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【ネットで注文・店舗で受取】対応業種やサービスの詳細を調べてみた

調査

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2022.04.18 2024.02.29
加藤 高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

INDEX

コロナ禍以降、外食産業を中心に、スマートフォンなどから非接触で商品を注文できる「モバイルオーダーサービス」が急拡大しています。従来のECサイトなどでのネット販売も、宅配のほかコンビニ受取や店舗受取など、様々な受取方法で商品が購入できる時代になってきました。

アメリカではドライブスルーの進化版として、オンラインで注文した商品を駐車場で受け取れる「カーブサイドピックアップ」もメジャーなサービスとなってきているようです。

今回は、ネットで注文・店舗で受取ができるタイプのサービスは、どのような業種や業態で導入されているのか、その詳細について調査することにしました。

調査対象と方法

調査対象

インターネット検索にて、自社サイトに記載があった55社 (調査した業種:生活用品・衣料品・大型家具・家電・ケーキ類・携帯電話・花・百貨店・お弁当・ベビー用品等)

 

モバイルオーダーをはじめとした事前注文制のサービス。このうち、店舗で受け取るものについては「店舗受取サービス」「ネットで注文・店舗で受取サービス」など、それぞれの業種・業態で伝わりやすそうな名称が使用されているようです。

またECサイトなどでも、複数の店舗を展開しているブランドでは「店舗で受取可」「受け取る店舗を指定」といった受取方法の表示も目にされたことがあると思います。こうした点を踏まえ、様々な業種のウェブサイトから、サービスの受取方法や条件、訴求ポイントなどを調べてみました。

受取方法

55社のうち受渡方法が「店舗受取のみ」となっている形態のものは7社のみで、ほとんどを占める48社が「店舗受取」と配送配送での商品受け渡しとなっており、選択肢のひとつとして店舗受取サービスを加えていることがわかりました。

衣料品のような業種においては「配送可能」となっていることが多く、ケーキや花といった鮮度が要求されるものは「店舗受取のみ」となっているようです。

店舗受取の条件

また、調査を進める過程で気になったのが、店舗での受取において、時間指定型と商品の取り置き型に方法が分かれている点です。

衣料品のような業種では、受取期限は設定されているものの、期間内であれば好きな時間に受取ができるようですが、ケーキや花など鮮度が要求される商品の多くは、受取時間が指定されているようです。

サービスの訴求ポイント

では、企業や店舗などの販売者側は「ネットで注文・店舗で受取」という形式のサービスをどのように訴求しているのでしょうか。
それぞれの販売者が、ホームページ上でサービスをどのように訴求しているのか、キーワードでまとめた結果をグラフにすると、以下のようになりました。

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最も多かったのが「送料無料」です。従来の通販なら、単価が低い商品や家具や家電などの大型商品は配送料がかかりますが、店舗受取にすることで無料になるというものです。受取店舗が自宅や職場、普段よく訪れるエリア内にあれば、このメリットはかなり大きいでしょう。

次に「受取タイミング」です。宅配は時間指定が2時間単位などになることが多く、出入りが多い日など在宅時間が明確に区切れない際に不便です。しかし店舗受取は、空き時間を利用して店舗に出向けば自由なタイミングで受け取れるため、こうした点がメリットとなります。

「即購入」については、確保が難しい人気商品や、店舗での待ち時間が発生するような商品を取り扱うケースに多く、行列に並ぶ時間などが不要となるというのがメリットです。

「在庫豊富」は、欲しい商品の在庫が最寄りの店舗になくても、全国各地の店舗から取り寄せて最寄りの店舗で受け取れるというのがメリットとなります。

「実物確認」については、サイズ感や素材、手触りなど、写真では判断が難しい商品の実物を確認してから購入の意思決定が行えるという、まさに取り置き型の訴求といえるでしょう。

つまり「ネットで注文・店舗で受取」のサービスは、取扱商品によってユーザーへのメリットが異なることがわかってきました。

さいごに

各社の訴求ポイントから考えても、「ネットで注文・店舗で受取」サービスは、通販と店舗販売のデメリットを補うような、まさに「隙間ニーズ」を狙ったサービスだといえるのではないでしょうか。

また、時間を指定しないと購入できないような付加価値のある商品―例えば、焼きたてパンや煎りたてコーヒーなどの販売の発展にもつながるのではないかと考えられます。
製造を要する注文の場合、販売者側の時間当たりの生産量には限りがあり、焼きたてパンや煎りたてコーヒーなどは、時間が経過すれば付加価値はなくなり、通常のパンやコーヒーとなります。しかし、ネットで注文・店舗で受取という形のサービスを利用すれば、受取時間を指定することで一番付加価値の高い状態のニーズを確保できます。

アメリカのカーブサイトピックアップが時短的な要素で広がっているとするなら、日本独自の新たな付加価値として、この「ネットで注文・店舗で受取サービス」が広がる日も近いかもしれませんね。

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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