アサイン調整は適材適所の実現が重要! 基本的な意味と問題点を中心に解説
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アサイン、アサイン調整といえば、必要なポジションや業務に人材を割り振る作業として知られています。しかし、多くの場合、ただ単に人をあてはめればよいというものではありません。ニーズに応じて、相応しいポジションに最適な人的資源を配置する適材適所を判断する力が重要です。また、イレギュラーなアサインの調整も起こり得るため、臨機応変に対応しなくてはなりません。
この記事では、アサイン調整の基本と問題点を中心に解説・紹介します。
目次
アサインの基本的な意味をおさらい
assign の意味
アサインは英単語の assign がカタカナ化したものであり、ビジネスにおいては主に人材などの各種リソースを割り当てる・任命するといった意味で使われています。動詞形であるアサインと名詞形のアサインメントの区別なくアサインと呼ばれていることが多いといえるでしょう。
ビジネスシーンでよく使われる用語として、以下の3つが有名です。
- ジョブアサイン(ジョブアサインメント)…さまざまな場面で多く使われており、単に仕事の割り振りを指すというよりも、成長を期待して仕事を任せる意味を含む
- ダブルアサイン(ダブルアサインメント)…1人で担当が可能な業務に2人を配置することで属人化などのリスクに備えるアサイン調整の手法
- ストレッチアサイン(ストレッチアサインメント)…現状の能力を超える役職をアサインし、その人の成長を促す手法で、負荷が過剰にならないよう注意が必要
アサインには権限が必要
アサインはポジションの任命権や業務配分についての権限を持つ上位者・役職者によっておこなわれるものです。したがって、下位者が上位者に対してアサインすることは基本的にありません。また、店舗が顧客に座席や部屋を割り当てるように、上下関係にはないケースでアサインが用いられることもありますが、この場合の最終的な決定権は施設管理権を有する店側にある点で同様といえます。
ただし、タスクフォースなどで一時的に下位者がアサイン権限を持つことは起こり得るでしょう。
アサインという言葉は使う企業と使わない企業が分かれる
インターネット上でビジネスの話をする際に、アサインという言葉が使われても違和感なく進むことが多いといえます。IT関連企業や新進のベンチャー企業などでは、横文字由来の単語に拒否感が少ないといえるでしょう。しかし、アサインという言葉が、すべての企業や業界、環境で当たり前に使用されているわけではない点には注意が必要です。
エビデンスやアジェンダなどといったカタカナ語に親和性のないところでは、何をいっているのか? という反応になることがあるため、割り当てや割り振り、任命といった日本語での会話が望ましいケースもあります。先方が口にする単語を意識してチェックしておくとよいでしょう。
アサイン調整の基本的な意味
基本的な割り当てとしてのアサイン調整
アサインは主として予め誰が何を担当するか(どこに何を割り当てるか)を決めておく作業であり、その調整として実施されています。人材をアサイン調整する場合には、前述のジョブアサインをベースとして、必要に応じてダブルアサインやストレッチアサインも活用されているのがビジネスの現場です。
- プロジェクトリーダーのアサイン調整
- 各担当者のアサイン調整
- 欠員部署の補充人員アサイン調整
- 顧客の席のアサイン調整
- 店舗担当者のアサイン調整
- PCやアプリケーション機能のキーアサイン調整
このように、さまざまなアサイン調整があります。
例1・コンテンツマーケティングにおけるプロジェクトのアサイン調整
コンテンツマーケティングのプロジェクトを例に、必要な人材のアサイン調整について紹介します。
- 核となるマーケターのアサイン調整
- ディレクターのアサイン調整
- アナリストのアサイン調整
- Webデザイナーのアサイン調整
- SEO対策担当者のアサイン調整
- コンテンツ編集者のアサイン調整
- Webライターのアサイン調整
- カメラマンのアサイン調整
- 動画編集者のアサイン調整
- 機材や予算のアサイン調整
すぐに思いつくだけでも、これだけのアサイン調整が必要です。
例2・店舗業務のアサイン調整
続いて、店舗業務における例を紹介します。
- シフトのアサイン調整
- 予約受付や問い合わせに対応するスタッフのアサイン調整
- 個別の予約客に対応するスタッフのアサイン調整
- 顧客を案内する席のアサイン調整
日常的な役割が決まっている店舗業務であったとしても、都度アサイン調整が必要です。
2つの例には記載していませんが、もっとも重要だといえるのは、これらを担当する人材の選任・アサイン調整かもしれません。
イレギュラー対応としてのアサイン調整
担当者変更のためのアサイン
完了しているアサインに修正の必要が生じた場合のイレギュラー対応として、パッと思いつくのが担当者の変更のためのアサイン調整です。急病でシフトに入れなくなったスタッフと休みのスタッフを入れ替えるといったケースのように、担当者の変更は実際にあちらこちらでよくおこなわれています。
人員減に対応した日程調整のためのアサイン
スタッフの急病といっても、1日または2日休めば出勤可能なケースばかりではありません。数日の休養が必要な場合は代替要員の手配が難しい場合もあるでしょう。また、予定外の出張などで一時的に人員が減ることも考えられます。このような事態が生じた際に必要なのが日程調整的なアサイン調整です。
日程調整のためのアサインは、一定期間を定めて人員を減らすよう調整します。業種によっては、受け入れ客数を減らすなどの対応が必要です。アサイン調整といえば人や業務を割り振ることにばかり目が向きがちであるものの、割り振りを外すことも重要なアサイン調整だといえます。
時間調整のためのアサイン
イレギュラーな事態は、日単位だけではなく時間単位で生じることもあり得ます。1日の中で特定の時間帯のみ人手が不足してしまうケースでは、時間調整のためのアサインをおこないます。配置する人員を減らし、受け入れに制限をかける点で日程調整的なアサイン調整と同じといえます。
アサイン調整の問題点
適材適所の難しさ
アサインは手が空いている人員を、必要なポジションに配置すればよいというケースばかりではないため、調整が重要になります。全員が同じ内容の仕事をする場合を除いて、適材適所の判断が第一のポイントです。適材適所の見極めは口でいうほど簡単なことではないため、アサインの担当者にとっては調整する腕の見せ所であると同時に、悩ましい点でもあります。各人員の性格や得意分野、業績などの把握ができていないと人員の選定・調整に失敗するおそれが高くなるでしょう。
アサイン調整の失敗例としてよく挙げられるのが、プロジェクトメンバーに社内のトップクラスと呼ばれる優秀な人材を集めたケースです。ある部門でトップの人材であっても、アサインがミスマッチであれば能力を活かし切れないことがあり得ます。
また、ミスマッチがなくても成功するとは限りません。優秀な人材の仕事には口を出し辛いため、プロジェクトとして全体のまとまりがなくなることもあります。また、背負わされる期待と責任が大き過ぎてプレッシャーに潰されてしまうなどのマイナス面がある点にも注意が必要です。適材適所のアサイン調整は、さまざまな要素を考慮することから始まります。
既存業務が優先される
新規事業プロジェクトなどに各部門から人材を集める場合、既存業務が優先されてアサインが進まないケースや、アサイン調整はできても絵に描いた餅になってしまうケースが起こり得ます。その大きな理由といえるのが、実際に動いている業務と、まだ動いていない業務に対する温度差です。
既存業務は自社のスタッフや顧客など多くの人員がさまざまな動きをしており、影響が及ぶ範囲が広いといえるでしょう。一方、まだ動き出していない新規事業プロジェクトの影響範囲は比較的狭いと考えられます。既存業務を優先する立場からは、新規事業プロジェクトにリソースを割いたために、業績に直接かかわるかもしれない悪影響が出ることは避けたいでしょう。
また、部課長が優秀な人材を出したがらない理由として、自分の部署の成績にならないといった事情もあります。そのため、アサイン調整に協力的でなかったり、アサイン後も既存業務にかかりきりだったりといった事態が起こり得ます。
部門間の調整が重要
適材適所のアサインができない、既存業務が優先されるためにアサイン調整ができないといった問題の多くは、部門間の調整がうまくできていない点が原因になっているといえるでしょう。
適材適所のアサイン調整に関しては、人材に関する情報をオープンにする必要性があります。既存業務の優先については、新規事業プロジェクトに対する会社としての本気度が問われる部分です。新規事業プロジェクトの重要性を浸透させることはもちろん、所属元の部署にとってマイナスにならない仕組み、さらにはインセンティブが働く仕組みを作るなどの対策が求められます。
アサインツールで問題解決を図る
アサインツールとは?
アサイン調整がうまくいかない問題を解決するための1つの手段として、アサインツールやアサイン管理ツールの活用が有効です。アサインツールの主なメリットは、社内の人材に関する情報共有やリソースの可視化ができること、それによりアサイン調整のための手間暇を省けることです。
アサインツールに必要とされる主な機能には、スキル一覧や実績評価、稼働状況と稼働予定といった個々の人材に関する情報の管理と共有、各種データ分析、プロジェクト管理などがあります。
イレギュラーなアサイン調整には予約管理システムが使える
アサインツールがあればアサイン調整の効率アップを期待できますが、人的リソースに一時的なイレギュラーが起きた場合などでは、シフトの調整が得意な予約管理システムが役に立ちます。
たとえばチョイスリザーブなら、空いているスタッフを押さえて指名したり、カレンダー上で簡単にシフト調整をしたりといった方法が可能です。日程調整的・時間調整的なアサイン調整が必要なサービス業などを中心に検討してみる価値があるでしょう。
アサイン調整は予想される問題を回避しておこなう
アサイン調整では、最初にアサインするときだけでなく、アサイン後の状況変化に応じた調整も重要となっています。とはいえ、再調整の回数や労力はできるだけ省きたいものです。そのためには、適材適所を徹底することに加え、予想される問題を回避しておく必要があります。
社内の意思統一とコミュニケーションの質量アップ、アサインツールや予約管理システムの活用を検討してみましょう。