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製造業の工場見学実施調査
~常設見学型施設の約8割は予約制を導入~

調査

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2024.11.22
工場見学調査
加藤 高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

INDEX

年々人気が高まっている工場見学。製品の製造現場や工程を間近で見られて、試飲・試食やものづくりなど、工場ならではの貴重な体験ができるため、大人も子どもも楽しめるレジャーとして注目されています。

企業にとっても、知名度向上や商品PR、ファンづくりなどメリットがたくさんあります。そのいっぽう、工場見学を実施するためには、企画や人材配置といった運営の負担も大きいと推測されます。

今回は、日本の主な製造業において、工場見学を常時受け付けしているのはどの程度か、どういった業界が実施しているのか、またその予約状況について調査しました。今後、工場見学を検討されている企業のご担当者様は、ぜひ参考にしてください。

・調査対象:日本経済新聞電子版企業一覧における、建設・不動産、商社・卸売、小売、外食、金融、情報・通信・広告、サービス、教育以外の製造業(小カテゴリ30業界)より1,875社
・調査方法:各社のホームページから検索し、継続的に工場見学を実施している企業をカウント、調査および集計する
※企業が複数の業界に属する場合は、各業界で1企業としてカウントする
・調査期間:2024年6月~10月

工場見学実施状況

まずは、工場見学の実施状況からみていきましょう。

今回調査対象とした製造業1,875社のうち、工場見学を恒常的に受け付けしている企業は238社(12.7%)でした(※「博物館」「ミュージアム」「記念館」等の名称の施設も含む)。

製造業の工場見学実施調査グラフ

工場見学を恒常的に受け付けする企業238社のうち、「工場」以外の名称の見学施設がある企業は56社(23.5%)ありました。「ショールーム」「ミュージアム」がともに14社で最も多く、ほかに「博物館」4社、「記念館」3社、「展示施設」2社、「歴史館」2社となっています。

製造業の工場見学実施調査グラフ

また、238社のうち、来場見学とバーチャル見学を併用している企業は25社(10.5%)でした。

業界別工場見学実施状況

製造業の工場見学実施調査グラフ

今回調査した対象を業界別に見ると、工場見学を実施している企業がある業界は30のうち27となっています。

製造業の工場見学実施調査グラフ

さらに、恒常的に工場見学を受け付けしている「割合」が高い業界を順に並べると、自動車(36%)、空運(36%)、鉱業・エネルギー開発(32%)、窯業・土石製品(31%)、飲料・たばこ・嗜好品(31%)、食品製造(30%)、電力・ガス(25%)、製紙・紙製品(23%)、産業用資材(16%)、日用品・生活用品(15%)となっていました。

製造業の工場見学実施調査グラフ

次に恒常的に工場見学を受け付けしている「企業数」が多い順に業界を並べると、食品製造(46社)、化学・化成品(30社)、製造用機械・電気機械(25社)、電力・ガス(20社)、産業用装置・重電設備(18社)となっています。

工場見学来場者の制限について

製造業の工場見学実施調査グラフ

工場見学を恒常的に受け付けする企業238社のうち、来場者の属性を限定している企業は71社(29.8%)ありました。学校対象が最も多く52社、団体対象が19社、企業対象が10社となっていました(重複あり)。

製造業の工場見学実施調査グラフ

こちらも業界別にみると、工場見学の来場者を学校、企業、団体などに限定している企業がある業界は30のうち20で、化学・化成品(16.9%)の割合が最も多く、次いで食品製造(15.5%)となっていました。

工場見学予約状況

製造業の工場見学実施調査グラフ

工場見学を恒常的に実施している238社のうち、予約を実施している企業は185社(77.7%)ありました。

製造業の工場見学実施調査グラフ

工場見学で予約を実施している185社の予約方法内訳は、ウェブによる予約が112社(45.0%)、電話予約が67社(26.9%)、メール予約が19社(7.6%)、FAX予約が12社(4.8%)となっていました。

業界別工場見学予約状況

製造業の工場見学実施調査グラフ

工場見学を恒常的に受け付けしている企業がある27の業界のうち、全ての企業の工場見学で予約を実施している業界は11(40.7%)ありました。

製造業の工場見学実施調査グラフ 

ウェブ予約を実施している112社で、恒常的に工場見学を受け付けている割合が多い業界は、食品製造23社(20.5%)、製造用機械・電気機械13社(11.6%)、産業用装置・重電設備12社(10.7%)、化学・化成品11社(9.8%)、電力・ガス7社(6.3%)となっていました。

製造業の工場見学実施調査グラフ

また、電話予約を実施している67社で、恒常的に工場見学を受け付けている割合が多い業界は、食品製造21社(31.3%)、電力・ガス、製造用機械・電気機械はぞれぞれ6社(9.0%)となっていました。

まとめ

今回の調査において対象となった製造業のうち、恒常的に工場見学を受け付けている企業は約13%でした。なかでも、自動車や空運などの業界では常時工場見学を受け付けている企業の割合が高く、また企業数では食品製造業界が多くなっています。コロナ禍以降は、オンライン見学などバーチャル工場見学を採り入れている企業も散見されます。

また恒常的に工場見学を受け付けている企業のうち、予約を実施しているのは約78%と高い割合を占めています。

工場見学の目的は地域貢献、ファンづくり、人材確保までさまざまですが、予約制を導入したり、来場者の属性を限定したりすることは、混雑回避といった課題だけでなく、自社の目的に合った工場見学の実現にもつながると期待できるのではないでしょうか。

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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