有料で混雑を回避するサービスについて
調査
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テーマパークや人気店につきものの行列。行列に並んでいる最中に、「お金を払ってでも、行列の先頭に行きたい」と思ったことのある方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
行列に関する有料サービスといえば、以前は飛行機のマイレージランクによる優先搭乗程度の、ごく限られた業種やサービスに対してのみ提供されてました。しかし、昨今は「優先的に案内される」という付加価値を購入できるサービスが増えています。
ここ数年、世界情勢を反映してさまざまなものの価格が高騰しています。そのため、値上げに対して敏感になっている消費者がほとんどです。そんな中でも、「並ぶ時間を短縮できる」という明確な付加価値に対して費用を払う人が少なくないことに、私たちは注目しました。
目次
どんなサービスに対して提供されているのか
優先的に案内される有料サービスとして著名なものは、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、テーマパークで提供されているものがあります。
さらに調べていくと、花火会場の有料席、ラーメン店の優先チケット、スキー場の優先ゴンドラ乗車チケットなど、さまざまな行列ができるシーンに対して有料の優先チケットが発売されていることが分かりました。
それでは、有料で優先的に案内されるサービスをテーマパークを中心に具体的に見てみましょう。
東京ディズニーリゾート
出典:https://www.tokyodisneyresort.jp/
- サービス名:ディズニー・プレミアアクセス
- 通常料金:大人:7,900円 〜9,400円、中人:6,600円〜 7,800円、小人:4,700円〜 5,600円
- プレミアム料金:1人当たり2,000円/回
- 概要:時間指定で予約できる有料のサービス
東京ディズニーランドでは「美女と野獣“魔法のものがたり”」、東京ディズニーシーでは「ソアリン:ファンタスティック・フライト」で利用できる
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
出典:https://www.usj.co.jp/web/ja/jp
- サービス名:ユニバーサル・エクスプレス・パス
- 通常料金:大人:8,900円、子ども: 5,700円、シニア:8,100円
- プレミアム料金:①短縮アトラクションの数により料金が異なる②15.800円〜③10.800円〜④6.800円〜
- 概要:人気アトラクションの待ち時間を短縮できる
サンリオピューロランド
- サービス名:PUROPASS
- 通常料金:大人:4,300円、子ども:3,200円
- プレミアム料金:大人・小人共通 :1,500円、大人・小人共通: 2,000円、大人・小人共通: 1席 500円~
- 概要:一般の方よりも先に館内へ入場できる、アトラクションへ優先的に案内される(アトラクション、シアターにより料金が異なる)
富士急ハイランド
- サービス名:絶叫優先券
- 通常料金:大人:6000~6800円 、中高生:5500~6300円 、小学生:4400~5000円 、幼児・シニア:2100~2400円
- プレミアム料金:1アトラクションにつき1,500円
- 概要:富士急ハイランドの人気アトラクションをほぼ待ち時間なしで楽しめる
鈴鹿サーキット
出典:https://www.suzukacircuit.jp/
- サービス名:ファストライド
- 通常料金:大人:4,800円、小学生:3,400円、未就学児:2,200円
- プレミアム料金:1,000円
- 概要:予約時間まで列に並ばなくてよい
どのテーマパークも、通常の利用料金にプラスして優先券を購入することで、乗りたいアトラクション単位で優先的に案内を受けることができるサービスとなっています。
安比高原スキー場
出典:https://www.appi.co.jp/ski/
- サービス名:安比ゴンドラ優先乗車券
- 通常料金:大人:5,600円、中・高生3,500円、小学生:3,100円
- プレミアム料金:1日券:7,600円(大人・シニア・小中高共通)
- 概要:150名限定で安比ゴンドラに優先乗車可能なリフト券
番外編
ドトールコーヒー船橋駅南口店
- サービス名:なし
- 通常料金:飲み物代
- プレミアム料金:15分単位で1人100円~250円
- 概要:通常料金に加え、15分単位で1人100円〜250円を上乗せすることで座席を予約できる(インターネット経由)
東急大井町線
出典:https://q-seat.tokyu.co.jp/tq/top/
- サービス名:大井町線有料座席指定サービス Qシート
- 通常料金:乗車券
- プレミアム料金:一律400円
- 概要:平日の夜に大井町駅を発車する一部の急行長津田行き3号車で利用できる座席指定サービス
コーヒーショップや電車などでは、単なる休憩や移動以外に「ゆっくりしたい」というニーズが生まれることがあります。通常料金に加えて料金を支払うことで、そのニーズに応えるサービスです。
まとめ
あらゆるサービスはその時間内にサービスを提供できるキャパシティに限りがあります。そのため、そのため、ダイナミックプライシングのような原理が働くことは自然なことなのかもしれません。
この仕組みは、企業側にとっては顧客単価が上がるだけでなく、顧客が平準化することによりサービスの質を保つことにもつながるというメリットがあります。
今回紹介したサービスは、名称や細部の条件は異なりますが、どのサービスも混雑を回避し、指定の時間にサービスを受けることを確約するチケットを有料販売しているといえます。行列を回避する仕組みとして、今回取り上げた業種以外でも応用できるのではないでしょうか。