現役世代との接点を増やす!ネットとリアルを融合した、りそな銀行のチャネル改革とは

予約ラボ

「銀行」は、日常生活やビジネスシーンにおいて、必要不可欠な存在。

近年は、様々な銀行が、従来のビジネスモデルに加えて、事業の拡大を図るために「現役世代」に焦点を当てた取り組みを進めています。現役世代とは、生産年齢人口(15~64歳)と同様の考え方で、主に20~50代の「働き手」のことを指しています。
顧客のニーズに対応することはもちろん、クリエイティブな方法で集客する、またリテール取引の強化を行っていたりと、潜在的なニーズを掘り起こし、進化を続けています。

今回は、様々な銀行が行なっている施策の中から、ネットとリアル(店舗)を融合したサービスを提供している、りそなホールディングスのチャネル改革を読み解いていきます。

りそなホールディングスが、どのようにリテール取引の強化を行っているのかなどをふまえて、銀行関連企業が今後意識していくポイントや、銀行の新たな取り組み・集客方法、今後の方向性やトレンドなどを紹介していきます。

1. 銀行サービスの変化

1-1. 従来の銀行ビジネスとリテール

今に至るまで、銀行は「預金」「融資」「為替」を主に担ってきました。「預金」として資金を集め、集めた資金の大部分を、企業や個人などへ「融資」として貸し出し、その「利子」を得るという仕組みです。
つまり、資金を集め、運用するというビジネスモデルになります。

「リテール」部門では、主に個人顧客を対象とし、来店した顧客や顧客の自宅にて、預金・為替・融資・金融商品の販売などを行います。それぞれの顧客のライフスタイルやライフステージ、資産状況などを考慮して、住宅ローンや投資信託など様々な金融商品を提案しています。

近年、資金調達のトレンドが、間接金融から直接金融へと切り替わってきており、従来の地方銀行や信用金庫に加えて、都市銀行(メガバンク)も、生命保険や投資信託などの商品を多数提供するようになりました。

1-2. FinTech(フィンテック)を取り入れ始めた銀行

従来は、顧客の自宅に訪問したり、店舗に来店した顧客と取引を行っていた銀行。
しかし、急速な技術の進化がもたらした、デジタルエコノミー時代へ対応し、銀行も「FinTech」を取り入れ始めました。

FinTech(フィンテック)とは?

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。身近な例では、スマートフォンなどのデバイスを用いた送金もその一つです。(日本銀行より引用

FinTechという言葉は、アメリカでは2000年代前半から使われていました。
リーマンショック以降、金融機関への不信感の高まりから、新しい金融サービスを求めた人々を発端に一気に広がっていきました。
日本では、2015年にメガバンクグループで、FinTech専門組織の設立が相次いだことで、浸透した経緯があります。

銀行などの金融機関が、情報技術を活用することに加えて、IT企業などが金融分野において、サービスを展開することにも注目が集まっています。

1-3. 「決済サービス」で様々な企業と連動

銀行は、従来のターゲット層に加えて、ミレニアル世代やデジタルネイティブ世代などの若年層を含む「現役世代」を、新規顧客として獲得するために、様々な企業と連動してFinTechを活用したサービスの導入を進めています。
FinTechを活用したサービスは、送金、融資、保険、投資・資産管理、「おサイフケータイ」、仮想通貨など、多岐に渡ります。

従来、現金でやり取りをしていたサービスに、FinTechを導入することにより、「現金を用いずに、金銭を動かす」という、新しいシステムが生まれ、様々なサービスとして拡大しています。
身近な例としては、「オンライン決済サービス」が挙げられます。

LINE Pay

LINE Payhttps://line.me/ja/pay

コミュニケーションアプリ「LINE」と連動して使用できる、送金・決済サービス。オンラインショッピングの支払いや、LINEの「友だち」とのお金のやりとりが、LINE上だけで行うことができます。

Apple Pay

Apple Payhttps://www.apple.com/jp/apple-pay/

Apple社が提供する「Apple Pay」は、Suicaによる交通機関の利用や買い物、クレジットカードなどによるアプリケーション内・オンライン・店頭での支払いが可能です。

アマゾン

アマゾンhttps://www.amazon.co.jp/

世界最大級のECサイト。本、日用品、ファッション、食品、雑貨など、様々なジャンルの商品を扱っており、ポータルサイトを通じて取引を行います。

上記で紹介した3サービス以外にも、様々な企業がオンラインでの決済サービス・システムを取り入れ始めています。決済時に、登録してある銀行口座や、クレジットカード・デビットカード・プリペイドカードなどを選択すると、指定した支払い方法で決済できる仕組みを整えるなど、銀行と連動した取り組みが進められています。

これらの取り組みは、若年層を中心とする銀行との関わりが薄い世代を新たなターゲット層として取り込みたいという、銀行の意図を推測できます。
特に、ミレニアル世代やデジタルネイティブ世代などと呼ばれる若年層は、インターネットやスマートフォンが身近に存在している世代です。
そのため、他の世代と比べて、オンラインでの「決済サービス」を利用するハードルも低く、新規顧客を獲得したい銀行にも、身近なデバイスからサービスを利用したい顧客にも、どちらにもメリットのある取り組みなのではないでしょうか。

2. りそな銀行の取り組み

2-1. オムニチャネルを強化した理由

メガバンクの1つである、りそな銀行。
りそな銀行を統括する、りそなホールディングスは、「オムニチャネル宣言」と称して、オムニチャネルの強化を推進する戦略を実践してきました。

『リテールNo.1』の実現に向けた3つのオムニ戦略

”これまで有効な接点を持つことのできなかったお客さま”、”これまで汲み取ることができなかったニーズ”、”これまでリーチすることができなかった収益機会”へアプローチし、国内の幅広いリテールのお客さまに支持される「次世代リテール金融サービスモデル」を構築します。(りそなホールディングスより引用

3つのオムニ戦略とは、対面・非対面チャネルの強化とその連携を進める「オムニ・チャネル戦略」、全社員が顧客本位の付加価値を提供できる体制作りを行う「オムニ・アドバイザー戦略」、地域金融機関との多様な結びつきを拡大する「オムニ・リージョナル戦略」です。
これら3点を基本戦略として、りそなホールディングスは、次世代リテール金融サービスモデルの構築を目指しています。

オムニチャネルを取り入れることで、「リテールNo.1」を目指し、戦略事業領域の拡大や、新たな収益機会創出を図ることを目的としており、またオムニチャネルの強化をすることで、利便性の向上をも図ることができます。
例えば、金融商品の書類手続きでは、顧客がスマートフォンやパソコンなどを用い、オンライン上で申し込みをすることで、本来10種類ほど必要だった書類が、2~3種類にまで大幅に減らすことが可能になりました。ネットとリアルのチャネルを融合することで、銀行側の事務処理の作業時間の削減と、顧客の書類記入時間の削減が実現しています。

他にも、インターネット支店や、スマートフォンアプリでの口座開設、24時間有人テレフォンバンキングなど、様々なチャネルがあります。オムニチャネルの強化により、顧客それぞれの取引行動に合わせて、質の高いサービスを提供していくことを目指しると言えるでしょう。

2-2.様々なニーズに対応したサービス

単なる「銀行」という枠を超えて、「ハイブリッドな金融サービス業」への進化を目指している、りそなホールディングス。

そんな、りそなホールディングスの挑戦は、「いつでも」「どこでも」をキーワードに、取引時間と取引空間の向上を図ることから始まりました。

取引時間は、店舗営業時間の延長や24時間の有人対応テレフォンバンキング、振込などの取引を24時間365日行えるように改革。
取引空間は、スマートフォンを利用したアプリケーション「スマート口座」や決済をトータルにサポートする加盟店サービス「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」と、連動する「提携ウォレットサービス」など、Webサイトやスマートフォンでのサービスを大幅に増加させています。

また、万一の事態に備えての資産相続・継承サービスである「資産承継信託」は、超高齢化社会を迎えている昨今、ニーズの高まりを見せています。核家族化や多様なライフスタイルなどにより、別居している家族と密に連絡を取り合ことが難しい環境であることや、複雑な書類手続きを行う際に、銀行などの金融機関が間に入ることで、顧客の利便性の向上へ繋げたいということではないでしょうか。

一方で、若年層へ向けたサービスの充実も図っています。
「RESONA U25」は、25歳以下の顧客に対して、ATM手数料やデビットカードの年会費を無料にするサービスで、26歳以降も特定の取引を無料で行えます。
新たなターゲットとして、若年層を中心とした普段あまり銀行と関わっていない世代を獲得していきたいという銀行側の戦略を推測することができます。

このように、りそなホールディングスでは、様々な世代のニーズに応えるための施策を、多数展開しています。

3. マーケティング・営業スタイルの改革

3-1. マーケティング・営業スタイルの変化

りそなホールディングスは、オムニチャネルの強化と並行して、コンサルティング型ビジネスの体制を構築していきました。
「マーケティング」と「営業スタイル」を改革することで、集客率向上と多様な収益機会の確保を図り、リテールNo.1を達成する狙いです。

マーケティングは、顧客のライフスタイルに関する情報から、適切な商品の提案を行うため、まずはグループ会社内での情報連携を強化。さらに、グループ会社やアライアンス企業から、非金融情報や外部データなどを取り入れることで、顧客の潜在ニーズへのアプローチを行うことが可能に。
収集した情報は、マーケティングの施策として整備・分析する取り組みを行っています。

営業スタイルは、営業店舗の事務作業を削減することでリソースを確保し、営業強化を図る考えです。その施策として、「次世代営業店舗」の導入が挙げられます。
「次世代営業店舗」の導入では、店舗レイアウトや事務プロセスを根本から見直し、銀行業務における事務のあり方を問い直します。

「3ない・3レス」をコンセプトに、タブレット端末を導入し、顧客が「待たない」「書かない」「押さない」の『3ない』を実現し、「ペーパーレス」「バックレス(事務作業を減らす)」「キャッシュレス」という『3レス』により、サービスの効率化に力を入れています。

3-2. 銀行はどう進化していくべきか

りそなホールディングスは、「チャネル」「マーケティング」「営業スタイル」と、次々に改革を進めており、グループ会社の組織全体として、デジタルトランスフォーメーションを推進しているといえるでしょう。

「オペレーション改革」では、「3ない・3レス」というコンセプトからも確認できるように、りそなホールディングスは、顧客に付加価値を生まない事務作業を削減し、デジタル化することで、利便性の向上を図ることを重視しています。

営業店舗から事務作業を行うためのカウンターを大幅に減らし、代わりにタブレット端末システムが設置されたこと。そして、銀行員ではなく顧客がタブレットを操作して事務処理を完結させるスタイルを取り入れたことは、金融業界にとって大きな衝撃でした。

これらのオペレーション改革では、「待ち時間の半減」「顧客スペース倍増」「4割が顧客対応業務に充当」などの成果を上げ、日本サービス大賞・優秀賞(SPRING賞)を受賞しています。

また、デジタル化のデザインを標準化し、グループ会社全体で共有できるようにしたことで、組織としての生産性向上を図ることが可能に。情報共有をすることで、顧客のニーズや行動の多様化に合わせたサービスを、提案する体制も整い始めました。

「顧客の利便性の向上と、銀行の生産性向上を同時に実現」

これこそが、りそなホールディングスの経営戦略であり、今後の銀行が目指していく姿なのではないでしょうか。

4. まとめ

りそなホールディングスは、3兆円を超える公的資金の返済がきっかけとなり、10年以上かけて「銀行」から「ハイブリッドな金融サービス業」へと、進化を遂げてきました。

従来の、顧客の自宅に訪問をしたり、店舗に来店した顧客と取引を行う銀行のスタイルでは、店舗窓口を利用しない顧客へのサービスは、度外視されていましたが、りそなホールディングスのオムニチャネル強化の例などにもあるように、様々な銀行で、ターゲット層の見直しや顧客の利便性の追求により、インターネットやスマートフォンを活用したサービスの拡大や、ネットとリアルの融合施策を推し進めています。

高齢者向けの商品の充実など様々なニーズを持つ顧客への対応や、若年層を含めた現役世代の顧客獲得など、従来よりもターゲットとする層を広げ、さらなる集客を図る狙いです。

顧客の利便性の向上を追求した結果が、銀行の生産性向上にもつながり、さらに新たな収益機会の創出へと連鎖していくことが分かりますね。

銀行だけではなく、様々な分野の企業が、デジタルエコノミー時代にどう対応しているのか、注目していきましょう。

 

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