ポートランド(オレゴン州)で、料理教室を体験してきました!
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農や食に意識の高い街「ポートランド」で料理教室を体験。
こんにちは!リザーブリンク マーケティング担当の星野です!
先日、夏休みを2週間いただきまして、今話題のポートランドに行って参りました!(もちろん自腹です 笑)
ポートランドは、いまや「環境都市」「ファーマーズマーケット」「地産地消」「クラフトビール」「コーヒー」といったキーワードで、非常に注目を集めている米国オレゴン州最大の都市です。
※人口でいうと、ワシントン州シアトルよりやや少ない61万人(2013年)を抱えています。参考までに、リザーブリンクのある港区は夜間人口が20万人、昼間人口が88万人(平成22年国勢調査)。
例えば、エアビーアンドビーのポートランドオフィスには、いつでも従業員が地元の野菜を食べられる食堂があったり、60年代後半にリード大学(Steve Jobsは、ここを72年に入学し退学している)のグループ立ち上げたピープルズ・フードコープというコミュニティは「オーガニック」や「持続可能性」に徹底的にこだわっていました。所有者をつくらず、メンバー制の資金と、持ち回りでの店舗運営で成り立っている点も大変興味深かったです。
さて、2週間のポートランド滞在中、表参道駅近くの南青山にあるcommune246を拠点とするフリユニ(自由大学)が主催するキャンプの他、現地にてLIFE sampling (ライフサンプリング)※ というプロジェクトのワークショップに参加してきました!
※ライフサンプリングとは
”LIFE Sampling”という名義のもと、よりポートランドローカルと旅人たちが相互に交流し、じかに体験できる機会を提供しているポートランド在住のYuriさんSakikoさんのお二人が主催するプロジェクト。
ちなみに、わたくし星野は「うまいもの食べたい!」&「農や食に携わる人の価値観を直で感じたい!」という欲求から、この滞在期間中に開催されたライフサンプリングのワークショップ全てに参加させていただきました!
参加したワークショップ一覧
No. | ワークショップ名 | 内容 |
---|---|---|
1. | ファームサンプリングワークショップ | エイブルファームにて、農業体験と、とれたての野菜で外ご飯を楽しみながら、オーナーのミーガンの考えを学びました! |
2. | コーヒーワークショップ | クーリエコーヒーの珈琲焙煎所で、オーナーのジョエルにその哲学をお話いただきました! |
3. | クッキングワークショップ | 子ども向けの料理教室も主宰するローラの自宅にて、ルームメイト数名と一緒に料理を楽しみ、食卓を囲んで現地の文化を体感。「地産地消プラス」の考え方などを体験しました! |
今回はこのうちの一つである、クッキングワークショップで感じたこと、学んだことについて、かんたんにレポートしたいと思います。
料理教室の講師をつとめたローラは、なんと日本に留学経験もある異色の経歴を持たれておりました。
■Lola Milholland ローラ・ミルホーランド
ポートランド生まれ、ポートランド育ち。幼稚園児の頃から、日本語を学び、子供の頃から何度も日本を訪れる。
マサチューセッツの大学に在籍中、京都の同志社大学へ留学し、「和牛」について研究。また、料理好きな日本のホストファミリーが、京野菜を使い様々なメニューを生み出す姿に感銘を受ける。
卒業後は、ポートランドを拠点とするNPOのエコトラストで、編集やライターとして”Edible Portland”に今夏まで携わる。
傍ら、地元の学校給食の改善に貢献する活動をしたり、家庭になんらかの問題を抱える子供達を、自宅に招いて料理教室を開いたりもしている。 彼らの食生活を改善することが、彼らのよりよい毎日、豊かな未来に繋がると彼女は強く信じている。
余暇は、しいたけ狩りや天然酵母を使った料理などを楽しんでいる。
http://www.ecotrust.org/staff/lola-milholland/
この料理教室で体験した3つのこと。
1,講師自宅の広々としたキッチン&ダイニングで皆で料理。食卓を囲んで、ご飯をいただきました。
このワークショップで、わたしが「いいな!」と思ったポイントが、築約100年!の2階建て庭付きのローラの自宅で、料理と食事の体験ができたことです。
広々としたキッチン、ダイニング、リビングを贅沢に使って、参加者13名+ローラとその友達4名+ライフサンプリングのお二人=総勢19名が、わいわいがやがやとチームに分かれて料理に取り組みました。
この料理教室は、最新のシステムキッチンや、いかにもぴかぴかの道具で、かっちりレシピや技術を学ぶというよりも、生活感あふれるトラディショナルな自宅で、アイランド型の調理台を囲んだコミュニケーションが中心の、ポートランドにおける食の生活体験といった感じでした。
庭には小さな家庭菜園があり、2メートルほどの木の廃材が束になって無造作に置かれていたのも印象的でした。ローラのルームメイトに伺ったところ、ちょうど風呂場を自分達で改築(DIY)しているところなんだとか。
明るくてチャーミングなローラの人柄と、この空間のもつ力が、そこに流れていた時間をより豊かなものにしていて、ポートランドに生活するローラやそのルームメイトたちの考えや価値観・文化が、五感に響きました。
2,地産の食材をふんだんに使った料理。味付けはいたってシンプル。
◎メキシカンサルサ
ライムのしぼり汁がきいていました。
私もそうなのですが、辛いのが苦手な人のために、基本は辛さ控えめにして、もう一つ用意したボールは辛さを楽しめる用にしていました。
◎トルティーヤ
当日は鋳鉄でできた重厚感あるトルティーヤプレスを用いて、団子状にしたマサをつぶして生地を伸ばし、ホットプレートで焼きました。
◎サラダなど
他にも、グアカモレ(アボカド・ディップ)や野菜料理などが食卓に並び、手作りのトルティーヤに挟んでメキシカン料理を楽しみました。
3,地域の農家をコミュニティが支えることで、サステイナブルに旬なものを新鮮な状態で消費する仕組み。
料理教室で、ローラとライフサンプリングのお二人から教えていただいた2つのキーワード「CSA」と「Buying Club」について簡単にまとめてみました。
◎CSA「Community Supported Agriculture」
ローカルファーマーと消費者が直接取引をおこなう「地域に支えられた農業」を意味します。
様式はいくつあるそうなのですが、ローラの取り組みは、週に一度、近所の配布スポットに農作物の入ったボックスが届けられ、そこにピックアップに行くというもの。シーズン前(だいたいが春〜秋)に代金を前払いすることで、契約農家の経済的・精神的支援になっているそうです。例えば、その年が天候の影響などで、ある種の野菜が不作でも、それは同じ地域に暮らしていることで納得できるといったように、直取引ならではのあたたかい信頼関係で成り立っています。
ローラはこのCSAというシステムがもっと消費者に浸透するよう、春先に農家と消費者が直接話したり、野菜を売買できるフェアを主催したそうです。
◎Buying Club バイイングクラブ
オーガニックで業務用の大量サイズの穀物などを、地域の会員と一緒に、卸価格に近い値段で買ってシェアします。
結果、運送料だけでなく、それにかかるエネルギー(環境への負荷)も軽減できるというものです。
ローラは好物の豚肉を半頭まるごと、仲間たちとファームから直接購入しています。
また、最近彼女は、エコトラストの仕事を辞めて、ローカルの酪農に関わる仕事を始めながら、新たに「地元のオーガニック食材を使って日本食を作る」というビジネスアイディアを模索しているのだとか。
まとめ
ポートランドでは、いくつかのスモールビジネスのオーナーや、ポートランドで想いを持って活動する方々に、生き方やビジネス、活動に対する考えなどを直接聞く機会がありました。
冒頭でも触れましたが、彼・彼女らの多くが、持続可能な社会をめざし、自身の活動に落とし込んでいるのと同時に、住民・消費側も、大手のチェーン店より、地元のスモールビジネスやサービスを支持・応援しているようです。
だからこそ、街に「味」が出てきて、またそのユニークな味を好む人が集まってくるという循環が生まれているのだと思います。
ローラはそんな街に生まれ、育ち、活動している一人で、このクッキングワークショップでは、そのリアルな空気感に触れることができました。この体験から、わたし個人的には、農に限らず、社会問題や普段の暮らしで違和感を持っていることがらを、改めて直視するようになったので、リザーブリンクでの仕事や、個人の活動としてもアウトプットを始めています。
出典・引用・協力
・ライフサンプリングさんからいただいたメニュー、紹介文など
・『Spectator 2015 vol.34 ポートランドの小商い』
・『TRUE PORTLAND 2015』
・吹田 良平『GREEN Neighborhood』, 2010
・自由大学 Creative Camp in Portland
・写真協力:Narumi Tanaka、Jun Haraguchi、Yukari Hoshi