宿泊予約時に事前決済する理由・しない理由~キャンセル規定・キャンセル料の探求~
考察

みなさん、こんにちは。
前回のキャンセル料の支払い実態調査にもとづいたクロス集計の結果から、事前決済している人はキャンセル規定通りにキャンセル料を支払い、事前決済をしていない人は規定通り支払っていない傾向があることがわかりました。
予約ルート別に見ると、宿泊予約サイト、または旅行代理店での予約では6割以上の方が事前決済をしています。一方で、ホテルや旅館などの宿泊施設で直接予約している方の約7割が事前決済していないことが調査からわかっています(グラフ1)。
前回の記事はこちら

グラフ1
集計結果の詳細は(こちら)
私自身、ホテルや旅館などの宿泊施設を予約する際は主に宿泊予約サイトを利用しており、事前決済専用プランでない限りは一切事前決済をしないので、この結果には少し驚きました。
その驚きを予約ラボに伝えたところ、調査回答者のみなさんに、追加で「事前決済をした理由/しない理由」についてお答えいただく流れとなりました。今回はその調査結果をもとに、事前決済について考察していきたいと思います。
事前決済する理由/しない理由
事前決済する/しない理由について、想定される項目を選択肢にし、複数回答形式で調査した結果は以下の通りとなりました。

グラフ2

グラフ3
個人的には大変納得できる回答結果になりました。
私個人が事前決済をしない理由は、予定が変わるかもしれないことや、いつも現地決済にしているため特に必要を感じないからです。事前決済することでなんらかの特典があれば、予定変更の可能性が低いと判断した場合のみ事前決済を選びます。
事前決済をされている方の4割が「いつも予約時に決済しているから」と回答していますが(グラフ2)、事前決済しているとキャンセル料を支払い、していないとキャンセル料を支払わないという傾向があると知っても事前決済を選ぶのか危惧してしまいます。
事業者側の視点で考えると、事前決済ありのほうが、万が一キャンセルされた場合もキャンセル料を請求しやすくなり、当日の受付業務も効率化できるというメリットがあります。その視点から今回の調査結果を実務に活かすならば、事前決済による何らかの特典をつけるというプランも検討の余地があるかと思います。しかし、実際には「じゃらん」などの宿泊予約サイトで「事前決済による特典付きプラン」というのは多くありません。
なにか採用しづらい理由があるのかもしれませんので、今後予定している事業者へのインタビューの際に質問してみたいと思います。
キャッシュレス化が進む中で、1割程度は「いまだクレジットカードを持っていない」、「インターネット決済で情報入力が心配」(グラフ3)という方も存在しますので、現地決済を残す意味はあります。そのうえで事前決済に特典をつけ、現地決済と明確に区別をしたプランを提供することは不自然なことではないように思います。
男女別/年代別事前決済状況
男女別、年代別で事前決済状況を確認してみました。

グラフ4

グラフ5
今回の調査はインターネット調査であり、実際よりも事前決済率は高めに出ていることが想定されますが、若い世代ほど事前決済を利用し、年代が上がるにつれ事前決済率が下がる傾向(グラフ5)となっていることがわかります(20代が30代より事前決済率が低くなるのは、カード保有率や給与水準などの要因が予想されますが、本調査では原因は特定できません)。
ということで、今回は、追加調査していただいた「事前決済をする理由・しない理由」の結果についてでした。