銀行業界における来店予約の受付方法や予約対象業務の傾向
調査

コロナ禍にて、銀行の来店予約は報道でも耳にする機会が増えてきたと思います。
私たち銀行を利用する消費者にとって、来店予約サービスは、並ばずに用件を済ませることができ、単に混雑を避けるだけでなくより利便性の高いサービスだと言えます。
今回の予約ラボの調査では、2021年10月時点で、各行がホームページ上で公表している来店予約の案内情報をもとに、その方法や予約内容についてまとめてみました。
調査項目は、以下の3点です。
- 来店予約の仕組みを設けているか?
- 予約の方法
- 予約内容
1.については、来店予約への案内が(方法を問わずに)ホームページ上に記載されているか否かを調査しました。
2.については、電話、ウェブフォームを主とした専用予約システムを介した予約、あるいは窓口における予約、電話と窓口のような複数の予約方法がありました。
3.については、来店客が予約できる対象業務(予約内容)となります。各種変更や解約といった手続き業務(入出金や振込は含まない)の予約、資産運用や相続といった各種相談などが主な内容です。
※今回の調査方法は、各銀行のウェブサイトの中に「来店予約」の記載があるものからピックアップしました。そのため「来店申込」など別の言葉で表現されている内容は調査対象に含まれておりません。
また、来店し相談できる銀行はたくさんありましたが、予約が必要である記載がない銀行については、来店予約なしとしてカウントしています。同様に来店か電話での相談か判別がつかない内容についても、来店予約なしとしてカウント致しました。
都市銀行について
5行すべて来店予約は可能のようです。
1行のみ電話とウェブの両方で予約ができますが、4行は、専用フォームを使った予約になります。
後にご紹介する地銀・第二地銀との違いは、手続き業務も含め予約が可能な点になります。実際の予約の流れを見ていくと、支店ごとに予約できる内容は異なってくるようですが、手続きから相談までいつでも予約が可能なのは、消費者にとってありがたい仕組みと言えます。
地方銀行・第二地方銀行について
地方銀行99行を調査したところ、予約の仕組みが導入されている銀行は、全体の約8割です。都市銀行と比較するとその率は減るものの、ほとんどの地方銀行に予約の仕組みがあるといえます。また、予約の方法は、ウェブと、電話およびウェブを併せて考えると、7割以上がウェブを通じた予約になっています。全体数を分母に置き換えると、地方銀行の57%がウェブを通じた来店予約を行っていることになります。
一方で、予約内容に目を向けると各種相談のみ予約を設けているところが67%になり、手続き事務の来店予約を行っている銀行は都市銀行と比較して少なくなっていることが分かります。
また、他の形態の銀行と異なる点として、相談会の予約を実施している銀行が12%ありました。相談会は、特定の期間に専門家によって開催されるもので、予め日時と場所、および相談内容が決まっているものです。その予定カレンダーから顧客が希望の相談会を選択し予約するという流れです。
対して相談予約は、基本的に顧客が希望する相談を、希望する日時に来店して行うための予約になるため、相談会とは区別して計上しております。
信託銀行について
全国の信託銀行15行を調査したところ、来店予約の有無について、分母は異なりますがほぼ地方銀行と逆転した割合となっています。また来店予約の内容については、地方銀行と同様に相談を対象とした予約がほとんどであり、手続きに関する予約は少ない傾向となっています。
新たな形態の銀行について
こちらの区分にある銀行は、そもそもネットを主体とした業務を行っている銀行が中心でしたので来店という考え方は少ないのかもしれませんが、来店予約は9行中、2行が可能となっています。予約内容は全行相談のみとなっています。
まとめ
このように、銀行においても来店予約は増えつつあり、とくに都市銀行においては各種届出などの手続きにおいても予約が可能となっています。いずれも入出金や振込、租公税納付などの手続きについては窓口にて直接順番に受け付けされますが、資産運用や住宅ローン、相続相談など、対応に時間を要する業務については予約が可能となることが多いようです。
ポストコロナ時代においても、混雑回避や効率化といった観点から、銀行における来店予約は続いていくのではないかと思われます。
<参考>
各行の公式ホームページより情報取得して集計
各行のドメイン配下にあるPDFを含めた資料をもとに集計