった取り組みを行っています。他の部署の人たちに、実際にシステムで予約をとってもらって課題を洗い出してもらっているんです。そうすると、私たちでは気づかない意見が出るんですよ。iPadだと見にくいとか。
海野さん
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- Q. 参加型評価とは?
- A. 利害関係者が互いの評価プロセスに参加することで、当事者意識を高めたり、関係性を強化したり、能力開発を促進したりする効果をもたらす評価アプローチ。近年、注目が集まっている。
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星野
ユーザーとしての気づきをフィードバックしてもらっているわけですね。
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はい。あと、この取り組みによって組織の方向性がそろうので、とても助かっています。先ほどのコミュニケーションの話に戻りますが、誰かひとりでも予約管理システムにネガティブなイメージを持ってしまうと、改善もやりにくくなってしまいますけど、ありがたいことに皆さんに理解いただけています。
海野さん
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早稲田奉仕園の今後の課題。
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星野
では最後に、早稲田奉仕園さんの今後の課題について教えていただけますか?
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もちろん当園の予約管理にも、課題はまだまだたくさんあります。予約管理の業務効率化は落ち着いたので、今は次のフェーズとしてそれらの課題を解消したいですね。
海野さん
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星野
具体的にはどんな課題が見えていますか?
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まずは料金体系です。これをシンプルにしたい。あとクレジット決済などオンライン決済と予約管理システムも紐づけたいですね。今は現金決済だけですけど、これがなくなればレジ閉めなどの作業もなくせますし、もっと業務を効率化できます。費用対効果の面で見送ってる状況なんですけど。
海野さん
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星野
早稲田奉仕園さんの料金体系は、貸し会議室事業でよくみますが、けっこう複雑ですよね。学生割引があったり、法人さんも形態によって割引率が違ったり。
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そうですね。ルールやレギュレーションは、なるべくシンプルにしていきたいです。スタッフもそのほうが良いと言っているので。
海野さん
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あともうひとつは予約数の増加ですね。これから集客についてもしっかり考えていく必要があります。
海野さん
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星野
まだまだこれからということですね。今日はたくさんのお話ありがとうございました。
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ありがとうございました。
参加者
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ありがとうございました。
海野さん
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対談後、施設内見学ツアーも実施しました。
約3時間にわたるイベントは、多くの気付きに満ちた内容となりました。
参加者の皆さんも海野さんのお話を聞いて、たくさん得るものがあった様子です。 またイベントの後は、早稲田奉仕園さんのご厚意で、施設内を見学させていただきました。
また、普段お仕事をされているスペースにもお邪魔させていただきました。
早稲田奉仕園の皆さんは、普段このようなスペースでお仕事をされています。写真右手の受付にあるPC2台と、奥の島(皆さんが囲んでいる場所)にあるPC4台には、予約システムのweb台帳を常に表示。奥の島で入ってきた予約の承認について相談・判断し、受付で当日の予約者対応を行っています。
予約カードがファイリングされたバインダーを前に、当時の苦労も伺いました。 今回は、早稲田奉仕園さんのご協力のもと、予約管理業務改善の事例共有イベントを開催させていただきました。
予約ラボでは今後も、当サイトでの情報発信、「予約の勉強会」などのイベント運営、読者の皆様とのコラボレーション・参加型の企画を通して、予約の研究を続けてまいります。