【編集後記】「いちご狩り」に見る、農業のサービス化
ビジネス
先日、予約ラボの取材で、千葉県君津市にある「くるべりーファーム」のいちご狩り体験に行ってきました。
ここでは、実際にいちご狩りを体験し、木曽社長にお話を伺ったことで考えたことなどを、サービス提供者・事業者視点で簡単にレポートしたいと思います。
体験サービスで差別化する
もともとこの取材が決まったときに「くるべりーファームさんにとってのいちご狩りって、どういう位置づけにあるんだろう?」という疑問がありました。取材をしてわかったのが、愛彩グループの「直売に力をいれていく」という大きな方針の存在でした。確かに野菜や果物というモノとしての需要は、近くのスーパーやEコマースなどで満たすことができます。一方で、今回経験したような、農園に行って、周囲の景色を味わい、収穫体験をする。生産者から直接こだわりを聞いて、その場で食べる。といったコト・サービスとしての需要に対しては、土地そのものの魅力や、生産者の人柄という唯一無二の味を出すことができます。
加えて、この体験サービス&直販モデルの組み合わせは、流通コストを省きながら、需給バランスをうまく保ち、相乗効果を生み出していました。毎日収穫しなければいけないいちごは、土日は都心からの観光客が自身で楽しみながら収穫し、平日は地元の方がお土産用にいちごを買うことで、ほぼすべてのいちごを売り切ってしまうんだそうです。
いちご狩り&直販モデルから、観光農園へ
また、「抜群の集客力がある」(木曽社長)といういちご狩りを、ある種ショールームのように位置付けて、体験サービスでお客さんが満足すると、直売所で同グループの野菜や果物を購入して帰るかたちは、以前ラボでも取材させていただいたキリンビールの工場見学や鈴廣のかまぼこづくり体験にも似ていると思います。
今後同グループでは、いちごやトマトの摘み取りでお客様に足を運んでいただき、そこで生産される野菜の直売の他、貸別荘での一泊二日プランや、貸農園などの「観光農園」に力を入れていくと伺いました。先を見据えながら、グループ全体の強みを活かした戦略が印象に残りました。