キャンセル料を払う人・払わない人 ~キャンセル規定・キャンセル料の探求~
考察
みなさん、こんにちは。
予約ラボで実施したキャンセル料支払い実態調査結果をもとにした、キャンセル規定とキャンセル料に関する考察の2回目です。
前回の記事はこちら
今回は、半数がキャンセル料を支払っていない実態について、もう少し詳しく分析考察してみたいと思います。
今回の結果を受け、まず考えたのは「予約ルート」です。宿泊予約サイトから予約をした人と、ホテルや旅館などの宿泊施設へ直接予約をした人、または旅行代理店経由で予約をした人とでは、キャンセル料の支払いにそれぞれ違いが生じているのではないか、という視点です。
調査結果を「キャンセル料支払い」と「予約ルート」でクロス集計した結果は以下の通りです。
予約ルート別キャンセル料支払い実態
「『宿泊予約サイト』で予約をした人は、その他の方法で予約をした人よりもキャンセル料を支払っていない人が多いのではないか?」という仮説がありましたが、クロス集計してみると「ホテルや旅館に直接予約をした人」の方が規定通りにキャンセル料を支払っていない傾向にある(グラフ1)ことがわかります。
私の大学での教え子が、群馬県内の高級温泉旅館で仕事をしているのですが、今回の調査結果に対して「当旅館でも基本的には請求していない」というコメントをくれました。
このあたりの実態について事業者側へインタビュー等を通じて実態調査をしていきたいところです。が、ホテルや旅館などの宿泊施設側としては、やむを得ない事情のキャンセルに対してはキャンセル料を支払ってもらうよりも、顧客側へ配慮する傾向があります。キャンセル料を規定通り徴収するより「良心的な対応で好印象を持ってもらうことで次の機会につなげる」方が、施設にとっての価値が大きいのかもしれませんね。
事前決済有無別キャンセル料支払い実態
続いて「事前決済の有無」とキャンセル料の支払いについて考えてみましょう。
事前決済をしている場合は正規のキャンセル料を支払っていて、事前決済をしていない場合は支払っていないのではないか、という視点です。
「キャンセル料の支払い」と「事前決済有無」のクロス集計結果は以下の通りです。
こちらは明らかな傾向が出ました。事前決済をしている人はキャンセル料を規定通り支払っている人が約7割、対して事前決済をしていない人の約7割は支払っていないことが明らかになっています(グラフ2)。
事前決済をしている場合は返金処理でキャンセル料を精算できますが、事前決済をしていない場合は別途請求する必要があり、請求する過程が負担となることから考えても、やむを得ないキャンセルであれば、あえて請求していないということかもしれません。
予約ルートおよび事前決済有無別キャンセル料支払い実態
最後に、「予約ルート」および「事前決済の有無」と「キャンセル料の支払い実態」をクロス集計してみました。結果は以下の通りです。
集計結果の詳細は(こちら)
この集計からは、宿泊予約サイトおよび、旅行代理店(電話・来店等)においては、事前決済の比率とキャンセル料の支払い実態に大きな違いは見られませんが、ホテルや旅館などの宿泊施設に直接予約した場合、事前決済をしていない人の比率が71%(グラフ3)と高くなっています。さらに事前決済をしていても、約半数はキャンセル料を支払っていないところ(グラフ4)が他の予約ルートと比べ特筆すべき点のようです。
宿泊予約サイトでは事前決済の有無が選択できる事が多いようですが、ホテルや旅館などの宿泊施設の場合、銀行振込のみでカード決済機能がついていないなど、事前決済の手段が限られるケースが多いことも要因かもしれません。
まとめ
今回はキャンセル料の支払いについて「予約ルート」と「事前決済の有無」を絡めて分析してみましたが、いずれもキャンセル料の支払いに影響するという結果になりました。
キャンセル料の支払い有無はさておき、今回の集計から、意外に多くの人が事前決済をしていることに個人的に驚きを覚えました。私個人は、国内における宿泊予約で事前決済することが、ほとんど無いからです(一部「事前決済前提のプラン」などの場合を除く)。
皆さんは、事前決済をされますか?
事前決済する必然性がないのに、決済をするのはなぜなのでしょうか。
その疑問を予約ラボに投げかけてみたところ、今回の調査に協力いただいた回答者の皆さんに対し、事前決済をした理由について追加調査をお願いできることになりました。
その結果については、次回紹介させていただきたいと思います。
ということで、今回はこれくらいで。最後までお読みいただきありがとうございます。引き続き、本コラムをよろしくお願いいたします。