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スポーツメーカー直営店舗の来店予約調査
~試着・試乗・細かな測定・修理など対面ならではのサービスが拡大~

調査

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2024.06.28
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加藤 高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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近年、健康維持に関心を持つ人が増えています。スポーツ庁が実施した令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、20歳以上の半数以上が、健康維持のために週1日以上運動をしているとのことです。

そこで、今回は「スポーツ用品メーカー」に焦点を当て、インターネット上で調査してみました。スポーツ用品メーカーおよびアウトドア用品メーカーのうち、直営店舗を持つメーカーを任意で42企業ピックアップし、直営店舗の来店予約の有無を調べ、どのような企画で来店予約を実施しているのかなどについて検証してみたのでご紹介します(複数のメーカーを取り扱う総合スポーツショップ、スポーツ用品店は除く)。

・調査日:2024年4月8日
・調査地域:日本全国
・調査対象条件:スポーツ用品メーカー直営店、アウトドア用品メーカー直営店
・調査対象選定方法:Google検索

来店予約を実施する企業は約3割

ピックアップしたメーカー42社のうち、来店予約を実施する企業は14社となっていました。これは、スキー場イベントなど、店舗以外の外部イベントの予約なども僅かながら含まれます。

来店予約の主な内容は、試着・試乗、購入のための相談、イベントの予約、オーダーメイド商品のカスタマイズなどに分かれています。とくに、視力、骨格、足の形など、パーソナルデータを用いた商品選定は直営店の大きな魅力のひとつとなっているようです。3Dスキャン技術など、その場で提供できるサービスの普及により、商品のカスタマイズの幅が広がったこともサービスの質を向上させていると考えられます。

また、修理を含む全般的な相談やカウンセリングのための予約をおこなう企業も複数あり、来店予約によって、より顧客に寄り添ったサービス提供が実現しているといえるでしょう。顧客にとっても、一般的なスポーツ用品店ではなく、わざわざ直営店に出向くことで「特別感」を期待していると推察されます。

来店予約を導入しているスポーツ用品メーカー5選

実際に、直営店において来店予約を導入しているスポーツ用品メーカーのうち、特徴的な例をご紹介します。

ミズノ

「ミズノ」直営店のインソール工房では、専門スタッフが足型足圧を測定・分析し、動きやくせに合ったシューズやインソールを提案、またシューズ持ち込みでインソールのみの加工もしています。公式サイトで足形足圧測定・分析について詳しく紹介しており、所要時間や費用につても明記されているため安心感があり、予約のハードルが低くなるよう工夫されています。相談のみでの利用も可能です。週末や繁忙期は予約優先となり、専用補助パーツを複数組み合わせてカスタムインソールに加工するプランについては予約が必須となっています。

THE NORTH FACE

「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」では、東京と大阪の一部直営店舗において、3Dスキャンシステムを用いた「141 CUSTOM」というウェアカスタマイズサービスを実施しています。ウェブサイト内のシミュレーターで好みのアイテムを選択し、ボディやファスナー、ロゴなどのカラーをカスタマイズ。世界に一着だけの自分だけのアイテムをデザインしてから来店予約します。店舗で3Dスキャニングマシーンを使用し取得したデータに基づき生成される3Dアバターと3Dサンプルを使いながらサイズを決め、好みの生地なども選べます。

GIANT

スポーツバイクメーカー「GIANT(ジャイアント)」では、2024年3月から4月にかけ、第10世代にフルモデルチェンジしたトータルレースバイク「TCR」の試乗ツアーを開催。全国4会場で、先進のハイパフォーマンスなロードバイクを試乗体験できるイベントとなりました。事前予約優先となっており、複数の枠を予約することでバイクのグレードやサイズの違いも比較可能。イベント参加は有料ですが、ジャイアント正規取扱店にて3か月以内に対象のバイクを成約の場合、参加費がキャッシュバックされる形となっていました。

パタゴニア

登山用品をはじめとした多様な製品を手掛ける「パタゴニア」では、修理に特化した無料イベントを開催しています。イベントは予約優先となっており、ウェアの縫製修理、スタッフのサポートによるセルフリペア体験が可能です。

キャンプ場などでも開催されており、趣味として参加できるという楽しさも。修理だけでなく、トークイベントやクライミングフィルムの上映会、中古アウトドア用品の販売、クライミング体験など多彩なコンテンツが用意されており、顧客同士の交流の場としても活かされているようです。

チャコット

クラシックバレエやコンテンポラリーダンスなどの舞台衣装を中心としたサービスを提供する「チャコット」では、トゥシューズのフィッティング、メイク&シニヨン講習などのサービスに事前予約制を取り入れています。Webまたは電話で予約し、予約なしでの来店は断られる場合があります。プロから学ぶメイク&シニヨンについては、開催店舗まで電話で予約する形になっています。

ナイキ×ABC-MART

最後は直営店ではありませんが、番外編として。靴小売大手の「ABCマート」と「ナイキ」という有名ブランド同士で、2022年に開催されたコラボイベントの事例です。

トレンド「スポーツミックススタイル」に合わせたイベントで、参加者のボディラインの特徴や質感から骨格タイプを診断し、自身の体型をもっとも美しく見せるファションアイテムや似合うヘアメークを導き出すメソッドです。

診断結果から、店内で似合うアイテムを案内してもらえるというもので、所要時間30分程度という気軽な無料イベントとなりました。

まとめ

今回は「スポーツ用品メーカー」の直営店舗における来店予約について調べてみました。細やかな測定やフィッテイングサービス、実際の使用感を確認できることなど、対面店舗ならではの多彩なサービスが提供されています。混雑回避といった目的だけでなく、予約制導入は、事前に希望の種類や悩みを確認することもできるなど、サービスの質向上にも貢献していると考えられます。

試着や試乗によるフィット感や使用感、最新技術による測定、リペアによる質の維持などが重要となるジャンルのため、実店舗ならではのサービスによって、ファンやリピーターの獲得にもつながると期待されます。

加藤高士

様々な企業へCRMの導入支援を経て2012年4月株式会社ビジネス・アライアンスを設立。20年以上にわたり企業へマーケティング活動の支援を行う。マーケティングの視点から、予約ラボを通じて予約の可能性について研究を行う。

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