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顧客データを集約・管理することの重要性|予約管理システムの顧客データ連携方法も解説

知る・学ぶ

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2023.09.12
データのファイル保管
こしけん

2013年にフリーランスとしてライター活動を開始。2016年からは、多数のライターをサポートする制作ディレクターとしても活動中。会社勤めからフリーランスのライターへ転身したのは、もともと文章で何かをかみくだいて伝えることが好きだったから。読者が何を知りたいのか? どのように知りたいのか? を第一に考えるよう意識しています。

INDEX

業務の大部分がデジタル化されている現代のビジネスにおいて、顧客データを一元管理し、マーケティングなどに活用することは企業の成長にとって重要なファクターです。

本記事では、顧客データの重要性やCRM・SFA・MAといった集約管理に用いられるツールの概要、そして予約管理システムの顧客データを連携する方法などを解説しています。

※この記事は、「予約の知見」と「サービスの現場」を共創し、そこに眠る価値を発見・創造していく、日本で唯一の予約研究機関【予約ラボ】が監修を行っています。

目次

顧客データを管理することの重要性

注意をうながすビジネスマン

予約管理システムによる予約受付を始め、企業のサービス提供や商品販売においては膨大な量の顧客データが蓄積されます。

それらのデータを、直接関係する業務上だけで使用しているのでは、せっかく蓄積されている情報資産を有効活用できているとはいえないでしょう。

これらの直接的に顧客へ紐づくデータは、企業の成長に役立てていくことが大切です。

例えば蓄積した顧客データから、顧客個々にフォーカスをあててニーズを分析し営業活動に反映する、ライフタイムバリュー(自社との取引によって顧客が得られる価値・利益)を最大化し、顧客の定着化を目指すといった方法があります。

こういったデータ活用(データドリブン)においては、例えば管理方法がずさんで顧客データがさまざまなシステム上に散在していたり、管理方法がバラバラで属人化していたりという状況では効果を発揮することができません。

自社が保有している顧客データを、集約して一元管理することが重要です。

尚、「データドリブン(Data Driven)」とは、単なるデータ活用ではなく、売上データやマーケティングデータ、問い合わせ履歴やWEB解析データなど、あらゆる方面のデータにもとづきながら企業にとって最適な判断・アクションをしていくことを指します。

「データドリブン経営」「データドリブンマーケティング」など、近年では多くのメディアでも取り上げられることが多いワードであり、企業力強化のためのひとつの課題として注目されています。

顧客データの管理で陥りやすい課題「データのサイロ化」とは

山積みとなった課題のイメージ

自社で顧客データの管理をおこなっていく際に、しばしば直面することになる課題のひとつに、「データのサイロ化」があります。詳しく見ていきましょう。

データのサイロ化とは、データが分断されてしまっている状態

自社が提供している商品やサービスの取引を経て顧客から収集したデータが、例えば部署ごと、あるいは利用システムごとに分断されてしまい、その部署やそのシステムでしかそのデータを参照できない、といった状態のことを「データのサイロ化」といいます。

まるで工業や農業などで用いられる「サイロ槽」のように、中身ごとに別々の容器が用いられ、完全に分断された状態で、共有することなく保存されてしまっているということになります。

社内のあちこちにデータが散らばってしまっているこの状態では、いざ分析のためにデータを取り出そうとしてもそもそもどこに何があるかが即時には分からず、またAの容器に入っている内容とBの容器に入っている内容が一部重複している、Bの容器とCの容器では同じ内容であるはずのことが別の書かれ方で記されている、というような問題が起こり得ます。

正確なデータ分析をおこないたくとも、そもそものとっかかりから非常に時間を要し、ビジネスチャンスの損失にもつながってしまうでしょう。

データのサイロ化を解消する方法

実際に社内のデータがサイロ化している状況があった場合には、その状況を改善することが何よりの優先ポイントとなります。

データのサイロ化を解消するためには、「データを一元管理するための環境整備」と「データの管理・運用方法を策定する部署の決定」から始めます。

まずは現状を解決するために、各部署に散在しているデータを突き合わせしつつ、重複や表現の揺れなども確認しながら、ひとつの保管場所(データベース)へ集め直します。

ひとつの場所に集約する際には、どういったデータをどういったフォーマットでまとめるのかという点も調整しておくことが大切です。

あわせて、今後のデータの管理・運用を主導するための担当部署、および管理責任者を決定します。

せっかく集め直しの作業で一元化された顧客データが、日を追うごとに再びばらけていったり、更新状況が各所でまちまちになり実効性のないデータとなってしまったのでは意味がありません。

今後のデータ運用について、責任をもって管理を行う部署を明確化しておき、社内のデータドリブンを確立します。

この際には、データ運用の責任者が各部署での実際のデータの取り扱われ方、業務都合などをしっかりと把握し、各業務に支障のないかたちで運用方法を策定していくことが大切となります。

顧客データを集約し一元管理することのメリット

笑顔のビジネスパーソン

ここまでご紹介したような考え方・方法で現状を解決し、顧客データの管理を一元化するとどのようなメリットが得られるかをみてみましょう。

事実データに基づいた正しい分析と戦略の立案ができる

一元管理され、正確性が高くリアルタイム性をもつ顧客データであれば、正しい分析や戦略立案をおこなうための材料となります。

顧客データに対して適切な分析をおこなえば、顧客の趣向や関心カテゴリ、行動傾向などを正しく把握することができ、顧客のニーズや現在のゴール、成功・失敗パターンの洗い出しに活用できます。

バラバラで不正確なデータをもととした推測ではなく、しっかりとした事実に基づいた判断と意思決定をおこなえるようになります。ターゲット層を決める際に古いデータや誤ったデータに基づいた検討をおこなってしまい、不要な層にプッシュしてしまう、本来アクションすべきではない層へアクションしてしまい不評やブランド低下を招く、といった事態も避けられるでしょう。

顧客ごとに適したコミュニケーションを行えるようになり、顧客満足度の向上が期待できる

散在していた顧客データを一度統合できれば、セグメント作成も正しくおこなえます。セグメントによって分けられた各層ごとに、状況やフェーズにあったコミュニケーションをとれるようになるでしょう。

また、一元管理された顧客データであれば、リアルタイムな集計や分析も容易です。一人ひとりの顧客に対して、常に最新の状況を知り、こちらからも最新の情報を提供できるようになるため、顧客満足度の向上が期待でき、ひいては商談化・成約の可能性も高まるでしょう。

効率的なマーケティングを行える

ここまでご紹介した内容も含めて、一元管理された顧客データを活用すれば最大限効率的なマーケティングが可能となります。

顧客データの分析にあたっては、氏名や住所といった基本属性のみならず、Web上での行動履歴や自社への問い合わせ履歴、過去の購入履歴から近々の購入状況まで、多様な観点でのアプローチをリアルタイムにおこなっていくことが必要となります。
社内各所に紙やExcelといったさまざまな媒体でデータが散在していたのでは、上記のような分析も困難となってしまいます。

新たなサービスやビジネスの検討材料にできる

社内のデータドリブンを確立していくなかで、新たなビジネスチャンスが見つかることもあります。

社内の各所に散在していて、単体では大きな意味をなさなかったような顧客データも、さまざまな関連データと組み合わせて一元的に確認することによって、従来は考えられなかったような視点での課題や、顧客のニーズ・ウォンツが見えてくることもあるでしょう。

世界でも国内でも、データドリブンの確立が発端となって新たに生まれた商品・サービスといった事例は数多く存在しています。
自社の業績拡大のためにも、顧客データの一元管理を達成し、あらゆる可能性を探っておきましょう。

顧客データ管理に活用される「CRM」「SFA」「MA」とは?

CRMのイメージ

一元的な顧客データ管理を実現するにあたって、よく活用されるツールに「CRM」「SFA」「MA」といった種類のものがあります。

これらは、個々に単体で活用されるだけではなく、それぞれを連携させて一元的なデータ運用を実現しながら、それぞれの機能の強みを活かしていくという方法でも使われます。

それぞれの概要や特徴をご紹介します。

CRM(Customer Relationship Management / 顧客管理システム)

著名なものとして例に挙げると、「Salesforce」「kintone」「HubSpot」といったツールが、CRM(顧客管理システム)という種類にあたります。

CRMでは、顧客データを単なる属性データとして管理するのではなく、「企業と顧客との関係性を管理してく」ことを目的に多角的に活用していきます。
CRMがもつ機能としては、顧客の氏名や住所、勤務先、役職といった属性の管理ほか、人脈管理、商品情報管理、リードナーチャリングといったものがあります。

SFA(Sales Force Automation / 営業支援システム)

SFA(営業支援システム)は、顧客ごとの取引履歴、メール履歴、プロジェクトの進捗といった案件単位での情報管理に特化したシステムです。
商談やプロジェクトを無駄なく円滑に進行していくにあたって、必要となる目安期間の算出や対応履歴の一元的な確認などをひとつのシステム上でおこなえます。

近年では、前述の「CRM」でもSFA的な機能が網羅されており、またSFAにおいてもCRM機能を有するものが増えているため、両者の垣根はなくなっているというのが現状です。
そのため、前述の「Salesforce」「kintone」「HubSpot」といったツールはCRMとしてでなくSFAとして活用されたり、また各製品紹介サイト内でも「CRM / SFAツール」として紹介されていたりといったことも一般的です。

MA(Marketing Automation / マーケティングオートメーション)

著名なMAツールとしては、「Adobe Marketo Engage」「Marketing Cloud Account Engagement」「SHANON MARKETING PLATFORM」などが挙げられます。

MA(マーケティングオートメーション)は、おもにリードナーチャリングを支援する機能をもつツールの総称で、例えば顧客側の最新のアクションから購入意欲の度合いや商談化の精度などを分析したうえでレポート出力をおこない、営業部門の活動を支援します。

一元管理した顧客データを分析するためのツール

上記のような各種ツールで一元管理した顧客データを、自社のマーケティング立案や新商品発案などのために分析していく段階では、「BIツール(Business Intelligence ツール)が活用されます。

BIツールとは、膨大なデータから状況ごとに必要な情報を自動的に引き出したうえで、経営方針の決定や売り上げ拡大のための多方面分析をおこない、レポート出力してくれるツールです。

膨大なデータの分析にあたっては、以下に挙げるような、さまざまな分析方法が個別に、あるいは複合的に用いられます。

セグメンテーション分析

顧客の年齢や居住エリア、性別といった基本属性、いわゆる「定量データ」に基づいてグループ分けをおこなったうえで分析する方法です。

バスケット分析

「バスケット=買い物カゴ」の名が示すように、ECサイト上の買い物カゴの状況、過去の購入履歴や購入予定リスト(お気に入りリスト)などを分析し、「同時に購入されやすい商品の組み合わせ」などを導き出す方法です。

RFM分析

R(Recency:最終購入日)、F(Frequency:購入頻度)、M(Monetary:購入金額)の3つの指標で顧客をランク分けし、ランクごとのマーケティング施策を検討する方法です。

デシル分析

購買金額、累計金額などに基づいて顧客を10等分したうえで、各グループランクの購入比率、売上構成比などを算出し、分析する方法です。

予約管理システムで取得した顧客データを各システムへ連携する方法

データをもとにミーティングをおこなうビジネスマン

予約管理システムは、もともと自社の商品やサービスの予約受付に際して、顧客自らがデータを選択したり、希望の内容を入力したりすることによって予約受付を実現する仕組みです。

そのため、予約管理システムで蓄積している予約データや顧客情報は、マーケティングにおいても大変実効性のある、有用なデータとなり得ます。

対応している予約管理システムであれば、以下のような方法によって前項でご紹介したさまざまな業務システムとのデータ連携をおこなえます。

顧客データを予約システムからCSV出力

予約管理システム内の予約データ、顧客データを、CSV(さまざまなシステムで使用できる、汎用的な形式のリストデータ)形式で出力し、そのCSVを目的のシステム側で取り込みます。

API連携(Application Programming Interface 連携)

API連携は、システム間でのリアルタイム・シームレスなデータ連携をおこなうための仕組みです。
両者のシステムがそれぞれAPI連携に対応していれば、かんたんな設定手順のみで以降のデータ連携が完全に自動化されます。

目的のシステムに合わせた連携アプリケーションが提供されている場合もある

後述する、予約管理システム「ChoiceRESERVE 」で利用できる「ChoiceRESERVE 予約連携」のように、特定のシステムに特化した連携アプリケーションが提供されている場合もあります。

顧客データのCSV出力やAPI連携に対応している予約管理システム例

DXのイメージ

最後に、前項でご紹介した「CSV出力」や「API連携」に対応している予約管理システムをいくつかピックアップしてご紹介します。
これらの予約管理システムであれば、有用性の高い予約管理システム側の予約データや顧客データを、外部のビジネスアプリケーションへシームレスに連携して、マーケティング施策の立案や業務効率化に活用することも容易です。

ChoiceRESERVE(株式会社リザーブリンク)

「ChoiceRESERVE」では、予約受付で蓄積された予約データをCSV出力できるほか、「参照系API」として外部システムへ自動連携することも可能です。

参照系APIの利用はオプションサービスとなっています。

また、さまざまな業務系システムのうち、CRM / 統合プラットフォームとして広く使われている「Salesforce」に関しては、「ChoiceRESERVE 予約連携」という連携に特化したアプリケーションも別途提供されています。

▼「ChoiceRESERVE」API連携関連ページ
https://help.yoyaku-package.com/

▼「ChoiceRESERVE」のそのほかの機能例
予約サイトのデザイン設定 / コンテンツ編集(CMS) / 店舗情報設定 / アクセス地図登録 / / SEO対策 / 完全会員制サイト構築 / 抽選(応募)受付 / シフト管理 / 時間割アップロード / Zoom連携 / Google Meet連携 など

STORES予約(STORES株式会社)

「STORES予約」では、予約データのCSV出力のほか、「API連携」にも対応しています。
API連携機能は、「ビジネスプラン」以上のプランを契約している場合に利用可能です。

▼「STORES予約」API連携関連ページ
https://stores.jp/reserve/features/api

▼「STORES予約」のそのほかの機能例
予約カレンダーの埋め込み / 組織管理者機能 / スタッフ管理 / レビュー受付可否の設計 / 所要時間設定 / お客様向け会員アプリ / シークレットページの作成 / 分析機能 / iDoors連携 など

リザエン(株式会社 インタークエスト)

「リザエン」も、予約データのCSV出力と「API連携」に対応しています。
API連携機能は、「スタンダードプラン」以上のプランの契約が必要となっています。

▼「リザエン」API連携関連ページ
https://www.riza-en.jp/

▼「リザエン」のそのほかの機能例
インターバル機能 / 予約枠の複製 / 複数名予約 / 予約回数の上限設定 / スタッフ指名機能 / サイトのトレードマーク設定 / Webクリップアイコンの設定 / ダッシュボード管理 など

SuperSaaS(SuperSaaS B.V.)

「SuperSaaS」も、CSV出力とAPI連携の両方に対応している予約管理システムです。
Webで一般公開されているサポートサイト「開発者向けドキュメント」にて、API認証やユーザーAPI、アポイントAPIといった項目ごとの詳細を確認することができます。

▼「SuperSaaS」API連携関連ページ
https://www.supersaas.jp/info/dev/authentication

▼「SuperSaaS」のそのほかの機能例
ウェブサイトへの埋め込み / ユーザーへの管理権限付与 / 予約状況レポーティング / https(SSL / TLS)による接続の暗号化 など

まとめ見出し:

予約管理システムで取得した顧客データはAPI連携でスムーズにCRMなどへ集約!

本記事では、企業が顧客から得られた顧客データについて、顧客との関係性向上、ロイヤルカスタマーの醸成、あらたなマーケティング施策の立案やあらたな商材の発案などさまざまな面でのメリットや活用方法を解説しました。

顧客データをはじめとしたさまざまな情報資産の管理は、企業や業態の規模が大きくなればなるほど、サイロ化してしまって有用性の低い状態へと陥ってしまいがちです。

今回ご紹介した管理方法や考え方を参考に、ぜひ自社にとって有用な顧客データの一元管理を実現してください。

最後におすすめのツールとしてご紹介した予約管理システムは、予約受付業務を効率化するだけでなく、顧客データの収集という観点でも取り扱いが簡単で、なおかつ大変有用性の高いツールです。

導入を検討される際には、ぜひ各サービス事業者の公式サイトで確認・ダウンロードできる資料なども確認し、自社のニーズに合ったサービスを選定してみてください。

こしけん

2013年にフリーランスとしてライター活動を開始。2016年からは、多数のライターをサポートする制作ディレクターとしても活動中。会社勤めからフリーランスのライターへ転身したのは、もともと文章で何かをかみくだいて伝えることが好きだったから。読者が何を知りたいのか? どのように知りたいのか? を第一に考えるよう意識しています。

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