保険業界の予約システムを活用したDX事例7選|成功のポイントと併せて解説
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保険業界に欠かせない予約システムの導入で、DXを促進したいと考えている方は多いのではないでしょうか。この記事では、実際に予約システムを導入している保険業界のDX事例をまとめてご紹介します。
併せて予約システムを活用したDXの必要性や成功のポイントもまとめていますので、予約システムを活用してDXの推進を図るときの参考にしてみてください。
保険業界のDXとは
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルやサービスを構築し、競争上の優位性を確立することです。
保険業界では、データ活用がDXの第一歩だと考えられています。従来から統計データや保険の支払い実績などのデータは活用されてきましたが、顧客エンゲージメントやCX(顧客体験)の向上への活用はまだまだ進んでいません。
例えば、パーソナライズされた医療保険や生命保険などの商品提案や業務効率化を目的としてデータ活用を実施すると、他社との差別化が期待できます。
保険業界の予約にはDXを活用できる
保険業界の予約業務には、DXが活用できます。昨今の保険業界は販売チャネルの拡大や商品の複雑化により、保険の契約につながる予約が重要視されています。
保険業界で予約業務が発生する主なシーンは、下記のとおりです。
- 保険業界で予約業務が発生するシーン
- 来店予約
- 店舗への来店を予約する
- 相談予約
- 店舗やオンライン、電話などでの相談を予約する
- セミナー予約
- 保険に関するセミナーの予約をする
例えば来店予約では、来店を検討している顧客の負担感を減らす予約システムの導入がDXに該当します。
次の章からは、保険業界の予約システムに特化したDX事例を紹介しますので、どのような活用方法があるのか参考にしてみてください。
保険業界の予約に特化したDX事例7選
ここからは、保険業務の予約に特化したDX事例をご紹介します。型にとらわれないさまざまな工夫が垣間見られるので、予約業務をどのようにDX化しているのかチェックしてみましょう。
イオンのほけん相談:カレンダーから予約日を選択
イオンのほけん相談ではウェブサイトに表示されるカレンダーから、都合のいい日を選択して相談の予約ができます。
トップページに店舗相談とオンライン相談のバナーが表示されるので、利用しやすい相談方法を選択します。店舗相談の場合は店舗ごとの空き時間カレンダーが、オンライン相談の場合は相談可能日のカレンダーが表示されます。
カレンダー上の希望日をクリックすると情報の入力画面へと移行し、3ステップで簡単に予約ができるところが特徴です。予約方法や相談内容で困った際はフリーダイヤルに電話ができる導線を確保しており、複数のチャネルを上手に活用しています。
予約をする際に日程や日時の確定ができないと、後日あらためて日程確定をする手間が発生します。予約時に日程と時間を確定できるシステムを導入し、顧客が手軽に予約ができる環境を整えている事例です。
参考:イオンのほけん相談公式サイト
https://www.hokenmarket.net/
保険市場:コンサルタントを指名して予約
保険市場ではオンラインでの保険相談予約時に、コンサルタントを指名して予約ができる「コンサルタント指定予約サービス」を導入しています。
このサービスは、コンサルタントのプロフィールや動画、得意分野や年間の商談件数などを確認したうえで予約ができるところが特徴です。気になったコンサルタントの相談可能時間はサイト上ですぐに確認でき、予約につながる導線を意識しています。
一般的に保険代理店や保険会社の相談予約は、コンサルタントを選べない傾向があります。相談相手が不透明なままだと不安が残り、予約まで至らないケースも考えられるでしょう。
そこで、「コンサルタント指定予約サービス」では顧客側に選択肢を与えることで不安を払拭し、前向きな気持ちで予約できるよう配慮しています。新たな視点を取り入れ、CXの向上や他社との差別化を実現したDX事例だと言えます。
参考:保険市場「コンサルタント指定予約サービス」
https://www.hokende.com/consultation/staff
明治安田生命:コールバック予約で待機時間を短縮
明治安田生命では、ウェブサイト上から訪問と店舗来店の予約ができます。それだけでなく、顧客の望む時間に明治安田生命側から電話をかけるコールバック予約に対応しているところが特徴です。
顧客が直接コールセンターに架電をすると混雑状況によっては、待機時間が生じます。コールバックに対応することで顧客の負担やストレスを軽減できるため、CXの向上が見込めます。
また、チャットでの相談も導入しており、チャットボットや有人チャットでの返信が可能です。チャットなら保険に関する悩みや質問が発生した際に手軽に使用できるため、まずはチャットで相談をしてから具体的な相談の予約へとつなげることもできるでしょう。
それぞれのチャネルの問題点をカバーしながら、複合的な活用ができているDX事例だと言えます。
参考:明治安田生命「相談予約」
https://www.meijiyasuda.co.jp/find/soudanyoyaku/
保険テラス:エリアと相談したいスタッフの2通りの予約が可能
保険テラスは、ウェブサイト上からエリアまたは相談したいスタッフを選び予約ができます。
エリアを選択すると、住まいの地域にある保険テラスが表示されます。各店舗の特徴や営業時間などが確認でき、顧客の利便性や目的に応じて店舗を選べるところが特徴です。来店する店舗が見つかった場合は、カレンダーより日にちを選びオンラインで予約を完結できます。
相談したいスタッフはプロフィールや在籍店舗、口コミを見て決めることが可能です。独自のマイスター制度を設けており、知識や得意分野を5段階で評価しているため比較検討しやすくなっています。
ただ予約をするのではなく、店舗やスタッフの情報を活用して顧客が予約しやすい状況を整えています。
参考:保険テラス公式サイト
https://hoken-eshop.com/
楽天生命保険:かんたん予約で顧客の手間を軽減
楽天生命保険は、独自のサービス「かんたん予約」を導入しています。かんたん予約ではフォーマットに沿って情報を入力し送信すると、厳選した代理店を紹介してもらえます。顧客側がわざわざ近くの代理店を探す手間が省けるため、予約のハードルが下がります。
また、顧客が代理店を検索する場合は、都道府県から調べることが可能です。住まいの都道府県の代理店情報が細かく表示されるため、口コミやスタッフのプロフィールを確認してから予約を検討できます。
保険の予約に対する顧客のニーズはさまざまです。忙しいからできる限り手間を省きたい、納得できる代理店に相談したいなど双方のニーズを満たせる工夫を取り入れDXを進めている事例だと言えます。
参考:楽天生命保険「かんたん予約」
https://www.rakuten-life.co.jp/agent_consulting/
三井住友銀行:ウェブサイトからの予約・変更が可能
三井住友銀行では、自社のウェブサイトから個別相談の予約ができます(三井住友銀行の普通口座所有者が対象)。オンライン面談予約は、ウェブサイト上に表示されるカレンダーから予約日時と時間を選択し予約をすることが可能です。
予約の変更やキャンセルも同一サイト内でできるため、予約後の手続きが手軽に行えます。また、オンライン面談ではアプリなどのダウンロードが不要なので、顧客の手間が省けるところもポイントです。
相談予約やキャンセル、オンラインでの面談がしやすい環境を構築し、顧客の予約を促進しているDX事例だと言えるでしょう。
参考:三井住友銀行「予約サービス」
https://www.smbc.co.jp/kojin/tenpo/soudan/
保険クリニック:近くの店舗を探して予約ができる
保険クリニックは、ウェブサイトで近くの店舗を探し予約ができます。店舗を探す際にはGPS検索を活用でき、現在地から近くの店舗を簡単に探すことも可能です。
予約システムだけでなく、保険の検討時に役立つツールを導入しているところもポイントです。例えば、「お手軽WEB保険診断」では手持ちの保険証券をスマートフォンのカメラで撮影するだけで、保険内容を詳しく把握できます。
また、スマートフォンから手軽に回答できる保険診断なども用意されており、保険を検討する後押しになっています。予約だけでなく検討時や相談時にもDXを活用して、顧客が利用しやすい環境を構築しています。
参考:保険クリニック公式サイト
https://www.hoken-clinic.com/
保険業界で予約システムを活用しDXを成功させるときのポイント
保険業界の予約に特化したDX事例を把握できたところで、実際に導入する際の成功の秘訣が気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、予約システムを活用しDXを成功させるときのポイントをご紹介します。
予約に関する現状の課題を明確にする
1つ目は、予約に関する現在抱えている課題を明確にすることです。相談予約や来店予約、セミナー予約を受け付けるときの課題の一例としては、下記のようなことが挙げられます。
- 営業時間外の予約に対応できない
- 架電が集中する
- 予約を確定するまでの作業が多い
- 予約の管理が煩雑になっている
例えば、営業時間外の予約ができない場合は、ウェブサイトやアプリから24時間予約ができるシステムを導入すると課題が解決できます。このように、課題に応じて必要なシステムやツールを検討すると、DXが成功しやすくなります。
他社と差別化できることを検討する
2つ目は、他社との差別化を意識することです。DXはデジタル技術を駆使して競争上の優位性を確立する目的があるため、他社との差別化は非常に重要です。
先ほど解説した事例では、予約をするときにスタッフの指定ができるようにすることで差別化を図っていました。また、予約時に日時指定を行い、顧客とのやり取りを最小限に抑えることも差別化の一つです。
ただ単に新しい技術を投入するのではなく、どのような点が差別化につながるのか考えながら予約システムを検討するといいでしょう。
保険業界への予約システム導入のポイント
予約システムの導入には、主に下記の4つのメリットがあります。
- 接客担当スタッフのミスマッチを防ぐ
予約状況が把握しやすくなり、最適なスタッフの確保と配置が叶います。 - 混雑の分散とリソースの最適化
予約状況を見ながら、接客のタイミングや来店者数を調整できます。その結果、混雑の分散や接客に集中できる環境が作れます。 - 営業時間外の予約受付
ウェブ上で予約やキャンセル、予約変更の受付ができるため、顧客のライフスタイルに応じて予約を獲得できます。 - ファンを増やすワンランク上の接客を実現
アンケートや顧客データを蓄積できるため、データを活用した質の高い接客を実現できます。
予約システムを活用すると予約の受付と管理がしやすくなり、予約業務に費やす時間や手間が削減できます。予約業務のDX化を検討している場合は、ぜひチェックしてみてください。
▼参照元サイト:予約システム「ChoiceRESERVE」銀行・保険の窓口
https://yoyaku-package.com/industry/finance/
保険業界は予約システムでDXを推進する
保険業界は、予約のしやすさや手軽さが次のアクションへとつながります。予約システムにDXを導入すると利便性が向上し、顧客が予約を行うハードルが下がるはずです。
企業側にとっては予約の管理がしやすくなり、より接客に集中できる環境を構築できます。今回ご紹介した事例を参考にしながら、予約システムを軸にDXを進めてみてください。