DX化の成功事例17選を紹介! 事例から見えてくる推進に外せないポイントも解説
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DX(Digital transformation)に取り組む企業が増えています。DX化の推進にあたって注意したいのが、DX化とデジタル化、IT化は似て非なるものである点です。DX化を成功させるには事例を参考にするとよいでしょう。この記事では、DX化の成功事例17選を紹介するとともに、DXの定義やポイントなども解説します。
目次
DX化に取り組む前に確認したいDXの定義
Digital transformation
DXを略さずに書くとDigital transformationとなります。デジタル、IT技術による変身、変革を意味する言葉です。この言葉自体はスウェーデンの大学教授が提唱した概念で、現在では世界中で使われています。
ただし、一般的にDX化と呼ぶ場合、単にデジタル化を推進するという意味で使われることは少ないようです。デジタル化、IT化の推進はDXが浸透する以前から行われています。紙の契約書や請求書からPDFに移行し、電子印鑑を利用するなどの取り組みが代表例です。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、出社する人数を抑えるためにテレワークを推進したり、対面での商談を避けるためにWEB会議システムを導入したりといった流れが加速しました。
しかし、このような取り組みはあくまでも業務の一部分について用いる手段、ツールを変えただけに過ぎないと考えられています。DXはこうした個別手段の変更ではなく、デジタル技術やIT技術の活用を通じた企業活動の進化そのもの、つまりは経営の変革を示すものです。
経済産業省ガイドラインによるDXの定義
日本では経済産業省がDXの推進に関するガイドラインを定めています。以下は同省が公表しているDXの定義の引用です。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。(※1)
少し長いですが、個別業務のIT化とDX化では大きな違いがあることがわかります。国として、DXはIT化やデジタル化をすることではなく、それらの技術を使った企業、経営戦略の変革と価値の創造・提供であることを示したものです。
※1 引用:【経済産業省】デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver.1.0 P.2 注釈1
DX化が必要なワケとは
DX化を取り巻く背景
なぜデジタル化、IT化だけではダメでDX化が必要なのでしょうか。アナログで業務を行っていた時代からデジタル技術の時代に変化したように、企業活動を取り巻く環境は常に進化しています。たとえば、スマートフォンの普及により消費者の購買行動が大きく変化しました。居場所を気にせず手軽に買い物ができるため、現在では商圏という概念が崩れかねない状態です。
また、少子化で労働力不足が本格化すると小手先の省力化では人手不足に対応できない恐れがあります。ところが、従来型のデジタル化やIT化といえば、部署や業務内容ごとに構築されたシステムで、ブラックボックス化が懸念されているものです。このままでは、さまざまな環境変化とそれによる競争激化の波に飲み込まれてしまいかねません。
つまり、時代がDX化を要請している状況です。しかも、あまり時間は残されていません。2025年の崖と呼ばれている問題があるためです。DX化が進まないまま2025年を迎えた場合、毎年最大で12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。
DX化に期待できるメリット
DX化を推進するメリットを簡単にまとめると、時代の変化に飲み込まれず、2025年の崖をクリアし、コスト削減や競争力アップを実現するということになります。もう少し細かく見ると、最初に挙げられるのが業務効率の改善による生産性の向上です。その前提となるレガシーシステムへの不安解消も大きなメリットだといえるでしょう。
生産性が向上すれば働き方改革も前進します。新ビジネスの創出にリソースを投入できるようになり、顧客の満足にもつながるなど、相乗効果を期待できる点も大きなメリットです。
DX化で外せないポイント5選
全社の意思統一を図る
ビジネスモデルや経営そのものの変革までを範囲とするDX化を推進しようとすれば、全社的な意思の統一が不可欠となります。一部の業務を改善するレベルの作業ではなく、経営の変革に踏み込んで全体の構図を変えてしまう可能性があるためです。わずかでも非協力的な部分があれば、計画倒れに終わってしまう懸念があります。
DX化を決断したら、末席に至るまで周知し、徹底した協力体制をとることが重要です。また、掛け声だけでなんとかなるわけではありません。DX化に向けた意思統一を図るためには、当然ながらトップが先頭に立ってけん引することが望まれます。トップ自身がDXについてわからなかったとしても、現場で全体を把握する責任者を介してでも積極的に関与する姿勢が重要です。
十分な時間を用意して素早く進める
DX化は目の前のツールを別のツールに入れ替えるといった単純な取り組みではなく、計画から実施、そして結果が出るまでに多くの時間が必要な取り組みです。レガシー環境の見直しと新システムへの移行は、広い範囲でさまざまな業務に影響を与えるため、緻密な計画と慎重な検討が求められます。企業規模や事業内容にもよりますが、DX化推進プロジェクトは数年単位で考えておく必要があるでしょう。
ただ、2025年の崖などの問題を考慮すると、それまでに結果を出しておきたいものです。そのためには、可能な限り早めに着手することで十分な時間を用意し、無駄なく素早く進めることが求められます。
しっかりした体制を構築する
DX化には多くの場合で専門的な知識が必要になります。DX化推進プロジェクトチームの編成などしっかりした推進・管理体制を構築し、人員を配置することが重要ポイントです。ただし、失敗しないためには配置するメンバーの人選に際して細心の注意を払う必要があります。
社内のIT化やデジタル化に携わった経験があるというだけでは、DX化に必要な専門知識を備えているとは限りません。個別の最新技術に対する理解はもちろんのこと、DX化そのものへの知見が求められます。2022年の時点ではDX化の仕組みに明るく推進に適した人材が不足しているともいわれており、人材確保が最大のポイントとなるかもしれません。この点からも早めの対応が重要だとわかります。
レガシー環境の刷新
日進月歩のテクノロジーにより、導入当初は最新であったシステムも旧式化が早まっています。また、既存システムのメンテナンスやサポート体制がいつまでも続くわけでもありません。セキュリティ面も含めた運用上の問題が生じるなどで、DX化に着手する前にリプレースが必要になるといった事態を避けるためにも、レガシー環境の刷新が急務です。
その際、多少の負担が生じたとしても、DX化によるメリットとDX化が遅れることによるデメリットを合わせて考えれば許容範囲だといえるでしょう。
検証と改善と余裕
DX化が何の問題もなく順調に進めばよいものの、何が起きるかわかりません。計画どおりに進んでいるか、意図した結果が生まれているかといった検証が必要です。ブレが生じていれば改善する必要があります。そもそも、DX化は競争で優位に立てることが大きな目標であり、相手がある以上「ここまで仕上げれば終了」というものではないため、ギリギリではなく余裕をもった体制づくりが重要です。
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DXを推進する国の施策と選定される成功企業
経産省と東証が選定するDX銘柄2021
国として企業のDX化推進をサポートする経済産業省では、DX化への取り組みにおける優良事業者を認定する制度を設けています。「DX認定制度」は、一定の条件を満たした事業者の申請により認定し公表する制度です。認定事業者となれば、DX認定のロゴマークを利用でき、DX投資促進税制や日本政策金融公庫による融資などの優遇を受けられます。
一定の条件は以下のとおりです。
Webサイト等の公表媒体をもって「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」であることが確認できた事業者を認定(他の事業者との比較は行わない)(※2)
また、同省では東京証券取引所と共同で、DXを推進しビジネスモデルや経営の変革に取り組む上場企業として、DX銘柄2021とDXグランプリ2021の選定なども行っています。DX銘柄として選定された企業は28社です。清水建設株式会社や東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ベネッセホールディングスなどの有名企業が並んでいます。また、28社の中からDXグランプリ2021として後述する2社が選ばれました。
※2 引用:【経済産業省】DX認定制度の概要及び申請のポイントについて P.5
DX注目企業2021
DX銘柄2021に選ばれなかった企業の中から20社がDX注目企業2021に選ばれています。注目ポイントは企業価値貢献への取り組みです。こちらも日清食品ホールディングス株式会社やANAホールディングス株式会社、三井物産株式会社などの大企業が並んでいます。
さらに、DX注目企業2021とは別にコロナ対応部門(計4部門)として製造・物流戦略部門のヤマトホールディングス株式会社やカスタマーケア部門の株式会社資生堂、業務効率化部門の株式会社大和証券グループ本社、そしてレジリエンス部門のサントリー食品インターナショナル株式会社など計11社が選ばれました。
選定企業はDX化における成功事例といえる
DX銘柄の選定企業はDX化に挑戦を続ける企業であり、期待されている企業とされています。このことから、選定企業はDX化で一定の成功を収めたことが国によって認められた企業だといえるでしょう。
DXグランプリ2021に選定された2社の事例
株式会社日立製作所
DXグランプリ2021に選ばれた2社は、同年の国内企業におけるDX化のお手本企業ともいえる存在でしょう。そのうちの1社がグローバルな規模でDX化に取り組んでいる株式会社日立製作所です。
茨城県日立市に所在し、新しいビジネスの創出に取り組んでいる大みか事業所では、2020年にWEF世界経済フォーラムのライトハウス(Lighthouse)、世界で最も先進的な工場に選出されたほどレベルの高い取り組みを長きにわたって続けています。同社のリリースによれば、「IoT技術やデータ分析などを活用し開発・設計から納入後の運用保守までを全体最適化する」(※3)取り組みです。
大みか事業所での上記取り組みは、Lumadaと名付けた顧客・パートナーと一緒になって新たな価値を創出するDXへの取り組みの一環でもあります。グローバル展開やDXサプライヤとしての実績なども含め、総合的に評価された結果のDXグランプリ2021選定です。
※3 引用:【日立製作所】ニュースリリース「経済産業省と東京証券取引所が選ぶデジタル活用の優れた実践企業「DX銘柄2021」において、「DXグランプリ2021」に選定
SREホールディングス株式会社
DXグランプリ2021選定企業のもう1社は、社長直轄のDX推進室を設置してDXに取り組んでいるSREホールディングス株式会社です。同社は2014年に創業した若い会社で、自社の事業である不動産仲介事業をスマート化するためのツール開発による生産性向上や、AIツールなどの外部提供を実施しています。
不動産業界だけにとどまらないAI SaaSプロバイダーとなることを見据え、金融や製造など多くの業界に広がる新たなAIモジュール創出など、DXの推進を続ける企業です。
DX銘柄2021等に選定された4社の事例
ソフトバンク株式会社
情報・通信業で唯一のDX銘柄2021選定企業となったのがソフトバンク株式会社です。「DXによる社会・産業の構築」を打ち出している同社では、基盤となる通信事業から新たな事業の創出に取り組んでいます。また、最新技術を活用したソリューションによる社会的な課題の解決への取り組みを推進しています。同社のリリースから、選定理由となった取り組みの一部を紹介しましょう。
・スマートシティ
東京の竹芝においてスマートシティの構築に取り組んでいます。5Gはもちろんのこと、IoTやロボティクスといった最新のテクノロジーを投入した取り組みです。
・ヘルスケアアプリ「HELPO」
グループのヘルスケアテクノロジーズ株式会社が提供するアプリです。健康相談にはじまり、薬の購入するECサイトやオンライン診療まで利用できるアプリを通じ、医療分野で予測される課題解決に取り組んでいます。
・社内でのDX推進
社員による業務のDX化推進を通じて得たノウハウなどを企業のデジタル化支援に活かすなどの取り組みを行っています。
出典:【ソフトバンク株式会社】プレスリリース「経産省と東証がソフトバンクを「DX銘柄2021」に選定」
日本電気株式会社
日本電気株式会社はDX銘柄2021に選ばれただけでなく、コロナ対応部門のレジリエンス部門でも選定されたW選定企業です。レジリエンスとは回復力のことで、新型コロナウイルス感染症拡大の中で、優れた「デジタル×コロナ対策企業」として認められたことになります。
DX銘柄2021の選定につながった取り組みとして同社が挙げているのは、生体認証技術など世界でも有数の技術によるDX事業や、社員が挑戦しやすい環境整備、DXサプライヤとしての全方位的な対応などです。
コロナ対応部門のレジリエンス部門での選定には、新たな働き方とビジネスの在り方についての提案や事例の提示が評価ポイントとなっています。この提案は、緊急事態宣言を受けて行われた6万人以上のテレワーク移行と業務継続の実現がベースとなったものです。
出典:【日本電気株式会社】News Room「NEC、「DX銘柄2021」および「デジタル×コロナ対策企業(レジリエンス部門)」に選定」
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社では、DXに加えてDI(デジタル・イノベーション)、DG(デジタル・グローバリゼーション)に取り組んでいます。
DX銘柄2021に選定されたポイントとして同社が示している取り組みは以下の3つです。
・デジタルイノベーション・チャレンジプログラム
デジタライゼーションをビジネスの変革につなげるためのアイデアコンテストです。
・RisTech(リステック)
RiskとTechnologyをミックスした「RisTech」は、保険会社が保有する事故データや取引先の保有データなどのビッグデータに加え、分析アルゴリズムを用いた企業の課題解決サービスです。社会課題にも対応範囲を拡大する方針を打ち出しています。
・プラットフォーム・プロジェクト
保険の申込機能をプラットフォーマーが展開する本業に埋め込んで販売する新たな販売モデルで、埋込型金融と呼ばれるカタチの構築です。※8
出典:【MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社】News Release「「DX銘柄2021」に選定されました」
出典:【経済産業省 / 株式会社東京証券取引所】「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」P.39
株式会社ワコールホールディングス
株式会社ワコールホールディングスでは、事業会社である株式会社ワコールが展開する「3D smart & try」などによりDX化を推進しています。「3D smart & try」は、身体計測や接客などで蓄積してきた独自のノウハウにデジタル技術をミックスすることで生まれた新たな接客サービスです。
ニュースリリースによれば、「3D smart & try」の活用や、伊勢丹新宿店など異業種との協業を行うことによる事業拡大への挑戦が評価されたとのことです。また、遠隔操作されたアバターが接客する「Ava.COUNSELINGパルレ」と名付けられたシステムを開発するなど、DXを進化させています。
その他の国内成功事例8社
株式会社鹿児島銀行
国内でDX化に成功した企業はDX銘柄などの選定企業以外にも多数存在しています。その中でも地方に根付く企業による地域DX推進の事例で注目されているのが株式会社鹿児島銀行です。独自のアプリ「Payどん」を使ったキャッシュレス決済サービスを展開し、地域住民のキャッシュレスデビューのサポートと地域の振興を図っています。
「Payどん」では銀行口座残高からの支払いと電子マネーとしての支払いが可能です。スマホがあれば利用可能という手軽さで使える店舗が増えています。さらに、観光拠点にもなる商業施設「よかど鹿児島」の開設も注目の的です。地域のIT戦略も見据えた「Payどん」をはじめとするキャッシュレス決済オンリーの運営に注目が集まっています。
大塚製薬株式会社
大塚製薬株式会社は、日本アイ・ビー・エム株式会社と共同開発した分析ソフト「MENTAT」などによるDX推進に取り組んでいます。
「MENTAT」は文字情報が圧倒的に多い精神科の電子カルテを整理・分析できるソリューションです。院内の匿名化サーバで個人情報を取り除き、暗号化されたデータをクラウド上で分析した結果を返すため、情報流出リスクを抑えたうえで、病院経営に役立つデータ利用ができます。「MENTAT」の展開を行っているのは日本アイ・ビー・エムとの合弁会社である大塚デジタルヘルス株式会社です。
日本交通株式会社
日本交通株式会社はタクシー配車サービスなど、先進のDX化を推し進めてきた歴史をもつ日本の代表的なタクシー会社です。2011年という早い時期からタクシー配車アプリを実用化し、他社の配車にも対応させています。
「全国タクシー配車」と呼ばれたタクシー配車アプリはその後、子会社のJapanTaxi株式会社が運営する「JapanTaxi」となりました。さらに、配車可能台数が10万台規模となった日本交通ホールディングス株式会社と株式会社ディー・エヌ・エーによるタクシー配車アプリ事業の統合を経て、JapanTaxi株式会社は株式会社Mobility Technologiesに商号変更しています。今後も進化を続けるDX事例として期待大です。
株式会社メルカリ
フリマアプリという分野を全国的に広めたことで知られる株式会社メルカリは、中古市場や個人間売買市場を大きく変貌させた点で見逃せないDX化に成功した企業だといえるでしょう。従来のネット上における個人間売買といえば、ヤフオク!に代表されるオークション形式が主流で、出品のハードルも落札購入のハードルも低いとはいえない部分がありました。
そこに登場したオンラインフリマサービスのメルカリは、スマートフォンを片手にユーザーフレンドリーなアプリのインターフェースを使って簡単に個人間売買ができるサービスとして、爆発的な人気を集めています。
日本郵政株式会社
日本郵政株式会社では、グループの主要4社について2021年度~2025年度の5年間で4,300億円規模のIT投資を行うなど、DX推進に取り組んでいます。
その中でも注目を集めているのが、傘下の日本郵便が試行している郵便配達におけるドローンの活用です。投資に先立つ2020年には、東京の奥多摩で個人宅への試験的な配達を行っています。通常20分程度かかる配達時間を10分程度に短縮できることが確認されており、大きな意味をもつといえる事例のひとつです。その他にもグループ規模でDX化を推進し、利用客の生活を支える存在を目指しています。
株式会社トライグループ
グループ企業とともに家庭教師派遣などの教育事業を展開する株式会社トライグループでは、0円で利用できる映像学習サービス「Try IT」を運営しています。スマホで参加できる「Try IT」の授業時間は約15分と短く、いつでも気軽に利用できるため学習機会の確保が容易です。永久無料で視聴できる授業は4,000本以上も揃っており、中高生のテスト対策に威力を発揮します。
また、ランキングで見知らぬ大勢のライバルや勉強仲間と競い合うことも可能で、学習意欲を高いレベルで維持するメリットもあるなど、教育分野のDX成功事例として見逃せません。
富士フイルムホールディングス株式会社
DX認定事業者でもある富士フイルムホールディングス株式会社ではグループのDX化を推進するためのDX戦略会議を設置し、All-Fujifilm DX推進プログラムを実施しています。業務プロセスの変革例として注目したいのが、2020年に新しく設立した富士フイルムRIPCORD合同会社による紙データのデジタル化サービスです。従来の人間によるOCR操作などと異なり、ロボティクスとAIによるセキュアでスピーディな作業が可能です。また、変換したデータの管理はクラウド上で、検索性の高いものとなっています。
株式会社JTB
日本を代表する旅行代理店として知られる株式会社JTBでは、地域DXの支援や訪日外国人旅行者向け観光支援アプリケーション「JAPAN Trip Navigator」の展開など、DXの推進に注力しています。地域DXでは株式会社セールスフォース・ジャパンと連携しており、「JAPAN Trip Navigator」は株式会社ナビタイムジャパンおよび日本マイクロソフト株式会社と協業で開発したものです。
海外企業の成功3事例
Netflix,Inc.
無店舗型経営から動画サブスクリプションへと映像コンテンツ販売において時代をリードするNetflix,Inc.は、DXのお手本企業とも呼べる存在です。日本においてはNetflix合同会社が活動しており、動画サブスクリプションの代名詞のように「ネットフリックス」「ネトフリ」が使われる状況を生み出しています。動画サブスクリプションサービスを提供する企業は多数ありますが、ここまで浸透したNetflixはDX化に大成功したケースだといえるでしょう。
Uber Technologies, Inc.
Uberといえば料理の注文・配達プラットフォームであるUber Eatsが高い認知度を誇っています。もっとも、Uberの本業と呼べるのは配車サービスです。日本法人のUber Japan株式会社では、Uber Taxiとして配車サービスを展開しています。
Uber Eatsで知れ渡った配達する側とされる側の両方にメリットのあるシステムがここでも使われており、登録してドライバーになれば、自分の都合に応じて仕事を入れて稼ぐことが可能です。競争上の優位性を確立するというDXの定義によく合っている事例だといえるでしょう。
Spotify Technology AB
Spotifyは数千万の楽曲をスマートフォンで気軽に楽しめる音楽配信サービスです。登録にクレジットカードの情報が必要ない点が使いやすさを高めています。有料会員だけでも億の人数をもつ世界最大級の音楽配信サービスであり、音楽を楽しむカタチを変えたとまでいわれるほどの成功例です。
DX化の事例に触れてイメージを膨らませる
DX化の取り組みを進めたい企業にとって、先発各社の成功事例は良質なお手本となります。事業内容や目的、DX化に期待する成果が自社とマッチしていないと思えるケースでも、ヒントになる部分があるかもしれません。いろいろな事例集の目次チェックもおすすめです。まずはDX化の事例に触れてイメージを膨らませるところからはじめてみましょう。