【予約ラボ会議コラム】予約に対する事業者側と客側のズレについて
考察
予約制を導入する目的は待ち時間の短縮であり、約束の時間や人数に合わせて事業者側が予め準備をすることができるので経営資源の効率化等が挙げられます。
しかしながら、「がっかりした予約」として消費者へのアンケートを実施してみると、
「予約したのに待たされた」や、逆に「予約したのに空いていた」などの声が必ずあがってきます。
今回の予約ラボ会議では、待ち時間に対するお客側の心理や期待値と、事業者側のズレについて議論をしてみました。
まず、消費者側が予約にかかわらず待ち時間が長いと感じるサービスは、医療機関、金融機関、レジャー施設、飲食店の順に経験者が多く、同時にイライラした気持ちを感じているようです(※アンケート結果の詳細は近日公開予定)。この待ち時間と消費者の心理については、研究論文や業態ごとの改善方法などの書籍も発売されています。
例えば、筑波大学名誉教授・高木英明氏の論文では、不確定な待ち時間、理由が不明な待ち時間、不平等な待ち時間等は、通常よりも長く感じるということが論じられています。
▼参考
https://www.tsukubabank.co.jp/corporate/info/monthlyreport/pdf/2017/04/201704_09.pdf
また、医療系経営コンサルタントの根本和馬氏による「なぜあのクリニックは待ち時間があっても満足度が高いのか?」という著書があります。この本では「待ち時間をいかに退屈させないか」という視点で、クリニックにおける待合室の空間充実などについて紹介されています。
つまり、待ち時間を物理的にあるいは心理的に解消することは、顧客満足度の向上と共に、経営改善にもつながる可能性があるのではないかと考えられます。
待ち時間を物理的に解消する手段として予約制の導入は有効ですが、実際には、顧客側の予約に対する期待値と、事業者側のサービス体制にズレが生じるケースがあります。
前回の予約ラボ会議コラムで紹介させていただいた、時間通りの約束と時間帯の約束などは代表的な例になりますが、顧客側が予約に何を期待しているのか?そのためのオペレーションに矛盾は生じていないか?きちんと情報開示・告知ができているか?等は検討する必要が事業者側にはありそうです。
予約ラボ会議でも、引き続き本テーマで議論を深めていきたいと考えていますので、ご期待ください。
今後ともよろしくお願いいたします。