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キャンセル料支払い実態~キャンセル料・キャンセル規定の探求~

考察

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2020.11.10 2021.11.17
中谷 淳一

関東学園大学経済学部 准教授
2001年筑波大学卒。株式会社ベンチャー・リンク、株式会社購買戦略研究所を経て起業独立。2011年3月、早稲田大学ビジネススクール修了(経営管理修士・MBA)。早稲田大学大学院博士後期課程を経て、2015年4月より現職。専攻はマーケティング戦略、ブランド戦略。大学教員の立場から企業や自治体の支援を行い、経営理論の実践に積極的に取り組む。

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皆さん、こんにちは。

GoToキャンペーンに東京発着の旅行も追加され、観光業界が一気に息を吹き返している様子ですね(恩恵を受けきれていないホテル・旅館もあるようですが)。

私も先日利用しましたが、1泊2食にゴルフ1ラウンドがついて1人15,000円という破格なお値段で楽しい週末を過ごすことができました。

さて、前回のコラムで「キャンセル料」について問題提起をしたところ、予約ラボにてキャンセル料支払いに関するインターネット調査を実施してくれました。

約半数がキャンセル料を支払っている!宿泊キャンセルに関する調査レポート

上記は、調査結果概要までなので、本コラムにて調査結果詳細を紹介しながら、キャンセル料について考えていきたいと思います。

キャンセル料を払った人は48.8%
約半数はキャンセル料を支払っていないという事実

今回の調査は、「3年以内に宿泊予約をして、キャンセル料が発生する期間にキャンセルをした経験がある全国の20代~60代の男女」としています。

つまり、キャンセル規定通りならば「キャンセル料を支払う必要のあった人」のみへの調査です。その結果、支払った人が48.8%、なんらかの理由で支払わなかった人が45.2%ということです。

前回のコラムで、予約ラボ会員のみなさんに「キャンセル料」支払い経験をヒアリングしたところ、誰も支払った経験がありませんでした。

「多くの人が同じように支払っていないのではないか?」という仮説はありましたが、実際に、約半数の人がキャンセル規定に記載のあるキャンセル料は支払っていないという調査結果には驚きを覚えました。

そして、この結果をどういうメッセージにして公表するか予約ラボ会員のみなさんと議論になりました。キャンセル料を規定通りに支払った人が、実際に支払っていない人が多数いることを知ったらどう思うでしょうか。

予約ラボは国内唯一の予約研究機関として「予約を科学し、予約ビジネスをより良いものにしていく」という方針で運営しています。ゆえに、調査結果が、キャンセル料を払わないようにする抜け道を示唆するようなものにはすべきでないと考え、紆余曲折あり、調査報告コンテンツのタイトルを「約半数がキャンセル料を支払っている!宿泊キャンセルに関する調査レポート」としました。

PVを稼ぐためにキャッチーなタイトルにするならば、「約半数がキャンセル料を規定通りには払っていない」なのですが、前述の理由から「キャンセル料を払っている」ことを全面に出すことにしました。(結果、わかりにくくなったことは承知しています)

何故、キャンセル料を払っていないのか?
(支払わなかった理由)

では、何故、キャンセル料を支払っていない人が多いのでしょうか?

そもそも請求がなかったのでしょうか?請求があっても無視しているのでしょうか?それとも、個別交渉してキャンセル料を免除してもらっているのでしょうか?

今回の調査では、キャンセル料を支払わなかった理由を調査しました。

結果は以下の通りです。

<キャンセル料を支払わなかった理由>

請求を無視して支払っていない人は約13%にとどまり「請求がなかった(連絡が一切なかった/キャンセル処理で何事も起きなかった)」と回答した人が、キャンセル料を支払わなかった人の約47%という結果に。

キャンセル料を支払わなかった人のうち半数近くが、

「請求がなかった」

故に、「キャンセル料を支払わなかった」という驚愕の結果になっています。

また「キャンセル時に支払いを申し出たが、不要とされた」人が20%、「請求があったが事情を話し支払わずに済んだ」人が12%という結果でした。

この結果を、これまで正規の規定に則りキャンセル料を支払ってきた人が見たら、どう思うでしょうか。

旅館やホテルなどの宿泊施設ごとに事情が異なり、それぞれの方針でキャンセル規定が運用されているのでしょうが、私がもしキャンセル規定通りにキャンセル料を支払ってきていたならば、

「キャンセル規定、ちゃんと運用しろよ!」
「そもそも請求しないなら、キャンセル規定改めろよ!」

と思うはずです。

ルールが明示されていながら、そのルールが運用されず「キャンセル料を支払う人」と「支払わない人」、「そもそも請求されない人」がいるとなれば、何か支払っている人が馬鹿を見るような状態に感じられないでしょうか。

ホテルや旅館などの宿泊施設側に対し、キャンセル料の請求に関する実態調査を実施していく必要があるかもしれませんね(調査予定です)。

今回は以上です。次回は、キャンセル料を支払っている人、支払っていない人の詳細を見ていきたいと思います。

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中谷淳一

関東学園大学経済学部 准教授
2001年筑波大学卒。株式会社ベンチャー・リンク、株式会社購買戦略研究所を経て起業独立。2011年3月、早稲田大学ビジネススクール修了(経営管理修士・MBA)。早稲田大学大学院博士後期課程を経て、2015年4月より現職。専攻はマーケティング戦略、ブランド戦略。大学教員の立場から企業や自治体の支援を行い、経営理論の実践に積極的に取り組む。

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