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旅行予約ポータルサイトのキャンセル規定調査

知る・学ぶ

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2020.12.02
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旅行予約ポータルサイトのキャンセル規定調査

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

INDEX

今回は、あるポータルサイトに掲載されているホテルや旅館等のキャンセル規定についてサンプル調査をしました。
まず、ポータルサイトとして共通のキャンセル規定を示しているサイトは少なく、今回調査したサイトも施設ごとにキャンセル規定は異なります。
それぞれの施設がそれぞれの表現で規定を示しているので、本調査では共通の指標として、以下の3点を用いて集計いたしました。

  • 申込金の有無(予約時に事前決済や一部代金支払いが要求されるか?)
  • キャンセル料が発生する期日が宿泊当日の何日前であるか?
  • 宿泊代金全額がキャンセル料として発生する期日はいつになるか?

今回の調査対象は以下の通りです。

  • サンプル数 136件
  • エリア 関東および長野県
    ・東京 46 33.8%
    ・千葉 32 23.5%
    ・埼玉 28 20.6%
    ・神奈川 28 20.6%
    ・長野 2 1.5%
  • 業態内訳
    ・ハイクラス 39 28.7%
    ・ホテル 27 19.9%
    ・出張ビジネス 10 7.4%
    ・旅館 24 17.6%
    ・民宿 26 19.1%
    ・民泊 10 7.4%

※ウェブサイトから読み取れる業態として、ハイクラスホテル(5つ星以上と表記)・ホテル・ビジネスホテル・旅館・民宿・民泊の6つの業態に区分けしました
(2020年10月時点掲載の情報)

予約時の申込金はほとんどの施設で不要

申込金 件数
不要 131 96.3%
要(条件付き) 5 3.7%

まず、予約時の申込金(事前決済)については、全体の約96%の施設が不要としています。条件付きで申込金を必要とする施設は約4%となっていますが、これはゴールディンウィークなどの繁忙期や、団体予約などに限られているようです。

キャンセル料金発生期日は前日がボリュームゾーン

次に、キャンセル料が発生する期日が宿泊当日の何日前であるかについてみてみましょう。
キャンセル料の額は施設ごとに異なりますが、最も多いのは「前日」で、約35%と3割以上、次が3日前の24%となっています。当日の約10%と合わせると、全体の約7割が3日前からキャンセル料金が発生することになります。

注目したいのが、当日まで約1か月の猶予があるにもかかわらず「30日以上前からキャンセル費用が発生する割合」が全体の約16%を占めるという点です。
様々なケースがありますが、大手旅行代理店を通じた旅行予約の場合、キャンセル料は旅行当日の3日前ごろから発生するのが一般的です(※注)。そのため、この16%の施設に「キャンセル料金請求に値する理由が存在するか」は注目すべきポイントになります。

以下の資料は、キャンセル料が発生する期日を業態別に表した資料です。
3日前からキャンセル料を設定している施設は、ハイクラスホテル、旅館、民宿という「料理提供を行っている業態」に多くあることが読み取れます。いっぽうでビジネスホテルや通常のホテルについては、前日からキャンセル料が発生している施設が多い傾向です。民泊施設においては、サンプル数が少ないためボリュームゾーンが確認できませんでした。

業態 当日 前日 3日前~ 10日前~
ハイクラス 1 15 16 7
ホテル 3 13 3 8
出張ビジネス 3 6 0 1
旅館 2 5 15 2
民宿 1 6 10 9
民泊 1 0 2 5

業態別キャンセル料発生期日

※注:規定が統一化されていないポータルサイトと比較するため、大手旅行代理店の規定を参考にいたしました。一般的には繁忙期などを除きキャンセル料が発生するのは宿泊日の3日前からで、いずれも代金の20%以内からと定められているようです。

ほとんどの施設は当日キャンセルで全額請求

最後に、宿泊代金全額がキャンセル料として発生する期日がいつになるかについてみてみましょう。
最も多いのが「当日」で5割を占め、「無連絡で宿泊しない場合」と合わせると7割超となりました。

全額キャンセル発生日  件数
無連絡 22.8%
当日 49.3%
当日22時以降 1.5%
前日 10.3%
2日前 3.7%
3日前 2.2%
7日前 1.5%
13日前 0.7%
14日前 2.2%
27日前 0.7%
100日前 0.7%
185日前 0.7%
365日前 2.2%
999日前 0.7%

いっぽうで、10日以上前から宿泊代金全額がキャンセル料として発生する施設が全体の約8%となっています。
また、キャンセル料が発生する期日に999日と掲示している施設もありました。

ここでも注目したいのは、当日まで約1か月の猶予がある27日以上前のキャンセルから代金全額を徴収するという施設が5%ほど存在しているということです。大手旅行代理店の規定では、繁忙期などを除き21日以前のキャンセルについては無料となっていることから考えても、約1か月前のキャンセルで代金全額徴収は過剰な負担を強いていると思われます。

まとめ

今回は、ある旅行予約ポータルサイト1社を対象とした調査で、サンプル数は136件となっています。全体を総括するには十分なデータとはいえませんが、非常に注目できるデータ集計だったと思います。
ここから分かったことについては以下の通りです。

  • ポータルサイトのキャンセル規定は個々の施設に委ねられている
  • ほとんどの施設は予約時に申込金などの事前決済はは発生しない
  • キャンセル料は3日前あたりから発生するケースが大半を占めている
  • 一部の施設において少々過剰とも受け取れるキャンセル規定が設定されている

本来キャンセル規定は、施設に対して実損相当額を支払うという考え方が軸にあると思います。

予約時に申込金を支払わなくてよいことはユーザーにとって手軽に予約できるメリットがあり、大半は3日前くらいまでのキャンセルであればキャンセル料が発生しないと考えると、通常の旅行代理店を介した予約と比較してもユーザーメリットが大きいように感じます。
いっぽうで、ユーザーにとって厳しい規定を採用している施設も一部存在します。
今後、航空券のように、早割や事前決済を優遇したパッケージを浸透させることで、双方にとってバランスの取れたキャンセル規定が運用されることが好ましいのではと考えます。

 

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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