省人化とは? 言葉の意味やメリット、ビジネスでの実現方法を事例を交えて詳しく解説
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人材不足が懸念される現代社会において、省人化は有益な取り組みといえます。省人化が成功すれば、業務の改善や効率化が実現し、企業の収益向上にも貢献することになるでしょう。
この記事では、省人化という言葉の意味から導入メリット、実現方法まで詳しく解説します。省人化に取り組む際の具体的なプロセスや、各業界における事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事は、「予約の知見」と「サービスの現場」を共創し、そこに眠る価値を発見・創造していく、日本で唯一の予約研究機関【予約ラボ】が監修を行っています
目次
省人化とはどういう意味?
省人化(しょうじんか)とは、業務上の無駄な工程をなくし、人員を減らす取り組みのことです。人手に頼る必要のない作業を機械化、システム化することで、業務に携わる人員の削減を図ります。
具体的な例としては、「工場に産業用ロボットを導入してラインを無人化する」「ITツールを導入して業務量を減らし、人員配置を最適化する」などが挙げられます。
省人化は人員の削減を目的とする取り組みですが、最終的な目標は、業務効率化や生産性向上、企業の収益向上となります。
省力化との違いは?
「省人化」とよく似た言葉に「省力化(しょうりょくか)」があります。省力化とは、業務を見直して無駄を省き、作業量や作業負担を減らす取り組みのことです。例えば、必要性の低い作業を無くしたり、煩雑な作業にツールやシステムを導入したりして、業務効率化を図ります。
省人化と省力化のどちらも、業務効率化や生産性向上につながる取り組みですが、省人化の目的が人員削減であるのに対し、省力化は、業務の手間や労力の削減を目的とします。
<省人化と省力化の違い>
省人化:人員を削減する取り組み
(例:機械の導入によって、10人で行っていた作業が8人で可能になる)
省力化:作業量や作業負担を減らす取り組み
(例:ITツールの導入によって、1人あたりの作業負担が減る)
省人化によるメリット
省人化に取り組むことで得られるメリットを紹介します。主なメリットは以下の3つです。
- 生産性の向上
- 人手不足の解消
- サービス品質の向上と安定化
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
生産性の向上
これまで人の手で行ってきた業務を機械やシステムに委ねることによって、生産性が向上します。機械やシステムなら、手間のかかる作業や正確性が求められる作業も、一定のスピードでミスなく効率的に進められます。作業の高速化や生産量の増大が期待できます。
人手不足の解消
省人化は、人材や人手不足の問題を解消します。人が行う作業を機械やシステムで代替できれば、新たに人材を採用する必要がなくなります。人手不足に悩む業界や企業にとって、省人化は有益な策となるでしょう。
また、作業の機械化、システム化によって、より少ない人員で業務を回せるようになれば、人件費の削減にもつながります。
サービス品質の向上と安定化
品質の向上と安定化も、省人化による大きなメリットです。機械やシステムを導入すれば、うっかりミスや勘違いといった人為的なミスを防止できます。人によるチェック判定のバラつきや、問題の見逃しなども発生しにくくなるため、作業の標準化と品質安定化につながります。
また、機械やシステムを利用することで属人化を防げるため、担当者不在時に業務が進まなくなるといった問題も解決することができます。
省人化を進める際の注意点
省人化に取り組む際の注意点を解説します。
導入コストがかかる
省人化を実現するためには、機械やシステムの導入が不可欠です。機械やシステムを業務に取り入れるとなると、初期費用や維持コストがかかります。例えば、最新のAI技術を実装した機器や高性能なシステムを導入する場合では、ある程度の資金力が求められるでしょう。
機械やシステムに多大なコストをかけたにもかかわらず、十分な成果が得られなければ、省人化を行う意味がなかったということになります。導入の際は、予算や費用対効果を考慮した上で慎重に検討するようにしましょう。
専門人材の獲得や育成が必要
ツールやシステム、機械などを導入する場合、それらを適切に管理できる人材が必要になります。日常的な管理だけでなく、不具合が発生した際の対応についても考えておかなければなりません。
社内に適切な人材がいない場合は、新たな人材の獲得や育成が必要です。具体的な手段としては、「専門的なスキルを持つ人材を採用する」「社内人材の育成を図る」「外部に業務を委託する」などが挙げられます。
省人化の実現方法
省人化に取り組む際のプロセスを紹介します。必要な作業は以下の通りです。
- 業務フローの可視化
- 業務の分類と課題の洗い出し
- 業務の標準化
- ツールやシステム、機械の導入
各工程を詳しく見ていきましょう。
1. 業務フローを可視化する
初めにやるべきことは、業務フローの可視化です。現状の業務フローを可視化することで、無駄な工程や改善すべき作業を見つけやすくなります。
まずは、今現在どのような流れで業務を行っているかを明確にします。業務を行う上で、どのような工程や作業があるのか、すべての作業を洗い出し、フローチャートを作成しましょう。
各工程に要する時間や、配置されている人員の数なども書き留めておくと、後で役に立ちます。
2. 業務の分類と課題の洗い出し
可視化した業務フローをもとに、効率化できそうな作業を選定していきます。
各作業を以下の3つに分類してみましょう。
- 必要であり、実施に問題のない作業
- 必要であるが、負荷が大きく改善が必要な作業
- 必要のない作業
「1」に当てはまる作業は改善する必要がないため、現状のままとします。
「2」については、何らかの改善策を講じる必要があります。人でなくては行えない作業であれば、負荷を軽減できる点がないか業務の見直しを行います。人でなくても可能な作業であれば、機械化やシステム化を検討します。
「3」は無駄な作業と判断し、その作業自体を工程から省きます。
「2」と「3」は省人化につながる重要な部分です。いかに無駄な作業を省き、煩雑な作業を自動化できるかが、省人化を成功させるカギとなります。
3. 業務の標準化
業務の標準化を図ることも、省人化を目指す上で重要です。最も効率の良い作業手順や、確実な作業方法を検討し、目次付きのマニュアルを作成しましょう。
全員がマニュアルに従い、同じ手順、同じ方法で作業を行うようになれば、作業スピードや品質が一定に保たれます。「人によって品質にバラつきがある」「特定の作業を行える人が限られている」といった問題も解決できます。
業務の標準化を行い、効率的に作業が進むようになると、リソースに余裕が生まれます。より少ない人員で業務を遂行できることが分かれば、人員削減や人員整理に踏み切ることができるでしょう。
4. ツールやシステム、機械の導入
人手に頼る必要のない作業を対象に、ツールやシステム、機械などを導入します。人の手で行うと多大な時間や労力がかかる作業も、安定したスピードで正確に行えるようになります。
ツールやシステム、機械などを導入する際は、費用対効果を十分に検証する必要があります。判断が難しい場合は、その分野に精通した専門家にアドバイスを求めるのも一つの手です。
省人化ソリューションの種類と活用事例
現在、様々な業界で省人化の取り組みが進められています。省人化を実現するために、どのような手法が用いられているのか、代表的なソリューションを紹介します。
予約管理システム
予約管理システムは、予約の受付や顧客管理を自動化できるシステムです。宿泊施設や飲食店、美容室、クリニック、金融機関の相談窓口など、幅広いビジネスシーンで活用されています。
予約管理システムを導入すれば、オンラインで24時間365日予約受付が可能になります。予約の変更やキャンセル、予約情報の確認などもユーザー自身で行えるため、予約対応にかかる手間と時間を大幅に削減できます。
予約に関連する一連の業務をシステムで自動化することによって、業務効率化と人員削減が実現します。
チャットボット
チャットボットを導入すれば、問い合わせ対応を自動化できます。チャットボットとは、AIを活用した自然会話プログラムのことです。ユーザーが投げかけた質問に対し、AIが自動的にテキストや音声で回答します。
例えば、Webサイト上にチャットボットを導入すると、テキストでの回答に加え、問題解決に役立つサイトを提示したり、資料のダウンロードページにユーザーを誘導したりすることも可能です。
チャットボットの主な活用シーンとしては、カスタマーセンターやECサイト、社内ヘルプデスクなどが挙げられ、近年では、自治体の問い合わせ対応などにも用いられています。活用の仕方によっては、大幅な人員削減も可能です。
セルフオーダーシステム
セルフオーダーシステムとは、飲食店などでお客様がタブレット端末から注文できるシステムのことです。お客様の席に行って注文を取る作業が不要になるため、より少ない人数で店舗運営ができるようになります。
また、セルフオーダーシステムを導入することで、注文のミスやトラブルを減らせます。お客様自身でタブレットから注文を行うため、「頼んだものと違うものが出てきた」というような、飲食店で起こりがちなトラブルも防止できます。
スマートロック
スマートロックとは、物理的な鍵を使わずにドアの解錠や施錠ができるシステムのことです。スマートフォンのアプリやICカード、指紋認証、顔認証などを用いて、鍵の開け閉めを行います。主に、貸し会議室やレンタルスペース、24時間営業のジムなどで利用されています。
スマートロックを導入すれば、現地での鍵の受け渡しや施錠確認が不要になります。受付スタッフを常駐させる必要がなくなるため、人員や人件費の削減につながります。
産業用ロボット
産業用ロボットとは、主に製造現場での作業の自動化や効率化に用いられるロボットを指します。高度な制御や複雑な動きが可能で、人でなければできなかった作業も行うことができます。
これまで人が行っていた作業を産業用ロボットに置き換えれば、より正確かつ効率的に作業を進められます。手順通りに一定のスピードで作業を行うため、生産性の向上や品質の安定化にも貢献します。
また、産業用ロボットの導入は、人材や人手不足の問題を解決に導きます。
予約管理システムを活用した省人化の成功事例を紹介
省人化の一例として、株式会社リザーブリンクが提供する予約管理システム「ChoiceRESERVE」を利用した成功事例を紹介します。システムの導入で、人的リソースに頼り過ぎない運営が可能となり、省人化に成功した事例です。
スポーツクラブやフィットネスクラブを全国展開するある企業では、予約管理業務に多くの人手や時間を取られていることを課題としていました。業務効率化のためにはシステムの導入が不可欠であり、そこで選択したのがChoiceRESERVEでした。
予約管理システムを導入後、オンラインで24時間365日の予約受付が可能となり、全体の約80%のお客様がネット予約を利用するようになりました。その結果、予約対応にかかる手間が大幅に削減され、受付スタッフの数を半分に減らすなど、人件費のコストカットに成功しました。
なお、ChoiceRESERVEには顧客管理機能もあり、お客様の情報をデータベース化することが可能です。会員制度の運用やメールマガジンの一斉配信などが行えるため、マーケティング活動の効率化も叶います。
▼予約管理システム「ChoiceRESERVE」
公式サイト:https://yoyaku-package.com/
省人化の意味やメリットを理解した上でビジネスへの活用を
この記事では、省人化の意味や目的、導入するメリット、実現方法などを事例を交えて紹介しました。省人化を実現するためには、現状の課題や改善点を明確にする必要があります。まずは作業フローの洗い出しや業務の標準化を行うなど、一つひとつ手順を踏んで進めていくことが重要です。自社に最適なツールやシステムを利用して、省人化を成功させましょう。