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売上とお店のトイレに流れるBGMとの深い関係?!店舗BGMはここまで進化する

店舗向けBGMサービス

iPodなど携帯音楽プレーヤーや音楽配信サービスの普及により、ダウンロードした曲やCDの曲を店舗用BGMとして違法に(もしくは知らずに)流す事業者が全国に46万店(株式会社USEN調べ)あるといわれています。
そんな中、昨年6月にUSENとレコチョクが店舗用BGM配信サービスとして「OTORAKU-音・楽-」を発表しました。
この店舗用BGM配信サービスの背景には、店舗が抱えていたBGMに対する課題がありました。そこで、既存の有線放送を持ちながら、新たにサービス提供を開始した株式会社USEN 事業推進統括本部 OTORAKU事業推進部の佐藤氏・香山氏に、店舗が抱えるBGMに対する課題や店舗BGMの活用方法や今後について伺いました。

500チャンネルでは満足できない?店舗も曲単位で個性を出す時代

写真左から香山氏、佐藤氏

写真左から香山氏、佐藤氏

予約ラボこれまで多くの店舗にチューナーによるBGMを提供されてきたUSENですが、新しくiPadによる店舗向け音楽配信サービスを開始したのにはどのような背景があったんですか?

香山氏今、店舗向けBGM市場は、安価な個人向け楽曲配信サービスの台頭、CDやiPodを使って違法とは知らずに無断で流すなど、景気を考えても店舗BGMにお金をかける機会が少なくなっています。一方、美容院・カフェなどでは他店との差別化を図るため「曲単位で選曲したい」「もっととんがった楽曲を流したい」という声も多くありました。これらのお店はBGMを店舗の個性として考え、USENが持つ500チャンネルでは満足できなくなっていたんです。

予約ラボつまり、内装や看板のようにBGMを店舗の個性としてとらえる店が増えてきたと。

香山氏そうです。こういった背景から、4年ぐらい前から店舗ごとに楽曲選択ができるBGM配信という構想が生まれました。ただ、当時は店舗で24時間365日使い続ける耐久性を持つデバイスがなく、デバイスの進化もサービス提供には重要な要素でしたね。
ちょうど社内でもUSEN放送事業への原点回帰や、業界的にレコード会社も興味を持ってくれたことが、新たな店舗向けBGMサービスを開発するにはいい環境にありました。いわゆるとんがった曲や最新曲、ヒット曲などを提供できるという点では、利用できるレーベル数や楽曲数も重要ですから。
CDやiTunesのように手軽に好きな曲や、お店のコンセプトに合った曲を、好きなタイミングで流したいという要望を満たすには、アプリを使った配信方式が最適だと考えました。

店舗向けBGMサービス市場イメージ図

予約ラボ既存の有線放送を持ちながら、新しい店舗向けBGM配信を提供されましたが、実際はどんなお店が導入していますか?

佐藤氏店舗向け定額音楽配信サービスの市場が10、現在の有線放送のシェアが3から4ぐらいとすると、残りは自前のCDやデバイスを流すお店、もしくは新たな音楽配信ニーズを持ちながら該当するサービスがないため導入を見送っていたお店です。
実際、新規オープン店では有線放送の導入割合が圧倒的に多く、既存店ではOTORAKUの導入が多いです。

予約ラボ今までBGM配信サービスを導入していなかった既存店、つまり何らかのデバイスで自前のBGMを流していた店舗が新しいサービスを導入することが多いということですね。

佐藤氏はい、既存の音楽配信サービスで満足できないお店が、店舗側で自由に楽曲を選べるというサービスを求めていた結果だと思います。

日本の独自文化だった?誕生から50年、海外では…

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予約ラボ今や店舗BGMも「ただ流れていればいい」だけではないということですね。そもそも店舗向けBGM配信が生まれたキッカケは?

佐藤氏昔、店舗で流す曲といえばレコードだったので、曲が終わると接客の手を止めてレコードを裏返していました。それを見ていた創業者が店舗の手間を軽減したいと思い、大阪で有線放送が生まれたんです。
創業から50年、技術開発でチャンネル数も質もはるかに向上していますが、BGMを通して店舗の空間づくりをお手伝いするというコンセプトは今でも変わりません。

香山氏よく海外レーベルの方と話をするとき「有線放送ってなんだ?ラジオのことか?」ってなります(笑)
海外では店内で流れる音楽はライブやショーで、お店で生演奏以外で音楽を流すという文化があまりないようなんですね。日本での照明と同じ感覚で店内のムード作りに音楽を使う、という文化はUSENが作っていったんだと思います。

違う年代の曲を連続で流すとわかる違い

予約ラボ50年以上の歴史があると、店舗向けBGMに関して様々な技術やノウハウが蓄積されてると思いますが、クオリティという面でもやはり大きな違いはありますか。

佐藤氏例えば高級レストランで料理・接客・照明すべてこだわっているのに、ただ音楽だけは自前のCDやiPodだったらどうでしょうか?残念ながら、おそらく店舗BGMとしてはクオリティを保つことは難しいと思います。

予約ラボせっかく細部までこだわっているのに、BGMがイマイチなためにお店全ての印象が変わってしまってはもったいないですね。

香山氏そうです。同じ音楽を流しているだけでも、実は技術が違うため、クオリティに大きな差が出てきます。例えば最近のヒット曲と、70年代のヒット曲を連続で聞くと、最近の曲が非常にうるさく感じます。これを店舗でそのまま流すと、急にボリュームが上がったように聞こえて、会話をしていても「あれ?」となるじゃないですか?またはクラッシックで最初の音が小さく流れているときに無音に感じてしまって「音楽が止まっている?」とか。それではBGMとしてダメなんです。
音圧を一定にすることで、BGMとして自然で邪魔にならない、でも音楽が常にいい感じに流れているという環境を作ることができるのです。
しかも、ただ音圧をそろえるだけでは音楽表現を損ねてしまいます。小さい音も大きい音も音楽表現を失わず、なおかつ一定の音圧にそろえる。そのためジャズ、ポップス、ワールドミュージック…すべてのジャンルで実証実験・数値化して、BGMとしてのクオリティが提供できます。

店舗向けBGMとしてこだわりたい機能

「音停止」の操作は画面下からのスライドで表示される(2015年度グッドデザイン賞受賞)

「音停止」はスライドで表示(2015年度グッドデザイン賞)

誤操作を誘引しない操作性

デバイス移動時に誤ってBGMを止めてしまった…という店舗あるあるを防止するため、再生・停止操作にはワンクッションコントロールを置く

シンプルかつなじみのよいデザイン

ジャケット写真が引き立ち、インテリアや内装としても活用できるシンプルなデザインでありながら、初心者にも親しみやすいデザイン

カットイン機能

絶妙なフェードイン・フェードアウトでもっとも自然で心地よく曲の差し込みができる

赤ちょうちん居酒屋で演歌は流れているか?

予約ラボオーナーが楽曲を選曲する際のアドバイスはありますか?

佐藤氏よく赤ちょうちんの居酒屋には演歌が流れているイメージがありますが、実際は流れていないですよね。あれはイメージなんです。例えば焼肉屋さんでジャズが流れていると「かっこいい」って思ったり、個性を出したいお店は客層に合わせて音楽を選んでいます。
OTORAKUではお店の業種やイメージに合わせて楽曲を選択できるので、例えば美容院でも「カフェみたいな雰囲気でお客様にくつろいでいただきたいからカフェ(のジャンル)から選ぼう」ということもあります。

店舗のコンセプトやイメージに合わせてプレイリストを選曲できる

店舗のコンセプトやイメージに合わせてプレイリストを選曲できる

佐藤氏楽曲の編成を相談された時は「このジャンルであればジャズの中でも、これだけチャンネルがあるので、その中でもこれですよ」「その理由はテンポが速い・遅い、ボーカルあり・なしだからです」といったようにアドバイスをしています。さらに紐解いていくと「客層は?」「平均単価は?」というところまでヒアリングをしています。

予約ラボただ単に好きな音楽を流すというのではなく、顧客がその店舗や施設でどう過ごしてほしいかまで考慮し、コンセプトに沿った選曲をしていくということですね。

香山氏実は、開発時に常に意識していたことがあるんです。
ふつう企画や開発をする時、オーナー様や店長様が求めるもの考えると思います。でもオーナー様や店長様が本当は何を考えているかというと「お客様は何を求めているんだろう」ということなんです。
だから僕らが「お客様が求めるもの」というレベルまで考えていれば、その通過点にいるオーナー様や店長様と目線が合うはずなんです。見ているところが同じだから。

トイレの中までBGMを流すと売上がアップする?!

USEN本社内にあるリクエストセンター

USEN本社内にあるリクエストセンター

予約ラボお店のムード作りやコンセプトに合わせた選曲の他にも、店舗BGMの顕在・潜在的な活用方法はありますか?

佐藤氏店舗でのBGMの活用方法はいろいろあります。有名なのはサインミュージック。雨が降ると店内スタッフに雨対応を知らせる、専用の曲を流す方法です。
他にも、ランチタイムには回転率をあげるためアップテンポの曲をかけたり、逆に夜は10分、20分心地いい環境であと1杯飲んでいただけるような曲を流すとか。
また、お手洗いでの音楽。自分たちが飲食店へ行った時を思い浮かべてみてください。お手洗いが無音だと酔いが覚めませんか(笑)
酔いがさめて席にかえって次は何をするかというとお会計です。お手洗いにも音楽でフロアと同じ空間を作っておくことで、席に戻ってまたもう一杯となります。
美容室やリラクゼーション施設でも同じですね。無音の空間に入った途端に現実世界に戻り「今日のおかずは…」となると、どんなに素晴らしいサービスを受けていても、台無しになってしまいます。

予約ラボ店舗として隅々まで空間を演出するために、BGMが重要な要素になるんですね。

佐藤氏BGMの活用方法として、空間演出以外にもお客様からのリクエストの曲をかけるという事例もあります。
飲食店で同窓会の予約時に当時流行った楽曲をリクエストしておけば、当日はさらに盛り上がります。美容室ではお客様の好きな曲や、会話の中で出てきた曲をその場でかけると、さらにコミュニケーションを深めることができます。
店舗向けBGM配信サービスを利用することで、業務負荷をかけることなく、特別なサービス提供可能となり、お店のおもてなしや差別化が実現できるんです。

話題店のBGMを自分の店でも流してみたい!

予約ラボ今後、店舗向けBGMはどのように活用されると考えますか?

香山氏これまでは店舗BGMといえば、チャンネルを選択して店舗のイメージに合うプレイリストの楽曲を流すというサービスですが、今後はプレイリストを共有するというサービスも考えています。
プレイリストの共有というのは、ある店舗が楽曲を選んで作成したオリジナルのプレイリストを、ほかの店舗も共有できるサービスです。
例えば地方のお店が「青山の美容院で、店舗が1階にあるお店と同じBGMを流してみたい」と思った時に、該当する店舗の共有されているプレイリストを選択することで、現地に足を運ばなくても参考にすることができます。

予約ラボ地方にいながら都内で話題のお店のBGMを流すことができるんですね。お手本にしたい施設がある場合、その店で流れるプレイリストを参考にしたいと思う店舗は少なくないと思います。

香山氏他にもこのサービスを活用すれば、例えばチェーン展開している企業の本部が、共通のプレイリストを作成しておくことで、全店舗にの内装に合わせて音楽でもブランドの統一感を出すことができます。
今後、重要となってくることはプレイリストの共有をはじめ、どんな店舗・エリア・客層・時間帯にどんな曲が流れていくか数値化して、店舗BGMの質とサービスをさらに高めていくことです。数値という裏付けができることは、店舗の空間づくりや売上に貢献できるBGMの提案ができるからです。
次の50年をちゃんと見据えるためにも、ノウハウと経験値をしっかりと継承していきたいと考えています。

ここだけの話
BGMの老舗としてUSENはこれまで数多くの施設のBGMをプロデュースしています。
その一つが東京スカイツリータウン。
それぞれのフロアやエリアごとに流れる曲をウェブサイトから聞くことができます。
自宅やオフィスにいながら東京スカイツリータウンにいる気分になれるかも?!
http://www.usen.com/skytree/

株式会社 USEN

usen_corporate_logo音楽放送をはじめ、店舗やオフィス運営に欠かせない回線・ネットワーク等のICTサービス、店舗開業・経営支援、集客支援・販売促進、業務効率化を支援。総合サービス企業として、地域に密着し時代の新しい価値を創造していく。
株式会社USEN

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