眼鏡店の来店予約調査~メガネチェーンの半数以上が来店予約を受付~
調査

実店舗での販売が主となる製品ジャンルのひとつ「眼鏡」。その使用感が仕事や普段の生活に影響することから、見え方や掛け心地などを実際に確かめてから購入したいと考える利用者が多いのではないかと思われます。
いっぽうで、眼鏡店といえば、待ち時間、所要時間が長いといったイメージもあります。
今回は、眼鏡店に焦点を絞り、来店予約を受け付けている割合や、どういった目的に予約制を導入しているのかなどを調べてみました。
・調査日:2024年3月15日(金) |
昨今の眼鏡市場
株式会社矢野経済研究所が2023年に公表した「国内アイウェア小売市場に関する調査」によると、国内アイウェア小売市場の規模は2020年に前年比88.8%と大きく落ち込んだものの、2021年以降は微増し、2022年にはコロナ以前の2019年比97.6%で推移しているということです。
同調査では、この10年間で眼鏡のECサイトが続々オープンしているものの、視力検査等や購入後のフィッティングといった実店舗を介する過程が多いジャンルであることから、EC完結型ショッピングへの完全な移行は難しいことも取り上げられています。
しかし、オンライン接客ツールの導入や、AIによる提案といった試みも増えていることから、今後EC化は進むと考えられます。
このように、EC化が進みつつあるものの、まだまだ実店舗のニーズが高いとみられる眼鏡店における「来店予約」に注目してみました。
半数の眼鏡店は来店予約を受け付けている
調査した眼鏡店46件のうち、来店予約を導入している眼鏡店は19件、通常営業以外でイベント時のみの予約を実施している眼鏡店は7件となっていました。合計すると、約56.5%の眼鏡店でなんらかの来店予約を受け付けていることがわかりました。
来店予約を受け付けている店舗の7割近くは電話予約が可能で、6割はウェブ予約が可能となっています。さらに予約方法を「電話のみ」とする店舗は4割、「ウェブのみ」とする店舗は32%でした。
予約の内容としては、相談 や購入、点検、調整・修理、測定、試着とさまざまで、体験会や相談会といったイベント時のみ予約を受け付けている店舗もありました。
また、来店予約の際の注意事項として、予約時間を過ぎても来店しなかった場合は、一旦店頭で待つ顧客を優先し順番に繰り下げることがあると明記されているケースも数件みられました。
眼鏡店の来店予約実例
調査した眼鏡店の来店予約について、いくつか具体的にご紹介します。
パリミキ
国内で600店舗以上を展開する「パリミキ」では、気になる商品を自宅や勤務先などの近隣店舗に取り寄せて、試着・購入できる「試着(来店)予約」を受け付けています。あらかじめウェブ上で好みの商品をピックアップしてサイズやカラーを選び予約すると、希望の店舗で実際の商品を試すことができます。「お気に入りリスト」に登録することで、最大6本まで試着予約ができます。
メガネスーパー
老舗眼鏡チェーン「メガネスーパー」では、眼鏡・コンタクトレンズをはじめ、補聴器等の購入、相談、調整、受取り、トータルアイ検査の来店予約が可能です。トータルアイ検査とは、最新の測定機材を使って国家検定資格「眼鏡作製技能士」をはじめとする専門スタッフが、さまざまな視点から測定します。「目環境チェック」「眼鏡力チェック」「目体力チェック」「目年齢チェック」など最大60のチェック項目により、見え方や眼鏡に関する悩みの解決を目指します。
眼鏡市場
1,000以上の店舗を展開するメガネトップグループの「眼鏡市場」では、一部店舗において専用アナリストによる「パーソナルカラー診断」無料体験会を予約制で実施しています。
肌や髪の色と調和したパーソナルカラーを知ることで、一人ひとりの魅力を最大限に引き出すメガネフレームだけでなく、洋服やメイクの色選びなどにも活用できます。
また、顔のタイプを4種類に分類し、一人ひとりの顔になじむ眼鏡を提案してもらえる「顔タイプ診断®」も開催されています。
メガネのヨネザワ
九州を中心に180店舗以上を展開する「メガネのヨネザワ」では、来店予約はもちろん、来店できない顧客のため、サービスカーによる出張サービスもおこなっています。
足が不自由、高齢、乳幼児がいる、移動手段がないといった顧客に寄り添った、地域密着型チェーンならではのサービスで、公式ウェブサイトの予約フォームに訪問してほしい日時を第3希望まで入力できます。
まとめ
眼鏡というジャンルにおいて、オンラインによる接客や試着といったデジタル化も進んでいるものの、専門的な視点を要する商品であることから、今後も実店舗における接客のニーズは高いと思われます。そのため、事前予約制を導入することは、業務効率化に大きく貢献するでしょう。
事前予約制により、顧客側は混雑を避けることができるのはもちろん待ち時間が短縮でき、専門的な相談ができる、取り寄せ品を確保できるなど、訪問時の空振りなく目的を果たすことができます。
また店舗側は、混雑回避はもちろん、スタッフのスケジュール調整ができ、万全の状態で接客することができます。さらに、来店履歴、カルテ蓄積により販促時期、集客方法などマーケティングに活用できるデータを取得することも可能です。
眼鏡は一般的に衝動買いされるものではなく、事前に検索することが多いため「来店予約」と親和性が高いといえるでしょう。眼鏡店にとっても、予約客であれば混雑に関係なくじっくり接客することができます。また、眼鏡は購入後のアフターサービスが見込めるため、来店予約により密接に顧客と付き合うことは将来にわたって有益であるといえます。