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BOPIS(ボピス)とは? メリットや注目されている理由を解説

知る・学ぶ

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2023.03.08 2024.03.01
買い物をする女性
服部奈保美

日本語教師・不動産業界を経てフリーライターに。取材や書籍編集、ディレクションなどを担当。「誰一人傷つけないライティング」をモットーに、幅広い業種の記事に携わっている。女性起業家をまとめた「もっと輝きたい女性へ 私らしく生きる19の方法」に掲載。

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BOPIS(ボピス)とは聞いたことがあるものの、実際にはどのようなサービスなのか理解できていない担当者は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事は、BOPISの概要や注目されている理由、メリットなどをまとめて解説していきます。BOPISとはどのようなサービスなのか知識を深めることができますので、ぜひ参考にしてみてください。

BOPIS(ボピス)とは

ネットショッピング

BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)とは、ECサイトやアプリで予約注文または購入した商品を店舗で受け取るショッピングスタイルのことです。

一般的な流れとしては、下記の図のようになります。
まずオンラインショップで買い物をして、実店舗での受け取り日時を指定します。店舗側は消費者が指定した受け取り日時に合わせて、商品を準備します。受け取り日当日には、店舗でスムーズに商品の受け渡しをおこないます。

COTOL流れ

出典:「COTOL(コトル)」公式サイト https://cotol.jp/

予約ラボが実施した「ネットで注文・店舗で受け取りに関するアンケート調査」では、約半数の消費者が、「BOPIS(ネットで注文・店舗で受取)の利用経験がある」と回答しています。

円グラフ1

そして、BOPISを利用した消費者の9割は、また利用したいと思っていることも分かりました。

円グラフ3

これらのことからも分かるように消費者の満足度が高いBOPISですが、なぜ今注目を集めているのか次の章で詳しく解説していきます。

▼関連記事
9割の消費者がリピート利用したい【ネットで注文・店舗で受取】に関するアンケート調査
https://yoyakulab.net/research/survey-on-storereceptionsystem/

BOPISが注目されている理由

パソコンとネットショップ

ここでは、BOPISが注目されている2つの理由をご紹介します。BOPISの導入を検討する時に知っておきたい背景なので、ぜひ参考にしてみてください。

生活様式の変化

2019年から2021年の“コロナウイルス感染症2019”の流行を機に、消費者の生活様式は大きく変化しました。日本のEC市場は拡大し、店舗に足を運ばない商品の購買方法が定着しました。

しかし、ECサイトには物流の課題があり、消費者のニーズに応じて迅速に発送することが難しい場合があります。BOPISを導入すると消費者の予定や都合に応じて、近くの店舗で受け取りが可能です。消費者の待機時間やいつ届くか分からない不安を解消できます。

また、顧客がECサイトを使い自宅で商品を購入し決済まで済ませておけば、店舗滞在時間を短縮できると同時に店舗内の混雑も回避できるため、感染症のリスク軽減にもつながります。

生活様式の変化に伴い、BOPISの手法のひとつであり、乗車したまま予約した商品の受け取りができる「カーブサイドピックアップ」も登場しました。

▼関連記事
事前注文で車に乗ったまま受け取り|ドライブスルーとは違う「カーブサイドピックアップ」とは
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余剰在庫を生み出さないようにする

店舗側がBOPISに注目している理由としては、余剰在庫を減らせることが挙げられます。

過去の傾向や資料から売上予測をして仕入れをするものの、季節商品や流行に左右される商品は余剰在庫を抱える可能性があります。余剰在庫は値下げや廃棄の対象となり利益の減少につながるため、できる限り減らしたいところです。

BOPISを導入すれば事前に注文を受けた数量をもとに仕入れができるため、余剰在庫が発生しにくくなります。季節商品や限定商品の場合は、ECサイトでの予約分のみ仕入れをする手法を選択することも可能です。

株式会社リザーブリンクが実施した消費者動向調査では、クリスマスやお正月、バレンタインなどの季節商品が多い時期に予約注文が活用されていることが分かっています。

余剰在庫を抱えず店舗やECサイトの利益を最大化するためにも、BOPISを活用するケースが増えています。

▼関連記事
5万件以上の注文データから「ネットで予約・店舗で受け取り」の消費者動向を調査
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BOPISを導入する店舗側のメリット

梱包する女性

ここからは、BOPISを導入する店舗側のメリットをご紹介します。店舗にとってはコスト削減や機会損失の回避などさまざまなメリットがあるので、ぜひチェックしてみてください。

顧客との接点の創出

ECサイト事業者の場合、日頃の運営の中で顧客と対面する機会を作ることが難しいです。昨今は顧客体験が重視されており、顧客接点を作り体験価値を創出することが求められています。

BOPISを導入すると顧客が店舗に足を運ぶ機会ができるため、新たな接点が生まれます。この接点を活用し、関連商品の案内やサンプルの提供、クーポン券の配布など次の購入につながる施策を検討できるでしょう。

また、ECサイトではスタッフによる対面接客ができませんが、BOPISの導入によって顧客が店舗に足を運んだ際に、自社の商品の特徴や魅力をアピールすることも可能です。ECサイトのみでは訴求ができなかったポイントを直接伝えることで、リピーターやロイヤルカスタマーの創出につながります。

機会損失の回避

店舗のみでしか商品購入ができない場合「来店するタイミングがない」「並んで購入したくない」などの思いから、購入を断念する消費者がいます。

配送でしか商品を受け取れない場合も「欲しいタイミングに間に合わない」「受け取りが面倒」などの理由で、購入を見送る消費者がいることも事実です。

BOPISを導入すると消費者のさまざまなニーズに寄り添うことができ、企業の機会損失を回避できます。多くの店舗では受け取り日時を指定できるため、消費者のタイミングに応じた受け渡しが可能です。

また、店舗の営業時間内での来店が難しいケースに対応するために、非対面で商品の受け取りができるロッカーの活用も進んでいます。このように、ECサイトや店舗の弱点をカバーし、機会損失を回避できるところは、BOPISならではのメリットです。

物流コストの削減

ECサイトで商品を販売すると、梱包や発送のコストや手間が発生します。扱っている商品によっては梱包材や送料が高く、利益を圧迫することも考えられます。

BOPISを導入すれば、商品の発送に要するコストと労力を省けます。管理方法によっては、受け取り店舗ごとに商品を振り分ける作業や店舗の在庫から商品を用意するだけで準備が完了します。

余力が生まれた場合には季節に応じたラッピングの対応やオプションの用意などができるため、今までよりも顧客満足度の高いサービスの提供が実現できるでしょう。

BOPISを導入する消費者側のメリット

ショッピング

BOPISは店舗側だけでなく、利用する消費者側にもメリットがあります。ここでは、BOPISを導入する消費者側のメリットをご紹介します。

欲しい商品を確実に購入できる

店舗で商品を購入する場合、予約をしていない限りは欲しい商品を確実に購入できる保証がありません。忙しい毎日の中で予約のために店舗を訪れる、または欲しい商品が入荷されるまで頻繫に足を運ぶことはなかなか難しいものです。

BOPISを利用すれば空いた時間を活用して、ECサイト経由で商品の予約や購入ができます。わざわざ店舗に足を運ばなくても、欲しい商品を買い逃すことがありません。

ECサイトで予約、購入した商品は通い慣れている店舗や近くの店舗で、通勤や日々の買い物のついでに受け取れるため、負担感が少なく手軽に利用できます。

購入にかかる手間を省ける

気になる商品はあるものの、購入に手間や時間がかかると購入自体が面倒になることがあります。例えば「この洋服を週末に着用したい」と思っても配送に数日かかるとの記載があると、週末に手元にあるのか不明確なので購入に至らないこともあるかもしれません。

また、店舗に行列ができていたら購入までに時間がかかるため、なかには諦める顧客もいると考えられます。BOPISを活用すると、手元に商品が届くまでの時間短縮や購入にかかる手間を省けます。欲しい商品を効率よく購入でき、負担や手間も感じにくくなります。

多様なライフスタイルに対応できる

また前述の消費者動向調査では、消費者が事前注文をする時間帯は昼休みや営業時間外が多いことが分かりました。

ビジネスタイムの注文数は比較的少なく、手が空いた時間を利用して商品を注文していることも分かります。

店舗以外の注文を受けられない場合や店舗のみでの購入の場合は、営業時間外での購入や空き時間を活用した商品購入の検討ができません。そのため、欲しい商品があっても諦めなければならないこともあるでしょう。

一人ひとりのライフスタイルに応じて、好きな時間に好きな場所から商品の予約や購入ができるところは、BOPISならではのメリットだと言えます。

BOPISを成功させるための3つのポイント

ショッピングカート

ここからは、BOPISの導入を成功させるために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。導入前に把握しておくことで対策ができるため、参考にしてみてください。

リアルタイムで在庫を把握し共有する

1つ目は、リアルタイムで在庫を共有し可視化することです。BOPISを導入するには、店舗とECサイトの双方の在庫情報を常に把握しなければなりません。

在庫の把握ができていないとダブルブッキングが起こり、消費者に迷惑をかける恐れがあります。そのため、店頭受け取りシステムなどを導入してルタイムでの在庫状況をすぐに確認できるようにしておくと、こうしたトラブルの回避が期待できます。

BOPISに慣れていない期間は購入できる在庫数をあらかじめ決めておき、店舗やECサイトの在庫管理をしやすくすることもひとつの方法です。

BOPISの対象となる商品を決める

2つ目は、BOPISの対象となる商品を決めておくことです。BOPISに慣れていないスタート時から全ての商品を対象とすると、円滑に運用できない可能性があります。

まずは、一部の商品から導入を検討するといいでしょう。一例としては、下記のような商品が検討できます。

  • 人気商品やリピーターが多い商品
  • 定番商品
  • 予約限定商品
  • 季節限定商品

とくに、予約限定商品や季節限定商品は、BOPISを活用することで余剰在庫を抱えにくいというメリットもあります。自社の商品を見ながら、あらかじめBOPISの対象とする商品を確定しておきましょう。

運用方法を決めておく

3つ目は、BOPISを運用する方法を決めておくことです。BOPISを導入すると、消費者が指定した店舗で商品を受け渡しする業務が発生します。商品を店舗からピックアップするのか倉庫からピックアップするのかをしっかり決めておかないと、在庫管理が煩雑になる恐れがあります。

また、BOPISを利用した消費者への受け渡し方法や返品時の対応などもあらかじめ決めておく必要があるでしょう。このように、BOPISを導入することで新たに発生する業務を書き出し、それぞれの運用方法を決めておくとスムーズに導入できます。

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BOPISは店頭受け取りシステムを取り入れよう

パソコンと女性

BOPISを始める手段の一つとして、店頭受け取りに特化した事前注文システムの導入があります。

事前注文システムでは、在庫管理や帳票ダウンロードなどをまとめておこなえるなど、BOPISの円滑な運用のサポートが可能です。

cotol

COTOL

出典:「COTOL(コトル)」公式サイト https://cotol.jp/features/

とくに、注文状況から在庫管理、支払い、来店管理までを一元でおこなえるところは大きな魅力です。BOPISをスタートするハードルが下がり、手軽に挑戦できるようになるでしょう。

BOPISを導入すると新たな業務が発生するため従業員の負担となることがありますが、システムを活用することで注文の受付や管理業務負担の大幅な軽減が期待できます。

BOPISで付加価値をつける

BOPISを導入すると消費者のニーズに応じて、新たな付加価値や顧客体験を提供できます。消費者にとって期待の高いサービスだからこそ、顧客満足度の向上につながるでしょう。
店舗側にとっては機会損失の回避や余剰在庫の防止など、ECサイトや店舗運営のデメリットをカバーできるところが大きな魅力です。

今回ご紹介したBOPISのメリットや導入時の成功ポイントを参考に、BOPISの導入を検討してみてください。

服部奈保美

日本語教師・不動産業界を経てフリーライターに。取材や書籍編集、ディレクションなどを担当。「誰一人傷つけないライティング」をモットーに、幅広い業種の記事に携わっている。女性起業家をまとめた「もっと輝きたい女性へ 私らしく生きる19の方法」に掲載。

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