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Web広告の分析は広告効果を上げる重要な方法! 目的別の指標やポイント・注意点などを解説

知る・学ぶ

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2023.10.08
ノートPCの画面にグラフ
浅川 仁

会社員時代はITソリューション系商社で営業職・企画職に従事。セキュリティ関連企業の営業中間管理職なども経験。旧司法試験が終了する前に記念受験するなど、法律好きだったりもする。ネットの可能性に目覚めたことから、その一環としてWebライティングを探求中。

INDEX

Web広告の分析は認知や集客、リードや売上などの成果獲得といった目的に対する広告効果を高める重要な作業です。予約獲得にも重要で、目的別に適した指標を使って行います。この記事では、Web広告分析の指標や分析にあたってのポイント、注意点などを解説します。

※この記事は、「予約の知見」と「サービスの現場」を共創し、そこに眠る価値を発見・創造していく、日本で唯一の予約研究機関【予約ラボ】が監修を行っています

目次

Web広告の分析とは

印刷されたグラフと人形

Web広告の分析とは、Web上で展開している広告が効果をもたらしているのか、期待ほどの結果が出ていないのかを知るための測定と、測定結果を検討し、どのように活かすかを判断する作業、工程です。

Web広告の効果を測定する

Web広告は常に効果を測定する必要があります。自社商品・サービスを取り巻く環境は日々変化しており、ユーザーの興味の対象も毎日同じではありません。寿命が短くなったトレンドに左右されることも少なくなく、日付や曜日、時間帯による違いなどもあります。そんな中で、効果的な広告を打ち続けるためには、詳細で正確な測定データが必要です。

測定結果から次のステップを判断する

測定結果を基にWeb広告の効果を評価し、次のステップを判断します。簡潔にいえば、期待した効果が出ているのか、期待を下回っているのか、上回っているのかを見極め、広告を現状維持で継続するのか、さらに強化するのか、それとも中止してしまうのかの判断です。

ただし、効果が芳しくない場合は中止するといった画一的なものではないといえます。たとえば、上昇気配を見せている場合は継続する判断もアリでしょう。より効果を高める改善策の実施も重要になります。この判断に欠かせないのが後述する指標です。

Web広告の目的と主な種類

ノートPCの検索画面

Web広告の目的は主として認知・集客・獲得です。認知は自社のブランディングや商品・サービスの認知度を拡大させること、集客は自社サイトや販売ページへ誘導することを意味します。獲得は購入や申し込み、見込み客の獲得です。目的に応じて使い分ける広告には、さまざまな手法があります。

純広告

純広告とは、Web広告を掲載する媒体上に固定された広告枠を購入して、一定期間にわたって行うWeb広告です。一般に集客力のあるポータルサイトのトップページ上の広告枠を使った純広告は、多くのユーザーの目に触れる機会に恵まれているといえるでしょう。認知拡大を目的とするWeb広告に適した広告手法です。

ただし、純広告は予約型広告とも呼ばれており、予め設定された契約内容での掲載が続くため、途中で変更することができません。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告はパッと見では純広告と似ています。しかし、アドネットワーク上に配信される点、運用型広告とも呼ばれており、固定された条件ではなく状況を注視しながらの運用が可能な点など相違点の多いWeb広告です。ディスプレイ広告も認知拡大に向いています。

タイアップ広告

タイアップ広告は記事広告とも呼ばれており、媒体のコンテンツと同じような体裁で掲載されるWeb広告です。古くから新聞や雑誌の紙面では、一般記事と同じような取材・解説風の記事で企業や商品の宣伝が行われており、イメージしやすいでしょう。

Web広告においても、タイアップ広告は主要な広告手法の一つとして活用されています。ただし、あくまでも記事の体裁をとっているため、中身を媒体に任せる部分が多くなり、費用が増える可能性がある広告手法です。

タイアップ広告は集客目的にマッチした広告手法で、認知・獲得目的にも使えます。しかし、PRやAD表記をしていても、ステルスマーケティングを嫌う傾向があるユーザーには、逆効果になる可能性がある点に注意が必要です。

リスティング広告

リスティング広告は検索ユーザーが打ち込んだキーワードに連動して表示されるWeb広告です。そのため、検索連動型広告とも呼ばれています。日本においてはGoogleとYahooがリスティング広告の2大プラットフォームと呼べるでしょう。

ユーザー自身が打ち込んだばかりのキーワードに関連しているため、目に留まりやすく、関心を持ってもらいやすい点が大きなメリットです。獲得目的のWeb広告に適しています。ただし、競合が厳しい点や、表示されるWeb広告はテキスト形式になっている点に注意しましょう。スルーされないようインパクトのあるコピーが重要です。

SNS広告

SNS広告とは、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramといったSNSを利用したWeb広告です。認知・誘導目的に適しているとされており、細かなターゲティングができる点が大きなメリットといえます。

その反面、ユーザーの眼前を飛び交う膨大な量の情報に埋もれてしまわないためには、スマートフォンの画面から強烈にアピールできる見た目や中身が必要です。また、ターゲット層が細かく分かれていることから、狙いを外さない企画力、選定力が求められます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告は、ユーザーの訪問履歴を活用してWeb広告を表示させる広告手法です。自社サイトを訪問したユーザーが、サイトを離脱した後に訪問した別のサイトに広告を表示できます。自社や自社商品に親和性が高いと思われるユーザーを、cookie(クッキー)によって追跡しているため、ECサイトなどで取りこぼしの防止に役立ち、獲得目的に適した手法です。

ただし、自分の閲覧行動を追跡されることを嫌がるユーザーの存在、個人情報保護の観点などから、今後の動向が気になるところです。

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は外部のアフィリエイターが運営するサイトやメルマガなどを経由して、商品の販売やリードの獲得を目的とするWeb広告の手法です。アフィリエイターとは直接の接点を持たずASPを利用する方法と、自社で直接アフィリエイターと契約を結ぶ方法があります。

成果が上がった分だけ報酬を支払うことから、成果報酬型広告とも呼ばれており、報酬が高ければより多くの成果を見込める点が特徴です。反対に、報酬が魅力的でないなどの理由でアフィリエイターが力を入れなければ、成果につながらない可能性が大きくなります。

Web広告単位と指標単位で行う分析結果の評価

机上のグラフと拡大鏡

Web広告の分析は、目的に適した各種の指標を用いて行い、結果の評価は広告単位で行うケースと指標単位で行うケースがあります。

広告単位の評価

広告のキャンペーン単位でトータルな評価をする場合、期待した目的をどれだけ達成したか、期待した効果に対してどれだけの結果が出ているかが重要になります。評価基準に照らしてよければキャンペーンを強化したり、悪ければWeb広告を早期に打ち止めにすることで、無駄を回避した効率のよい広告展開が可能です。そのためには、費用対効果を中心とした分析評価が必要になります。

指標単位の評価

当該広告のどこがよくてどこが悪かったかを判断し、改善につなげるための評価が指標単位の評価です。広告全体を見るのではなく、キーワードごとの効果の差や、訪問したユーザーの直帰率などを指標に改善点を見つけます。

認知拡大・ブランディング目的のWeb広告分析指標

キーボード上にCPMと書かれたキューブ

ここでは認知拡大・ブランディング目的で行うWeb広告の分析指標と改善ポイントについて解説します。

インプレッション

インプレッションは広告の表示回数、ユーザーが広告を見た回数を数値で示し、Web広告の分析においては非常に重要なポジションを占める指標です。インプレッションが少なければ、そもそも当該広告はユーザーの目にあまり触れていないことになるため、スタートから躓いていると考えられます。どのような広告であれ、見てもらえないことには次に進まないためです。

インプレッション単価(CPM)

インプレッション単価とは、広告が1,000回表示されるためにかかった費用のことです。

CPM=広告にかかった費用÷広告の表示回数×1,000で算出できます。50万円の費用が発生した広告で表示回数が100万回であれば、500,000÷5,000,000×1,000=100となり、インプレッション単価は100円です。

リーチ(Reach)

リーチとは、Web広告を見たユーザーの実際の人数を示す指標です。100回の閲覧があった場合、すべて違うユーザーによるものであれば、リーチは100となります。しかし、全員が2回ずつ閲覧していれば、リーチは50です。リーチが多ければ、それだけ多くの人が閲覧していることになります。ただし、同じ人が異なる端末で閲覧した場合は、それぞれがリーチのカウント対象です。

分析・改善のポイント

インプレッション数が伸びない場合は、人口が少ない市町村から県域に広げるなど、配信エリアを拡大したり、ターゲットが適切かどうかを見直したりといった改善が必要になります。

インプレッション単価は配信エリアを拡大したり、ターゲットを広くしたりすることで下がる可能性があります。ただし、単に下がればよいというわけではありません。単価が低くても、目的達成から遠ざかってしまうと意味がないためです。

リーチが少ないと判断される場合は、ターゲット設定がマッチしているか、表示されるテキストや画像など、思わず見たくなるような広告を作れているかを検討して増加を目指します。

サイト誘導・集客目的のWeb広告分析指標

CTRと書かれたキューブ

次に、サイト誘導・集客目的で行うWeb広告の分析指標と改善ポイントについて解説します。

クリック数

ユーザーが広告を見てクリックした回数がクリック数です。クリックによってユーザーが自社サイトに入ってくるため、重要な指標の一つです。

クリック率(CTR)

クリック率はインプレッションに対するクリックの割合です。インプレッションの数が多くてもクリック率が少なければ、期待する集客にはつながりません。

CTR=クリック数÷インプレッション数×100で算出します。100万回のインプレッションでクリック数が5万回ならクリック率は5%です。ちなみに、ディスプレイ広告の場合、一般的には2%もあれば上々だといわれています。

クリック単価(CPC)

クリック単価は、広告のクリック1回あたりにかかる費用のことです。リスティング広告の場合、クリック単価はオークション形式で決定されます。入札価格が高い広告から表示される仕組みです。

CPC=広告にかかった費用÷クリック数で計算します。50万円の費用が発生した広告でクリック数が1万回であれば、500,000÷10,000=50となり、クリック単価は50円です。

分析・改善のポイント

クリック数、クリック率を改善するためには、ユーザーの取りこぼしを防ぐため、キーワードに幅を持たせます。メインキーワードを複合化することで、幅広いニーズを拾うことが可能です。また、効率の悪いキーワードを取り止めにすることで、クリック率の改善につながります。

ただし、クリック率と目的達成が必ずしもリンクするわけではない点に注意が必要です。クリック単価は競合状況を考慮する必要があり、場合によっては高額であっても目的達成が優先されます。

リードや予約の獲得・売上目的のWeb広告分析指標

キーボードの前にCVRと書かれたキューブと人形

続いて、サイト誘導・集客目的で行うWeb広告の分析指標と改善ポイントについて解説します。

コンバージョン数(CV)

コンバージョン数とはインプレッション~クリックと進んで、最終的な成果に結びついた数字です。

コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率は、サイト訪問数に対する成果の割合です。サイトによっては成果が一つではないため、それぞれの成果ごとにコンバージョン率が存在します。たとえば、資料請求のコンバージョン率と商品購入のコンバージョン率です。

CVR=コンバージョン数÷サイト訪問数(セッション数)×100で計算できます。コンバージョン数が100でセッション数が8,000であれば、100÷8,000×100=1.25%です。

セッション数

セッション数とは、ユーザーがサイトを訪問した回数を表す数字です。セッションはサイト流入から離脱までを表しています。したがって、1人のユーザーがサイト訪問~離脱を3回行えば、セッション数は3です。

分析・改善のポイント

コンバージョンが伸び悩んでいる場合は、そもそも広告の種類が適切かどうかを検討します。ユーザーニーズに直結しやすいのはリスティング広告です。また、ターゲット設定や広告の内容を、よりターゲットに合うように見直します。現行広告とアレンジを加えた広告案で、複数パターンの効果比較を行うA/Bテストの活用も可能な限り行いましょう。

Web広告トータルの効果分析に用いる指標

キーボード上にCPAと書かれたキューブ

最終的にWeb広告トータルの効果分析に用いる指標と改善ポイントについて解説します。

顧客獲得単価(CPA)

顧客獲得単価はコンバージョン単価とも呼ばれ、成果1件あたりにかかった費用を示す指標です。

CPA=広告にかかった費用÷コンバージョン数で算出可能です。広告にかかった費用が500万円でコンバージョン数が400なら、CPAは5,000,000÷400=12,500円となります。CPAは業界や扱っている商材により大きく変わる指標です。売上・利益が大きい商材であれば、CPAの数値が大きくても直ちに問題とはいえません。

投資利益率・投資対効果(ROI)

投資利益率・投資対効果は、広告にかかった費用に対する利益をパーセンテージで示した指標です。

ROI=利益÷広告にかかった費用×100で計算します。広告にかかった費用が500万円で利益が60万円なら、ROIは600,000÷5,000,000×100=12%です。

広告費用回収率・費用対効果(ROAS)

広告費用回収率・費用対効果は利益ではなく売上面から見た指標です。広告にかかった費用に対する売上の割合を見ています。

ROAS=売上÷広告にかかった費用×100で算出します。広告にかかった費用が500万円で売上が1,000万円なら、ROASは10,000,000÷5,000,000×100=200%です。

注意すべきは広告費用回収率という言葉で、あくまでも広告の効果を示すものであり、事業としての回収率と混同しないようにしましょう。売上を出すためにかかっている費用は広告費だけではないためです。

仮に1,000万円の売上に対する原価が400万円の場合を考えてみます。便宜的に他の費用や利益を考慮せずに計算すると、差額の600万円から広告費の500万円が回収可能です。しかし、原価が高くて差額が500万円を切っていれば回収しきれません。ROASが200%以上あったとしても、儲かっているとは限らないということです。

損益分岐点という意味でいえば、売価1,000万円で原価400万円の商材なら、広告費は600万円です。600万円以下なら赤字にはなりません。この場合のROASは、10,000,000÷6,000,000×100=166.67%となります。

利益や売上額に対する広告費用の検証と判断

損益分岐点の話を出しましたが、Web広告の目的が認知・誘導・獲得のどれであったとしても、最終的に利益につながらなければ、多くの場合で広告費をかけるメリットが薄れてしまうでしょう。投資効率を向上させるためにも、利益や売上額に対する検証と判断はシビアに行う必要があるといえます。

Web広告分析のポイントと注意点

分析と書かれた紙とペン

最後にWeb広告分析のポイントと注意点を紹介します。

目的を明確にして適切な指標を選ぶ

Web広告の目的が主に認知拡大・集客誘導・売上やリードの獲得であることは既述のとおりです。分析に際しては、目的を再認識して目的にマッチした指標を選ぶ必要があります。間違った指標で分析した場合、正しい効果の判定や改善策にはつながりにくいものとなってしまいかねません。上で述べた目的それぞれに対応する指標を参考にしてください。

ユーザーの視点で分析する

Web広告の分析を行うにあたり、事前にユーザーが何を考え、何を望んでいるかを予測し、仮説を立てることが重要です。広告発信側の視点で結果を見るだけでは、ユーザーの考えや行動傾向が反映されにくく、ピントのズレた分析になってしまいかねません。ユーザーの視点に立った分析は目的達成に必要です。

客観的な分析を心掛ける

数字として出てくる結果は客観的に分析する必要があります。数字は嘘をつかないといわれますが、数字を評価するのは人間です。100という数値は100でしかなく、99でも101でもないことは事実ですが、100が大きいか小さいかは絶対的なものではありません。

主観的な判断なら100が大きいと感じる人もいれば、小さいと思う人もいるでしょう。客観的に分析すれば大きいにもかかわらず、そのときの状況によっては、自分に都合よく小さい(またはその逆)と考えてしまうことがないとはいえません。数字を前にするからこそ、客観視する心構えが重要です。

定期的に分析を行う

Web広告の分析は1回やって終わりではなく、継続的・定期的な実施が必要です。変化し続ける社会情勢、トレンド、ブームなどが広告の効果にも影響を与えます。たとえ、うまく運んでいる広告であっても、もっとよくなる可能性があるかもしれません。分析をしないで機会損失を招くようなことがあってはならないでしょう。定期的に分析を行いPDCAを回す必要があります。

広告レポート

広告レポートとは、簡単にいえばWeb広告を運用して測定・分析を行った結果の報告書です。広告レポートを作成する際には、KPI(重要業績評価指標)となり得る各指標について、ビジュアル化して見やすくまとめたり、実施した施策や課題について言及することがポイントとなります。分析データとしては、全広告、キャンペーン別、個別の広告単位で分類したり、期間や日時、ユーザー属性で分類したり、さまざまな方向からまとめると効果的です。

分析ツールの活用

Web広告を詳細に分析しようとすれば、手作業では難しい面があります。分析ツールを導入し活用することで、効率のよい分析が可能です。2023年時点で一般に広く活用されている分析ツールには、Googleアナリティクス、AD EBiSなどがあります。Googleアナリティクスは無料で利用でき、Google広告との連携が可能です。AD EBiSはコンバージョンへとつながるユーザーの動きが見える化できるなど、見やすいツールとして知られています。

分析ツールを使うなら、各種システムとのマッチングも考えたいところです。たとえば、予約管理システム「ChoiceRESERVE」は、Googleアナリティクスのタグ設定をすることで、集客状況の分析ができます。

ポイントを押さえた分析を行いWeb広告の効果を上げよう

Web広告の分析は、目的を明確にしてユーザーの視点にも立ち、適切な指標を用いて行います。データとして上がってきた数値に対しては、希望的観測を入れずに客観的な評価を行うことが重要です。また、詳細な分析を効率よく行うには、欲しい機能が搭載された分析ツールの活用が欠かせないといえます。Web広告の分析はポイントを押さえて、高い効果を得られるようにしましょう。

浅川仁

会社員時代はITソリューション系商社で営業職・企画職に従事。セキュリティ関連企業の営業中間管理職なども経験。旧司法試験が終了する前に記念受験するなど、法律好きだったりもする。ネットの可能性に目覚めたことから、その一環としてWebライティングを探求中。

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