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サービスマーケティングとは? サービスの特性や活用できる7Pフレームワークを解説

知る・学ぶ

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2023.03.07 2024.03.05
赤いマーカーで書いたserviceの文字
森野 ミヤ子

社会人から通信制大学へ。大手ファミレスの時間帯責任者、メーカーや商社の営業事務などをしながら卒業、中高英語科教員免許を取得。配偶者が転勤族のためフリーランスのライターに。生活、子育て、ビジネス系からものづくり系などニッチなジャンルも執筆中。

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サービス商材を「売る」ための施策が、サービスマーケティングです。サービス商材の売上アップや認知度向上などの成果を上げるためには、サービスの持つ特性や特徴を理解したうえで、適切なサービスマーケティング施策をおこなう必要があります。

この記事では、その概要やサービスの持つ特性、サービスマーケティングに活用できるフレームワークや効果的な方法について解説します。サービスマーケティングの導入や成功に、ぜひ役立ててください。

サービスマーケティングの重要性

デザインをおこなう机上

サービスマーケティングとは、おもに「サービス」を売るためのマーケティング手法のことを指します。サービスを提供する業種であるサービス業だけでなく、他業種からも注目されています。サービスマーケティングが重要視される背景を解説します。

サービスの特性を考えた施策が必要なため

商品という「有形」のものを売るのと、サービスという「無形」のものを売るのでは、当然有効な戦略や施策は異なってきます。そのためサービスを提供する業態やビジネスシーンでは、売上アップや顧客のリピート化のための施策として、サービスマーケティングが重要となります。特に、日本は「ものづくり」によって経済が発展してきた歴史的側面があることから、従来のマーケティング施策は製造業寄りのものとなっています。そのため、従来の施策では、サービス業やサービスを取り扱うマーケティングにおいて不向きまたは不十分となることがあるのです。

また、時代の流れとともに顧客のニーズや産業構造が変化し、サービス業の割合も増加しています。内閣府発表の「国民経済計算」の「名目GDPに占める産業別割合の推移」(※1)では、昭和55年は製造業が27.1%とトップでしたが平成17年には製造業とサービス業が20.6%で同率トップとなります。さらに翌年の平成18年からはサービス業が製造業を抜いて逆転トップになりました。平成20年には製造業19.4%、サービス業22.1%となり両者の差はさらに開くこととなります。

日本の主産業がサービス業に移行しつつある一方で、サービスへの有効なマーケティング手法の歴史は浅いです。そのため、従来の有形の商品に対してではなく、無形であるサービスへのマーケティング手法であるサービスマーケティングが注目されています。

※1 出典:内閣府「名目GDPに占める産業別割合の推移」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo10/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2010/12/15/1299347_3.pdf

非サービス業にも活用できるため

後で説明するサービスマーケティングのフレームワークは、非サービス業のマーケティング戦略にも役立ちます。たとえば非サービス業の企業の中でおこなう営業活動など、サービス的な特性を持つ業務にもサービスマーケティングは活用可能です。

多様な戦略が求められているため

非サービス業の企業でも、サービス業の考え方が求められる事業を展開することも多くなりました。たとえば製造業がサブスクリプションサービスを提供する、商品のラッピングサービスや工場直売サービスなど既存の商品に付加価値を出すためのサービスを提供する、などの事例が該当します。

業種に関係なくサービスに関連した多様な戦略が求められるようになったことも、サービスマーケティングが重要視される理由のひとつです。

サービスの持つ5つの特性を踏まえたマーケティングへの施策

ハンドソープとアロマ石鹸のある洗面化粧台

効果的なサービスマーケティングの施策を展開するためには、商品とサービスの違いを踏まえた「サービスの持つ5つの特性」を理解することが重要です。サービスの持つ5つの特性を、マーケティングへの施策の事例とともに順に解説していきます。

▼関連記事
無形商材/サービスを売るためには、まず5つの「サービスの特性」を押さえたい。
https://yoyakulab.net/business/service-no-tokusei/

無形性

商品は形があるものとして存在しますが、いっぽうでサービスには形がありません。そのため、サービスは商品のように「実際に利用・購入するまえに手に取って試す」ことが不可能です。

サービスを売るためには、顧客へ内容や品質などサービスの情報を事前に可視化させるための対応が必要となります。たとえばパンフレットやWebページでサービスの紹介をする、お試し体験を設ける、などの方法が該当します。

同時性または不可分性

商品は生産と消費にタイムラグが発生することも多いですが、サービスは生産と消費が必ず同時に発生する特徴があります。商品と比べると、サービスは無形のため基本的に「保存」ができないことに加えて、限られた範囲にしか提供できません。

無形のサービスでも、購入者が好きなときに利用できるように工夫することが重要です。たとえばセミナーや授業などのサービスなら、録音や録画したものを提供することで、購入者が好きな時間に受けられます。大人数が一度にサービスを受けられるように、対面式ではなくオンラインセミナーを開くといった取り組みも有効です。

異質性

商品は規格や仕様を定めることで、品質を標準化できます。一方でサービスは同じ内容でも提供する人のスキル、状況などにより品質にばらつきが出るため標準化は難しいという一面があります。

マニュアルの整備、顧客アンケートで顧客からの意見を取り入れ、詳細な課題や問題点を発見するなど、提供するサービスの品質をできるだけ均一にする取り組みが必要と言えます。

消滅性または非貯蔵性

商品は購入後商品の形そのままで残せますが、サービスの多くは顧客へ「体験」を提供する代わりに消滅します。さらに商品は在庫として管理できますが、サービスは在庫管理ができません。サービスには需要と供給のバランス調整が商品よりも難しいという特徴があります。

在庫管理のできないサービスを効率的に販売するには、需要と供給のバランスを取るための取り組みが必要となります。たとえば閑散する曜日や時間帯は割引料金にする、ピーク時と閑散期でスタッフの人数を調整する、需要の偏りや待ち時間を解消するため予約システムを導入するなどの取り組みがおすすめです。

変動性

サービスは商品よりも季節、日時、曜日などで需要が変動しやすい特徴もあります。サービスの持つ変動性に対するマーケティング施策として有効となる具体的な取り組み方は、消滅性または非貯蔵性と同じです。ピークと閑散期のニーズや販売量などを分析し、サービスの安定供給や品質維持のための取り組みをおこないましょう。

サービスマーケティングの7Pフレームワークと4Cとの関係

人のネットワークのイメージ

有効なサービスマーケティングを運用するためには、前述のサービスの持つ5つの特性から来るデメリットや不具合、リスクを防ぐことが必須となります。そのために有効なのが、サービスマーケティングの7Pフレームワークです。7Pフレームワークの構成要素と、より有効なサービスマーケティングの戦略につながる4Cについて解説します。

マーケティング・ミックスの4P

マーケティング・ミックスの4Pとは、マーケティング活動での目標達成のために組み合わせて活用される、以下4つの概念を指します。マーケティング・ミックスの4Pはサービスのマーケティングはもちろん、有形商材を対象としたマーケティングにも応用できます。

  • 商品・製品(Product)…サービスそのものの内容
  • 価格(Price)…サービスの提供価格
  • プロモーション(Promotion)…サービスの見せ方、認知活動
  • 流通(Place)…サービスの提供場所

サービス・マーケティング・ミックスの3P

従来のマーケティング・ミックスの4Pに対して、サービスマーケティングだからこそ重視すべき概念が、以下のサービス・マーケティング・ミックスの3Pです。

  • 人(People)…サービスを提供する人
  • 提供過程(Process)…サービスを提供する順序や組み立て
  • 物的証拠・環境要素(Physical)…サービスが提供される場所や雰囲気

サービスマーケティングで戦略を立てるときには、マーケティング・ミックスの4P+サービス・マーケティング・ミックスの3P=サービスマーケティングの7Pがフレームワークとして活用されます。サービスマーケティングの7Pについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

▼関連記事
4Pでは不十分?「サービス」を売るための7Pとは?
https://yoyakulab.net/business/service-marketing-7p/

4C

マーケティング・ミックスの4Pが企業側の視点から見た概念であるのに対して、ユーザーの視点から見た概念が、4Cです。4Cには以下の要素があります。

  • Customer Value(価値)
  • Customer Cost(費用)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

4Cはユーザーの視点からの概念のため、有形商材のヒットを生み出す戦略に用いられています。サービスマーケティングにおいて、より良い顧客体験を提供するためにも、4Cを活用したフレームワークは有効と言えます。

サービスマーケティングで戦略を立てる際には、サービスマーケティングの7P+ユーザーの視点から見た4P=11の要素をフレームワークに活用してみましょう。

サービスマーケティングの種類

レストランのテーブル

「サービス提供企業」「サービス提供者(従業員)」「顧客」の間で、3つのマーケティング活動がおこなわれている、というのがサービスマーケティング市場における考え方です。この3つのポイントからおこなわれる市場活動は「サービストライアングル」と呼ばれています。

サービス・トライアングルそれぞれの立場からの働きかけ方により、サービスマーケティングの手法が異なっていくことを覚えておきましょう。おもなサービスマーケティングの種類を解説します。

エクスターナルマーケティング

従来のマーケティング・ミックスの4Pの概念をベースに、いろいろな施策を組み合わせておこなうマーケティングの手法です。サービス提供企業から顧客に対しておこなう手法で、4Pマーケティングとも呼ばれています。

インタラクティブマーケティング

サービス提供企業の従業員(サービス提供者)と顧客がお互いにやり取りすることで、顧客の反応を見ながらおこなうマーケティングの手法です。サービス提供者はCP(コンタクトパーソン)とも呼ばれています。

サービスマーケティングにおいて、顧客満足度に大きく影響するのが従業員と顧客の関係性です。顧客との対話によって「顧客が心地よいと感じるコミュニケーション」を提供することが、サービスマーケティングの成果を上げるための重要なポイントとなります。

インターナルマーケティング

サービス提供企業が、サービス提供者となる従業員に対しておこなうマーケティングの手法です。サービスマーケティングでは、サービス提供者の対応が顧客満足度を左右します。そのため、顧客と直接コンタクトを取るサービス提供者が高い品質を持って顧客対応ができるように、企業側が働きかけをおこなうのが、インターナルマーケティングです。

たとえばサービス提供者のモチベーションが低いと、顧客への対応が煩雑になるなどサービスの品質が落ちる原因になりかねません。企業側はサービス提供者が高いモチベーションを持って顧客の対応ができるようにコミュニケーションを取るなどの対応をし、品質の高いサービス提供につなげます。

経験価値マーケティング

経験価値マーケティングとは、実際に体験できるイベントなどを通じて、以下5つの要素から顧客の経験を刺激するマーケティングの手法です。

  • SENSE…試食や試着、BGMなど顧客の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)に訴求
  • FEEL…新しいサービスや切り口の異なるサービスで顧客の好奇心を喚起
  • THINK…実演サービスなどで顧客に高揚感や感動を想起させる
  • ACT…美容体験など顧客の身体的変化やライフスタイルへの訴求
  • RELATE…ユーザーコミュニティなど人間の所属欲求に訴求

たとえば顧客の好奇心を喚起する斬新なアイディアやサービスを展開する、他人との交流によって人間の所属要求に働きかける、といった施策があります。経験価値マーケティングはサービスそのものに価値を見出すのではなく、サービスを通じて得た「顧客体験」に付加価値を付けるのが目的です。

サービスマーケティングを成功させるポイント

SUPPORTの文字

サービスマーケティングを成功させるためのポイントを解説します。

7Pや4Cの要素を組み合わせて戦略を立てる

サービスマーケティングは、サービスの持つ特性から従来のマーケティング・ミックスの4Pの要素のみではどうしても十分な戦略が立てられません。また「サービス」と一口に言っても、提供するサービスの内容や質、顧客体験はそれぞれの商材や企業によっても異なります。

自社のサービスに有効なマーケティングを展開するには、4Pにサービスマーケティングの3Pをプラスした7Pや、顧客目線からの4Cも取り入れた11の要素からの戦略を立てることが重要です。

また各要素は独立して考えるのではなく、要素同士を組み合わせたり関連付けたりして戦略を立てることで効果的なマーケティングにつながるでしょう。

従業員満足度を上げる取り組みをする

サービスを通じた顧客満足度は、サービス提供者の対応によって上下します。従業員であるサービス提供者の満足度が低ければサービスの質も落ち、従業員の満足度が高ければサービスの質も上がるため、顧客満足度は従業員満足度に比例すると言えるでしょう。

従業員満足度を上げる取り組みをおこなうことが、サービスを通じた顧客満足度の向上につながると言っても過言ではありませんインターナルマーケティングの実施や、従業員の働き方や職場環境の見直しなど、従業員満足度についても考慮することで、顧客満足度も上がりサービスマーケティングの成果も上げられるでしょう。

顧客体験を重視した手法を取り入れる

サービスマーケティングの根本にあるのが「サービスは、ものを提供するのではなく、顧客体験を提供する」という考え方です。有形商品とは異なるサービスの特性から発生するリスクや不具合を回避するための取り組みをおこない、最高の顧客体験を提供することが、マーケティングの成功につながります。

マーケティングの具体的な施策を考えるには、顧客のニーズと自社が抱えている課題を把握する必要があります。アンケートなどを実施してニーズや課題を把握し、適切な手法を取り入れることでより高い顧客体験が提供できるでしょう。

業務効率化や環境の最適化をする

業務が煩雑になりサービスの品質が落ちる、顧客を待たせてしまうなど、環境や業務内容によって提供するサービスに影響する問題が発生することも多いです。サービスマーケティングの成果を上げるには、サービス提供者が持つ本来の力を発揮できる環境を整えるのが重要と言えます。

サービスの5つの特性を踏まえて、「ピーク時には従業員を増やす」「待ち時間が発生しないように予約システムを導入する」「事前注文システムで販売機会の損失を防ぐ」など、業務を効率化するための取り組みをしましょう。

サービスマーケティングを自社の戦略として活用しよう

サービスマーケティングの概要、有形商品と異なるサービスの持つ特性、サービスマーケティングに活用できる7Pフレームワーク、効果的なサービスマーケティングを実践するためのポイントを解説しました。

サービスマーケティングの成果を上げるには、7Pや4Cなどの11の要素を使ったフレームワークによる戦略を立てるほか、従業員満足度を上げる、サービスの質を上げるための業務効率化や環境を整えるなどの取り組みも必要です。自社の商材に合う戦略や取り組みを導入し、サービスマーケティングの成果を最大化しましょう。

森野ミヤ子

社会人から通信制大学へ。大手ファミレスの時間帯責任者、メーカーや商社の営業事務などをしながら卒業、中高英語科教員免許を取得。配偶者が転勤族のためフリーランスのライターに。生活、子育て、ビジネス系からものづくり系などニッチなジャンルも執筆中。

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