2018/10/03

ペルソナを予約へ動かすクリエイティブとは?婚活サービスで実践した3つのステップ

予約の“取りこぼし”と”ミスマッチ”をなくすために

予約をするお客様の周辺には、「やっぱりまだいいかな」「思ったサービスと違うかもしれない」と小さな懸念で予約を見送るユーザーがたくさんいます。ホームページまで来たのに「なんか違う」と予約をしないユーザー、「もっと良いサービスが他にあるのでは」と予約までのステップを途中で離脱するユーザー、そんな「お客様候補」を取りこぼすことなく、スムーズに予約へ向かってもらうための方法はないのでしょうか。

私が以前ブランドクリエイティブを担当していた婚活サービスでは、WEBや電話から店舗へ来店予約をし、店舗の営業担当が一人ひとりのお客様とお話しし、サービスに納得したら入会へ進む、というフローになっていました。入会後、一年前後の期間活動することになるため、サービスのミスマッチやクレームがなるべく起きないように、事前にきちんと理解してもらうことを重要視していました。
所属していたマーケティング部では、来店予約の数を増やすことがミッションでしたが、闇雲に数を増やしても広告費がかさむばかりで意味がなく、真の目的は「入会につながる質の高いユーザーを増やすこと」にありました。
そこで効果を発揮したのが、ブランドクリエイティブ戦略です。ペルソナのこころに響く強いメッセージとビジュアルでサービス認知を広げ、ホームページに誘導。ペルソナが必要としているさまざまな情報に触れてもらい、予約への動機を段階的に高めていく戦略的なクリエイティブ施策は、予約数・入会数アップという成果とともに、ブランドイメージの確立にも役立ちました。

興味があり、試してみたいと思っているのに予約しないユーザーを、一人でも多く予約へと動かすために、戦略的なクリエイティブに必要な3ステップをお伝えします。

 

1.予約して欲しいターゲットを絞る

「なるべく多くの人に知ってほしい、使ってほしい」という想いから、いつの間にかターゲットを広げてしまっていませんか?ただ、そうすると結果誰のためのサービスなのかが伝わらず、予約やサービス利用につながらない、ということは実際に起こっています。広告を見たりホームページに訪れた人を、確実にサービス利用へ誘導するには、「サービス利用を検討しそうな人のみをホームページに誘導する」のがもっとも合理的なのです。ターゲットは狭く。言われてみればその通りなのですが、実践できている企業は少ないのではないでしょうか。

婚活サービスでの実例:ターゲットを広げ過ぎた失敗・絞ったことによる成功

私が婚活サービスのマーケティング部で経験した実例をお話しします。

まず前提として、

ということがありました。

30~40代男女が主なサービス利用層でしたが、婚活の若年化を踏まえ、ターゲットを広げ、若年層向けの広告戦略を実行。具体的なサービス訴求は抑え、若い人への結婚への意識が高まるようなメッセージで広告展開をすすめました。その結果、若い層の問い合わせが増えた一方、詳しく話を聞くタイミングで

など実際のサービスとのミスマッチが発生し、顧客獲得には至らず。さらに、サービス利用の多かった、40代の層が「自分向けのサービス」ではないと認識してしまい、いずれも成果とならず。サービス利用者を減らす結果となってしまいました。

逆の事例もあります。「41歳男性」というもっともサービス利用を増やしたい層を意識し、広告、ホームページ、コンテンツ、営業資料など全てのクリエイティブコミュニケーションを「41歳男性」ターゲットで進めたクリエイティブ施策は、「40代男性が使いそうなサービス」というイメージ作りに寄与し、サービス利用者を増やす結果を出しました。

2.予約して欲しいサービスの提供価値を明確にする

「ターゲットがどうすれば満足するか」を考え、自らの提供価値という足場をしっかりと固めること。そうすれば、開示すべき情報や伝えるべきメッセージが見えてきます。ユーザーはサービス利用検討時に、「想像以上の結果が得られるかもしれない」という期待と「払う費用に見合った結果は得られないかもしれない」という不安の中で揺れ動きます。サービスの費用が高額ならば、その時間も長くなり、競合他社のサービスを確認したり、別の方法がないかと考えたり。

サービス提供側が提供する価値を明確に提示する事でユーザーは「これは私の求めるサービスに近そうだから、話を聞いてみよう」または「これは私の思っていたサービスと違うから今回は見送ろう」と選択し、次のステップに進む事ができます。後者に関しては、提供する価値が明確になっていれば「いろいろ検討して見た結果やっぱりこっちがいい」と再度検討されやすくもなります。

婚活サービスでの実例:クリエイティブでユーザーの不安を払拭したことで、来店予約率が向上

実際にお客様と接しているスタッフへのインタビューを実施したところ、ターゲットの不安は、利用料がどれくらいかかるのかという費用面と、本当に結婚できるのかという成果面が大きいとわかりました。「結婚できそう」というイメージだけではサービス利用には踏み切れない。そこで、出会いの確率、結婚相手を見つける確率など、過去の会員の活動実績を性別、年齢別などでホームページに公開。中には、競合他社が有利なデータもありましたが、隠さず多くを公開する事でユーザーの気持ちは「結婚できそう」から「自分の場合、結婚できる確率は〇%」と、成果が具体的に実感できるように。「もっと話を聞いてみたい」という人を増やし来店予約率の向上につなげました。

3.指針となるステートメントをつくる

婚活サービスマーケティング部に所属していた際には、社長や経営陣のサービスへの想いをヒアリングし、クリエイティブに活かすとともに現場スタッフの営業トークやお客様の声をよくききました。ほとんど全てのユーザーは、広告やホームページでサービスを知るため実際のサービスとのギャップに敏感に反応し、期待とのブレが大きいとサービス利用の見送りや、キャンセルなど「離脱」につながります。サービスに関わるスタッフ全てが、同じ意識でユーザーに向かい、「期待」を「確信」に変えてあげる事が大切です。そのためにスタッフ全員の指針となるのがステートメントです。

私は、クリエイティブに向かう前に、提供価値を明文化した「ステートメント」制作を進めます。

などを、経営者やスタッフと一緒につくり、目的に対しての「ブレ」や「ムダ」のない強いクリエイティブのベースとします。提供価値がはっきりすると、開発者から営業まで、サービスに携わるすべてのスタッフの想い・行動に一貫性が生まれます。「ステートメント」はあらゆるマーケティングの基盤となります。

昨今のユーザーは、広告以外のあらゆるメディアから企業やサービスの情報を入手できる環境にあります。「この前と言ってることが違う」など企業側のブレや、広告メッセージと実際のサービスのギャップ、利用者を甘くみたような表現や発信は、信頼を失うことにつながります。提供価値を明確にし、ターゲットを絞ってクリエイティブを考えることは、つまりユーザーとの良質な信頼関係の構築に欠かせない作業なのです。

短期的な利益や、社内的な納期などの問題から小手先のクリエイティブだけをあれこれ考えてしまっていませんか?ペルソナが迷うことなく予約まで進めるよう、しっかりと道筋をつくり、納得感のある情報提供を行う戦略性が必要です。「どんなユーザーに、どのような価値を伝えるべきか」をあらためて見つめ直す時間をつくってみてはいかがでしょうか。

 

著者:KaeKihara

予約ラボでは、共同研究や予約に関する調査を行っています。

expand_less