日時まで指定した事前予約制は少数派?【全国水族館の予約導入状況についての調査】
調査
INDEX
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、徐々に導入されている事前予約制や前売りチケット制度。さまざまな業界で予約制が導入されていますが、今回、全国の水族館を対象に、事前予約制の採用状況・購入方法・割引の有無などについて調査しました。
今回の調査では、前売りチケットと予約制の明確な違いがなかったため、予約制と前売りチケット制は同じ事前予約制として調査をいたしました。
<調査方法>
調査日:2022年9月9日~12日
調査対象:全国の水族館89施設
調査方法:各施設ホームページから予約方法を集計
目次
事前予約制を採用している水族館は28施設(全体の31.5%)
前売り券の販売・予約制を採用している水族館は、全国の水族館89施設のうち28施設(全体の31.5%)でした。
期間指定型の予約・前売りチケットが12施設(42.9% )
※日付・期間・日時指定の分母は前売り券・予約制の28を分母に計算
事前予約を採用している水族館のうち、期間限定の予約制の施設は42.9%、日付のみ指定が35.7%、日時まで指定した予約制は21.4% でした。
事前予約の決済方法
予約をする際の決済方法は、事前決済を導入している水族館が26施設と全体の92.9%と大半を占めました。予約から決済まで、すべての手続きを事前に終わらせる方法を採用している水族館が多いことがわかります。
事前予約チケットの購入方法
予約におけるチケットの購入方法は、ウェブのみでの購入が73.1%でした。
ウェブとコンビニの両方で購入できる11.5%を加えると、8割以上の水族館ではウェブで予約が完結できることになります。
事前予約の割引の有無
予約でのチケット購入にあたって、割引がある水族館は8件(28.6%)、割引がない水族館は20件(71.4%)でした。
事前予約に対して割引がないケースが大半を占めることは、当日チケットを購入する購入方法との差がないということになります。つまり、予約購入という方法が特別なものではなくなってきている(=予約が浸透してきている)と考えられます。
事前予約についての説明の有無
前売り・事前予約を導入している水族館のうち、なぜ予約制を導入しているかについてウェブサイト上で説明がある施設は12件(42.9%)、説明がなく予約チケット購入に進む施設は16件(57.1%)でした。
また、予約者に対して予約のメリットを示している点として、その文章の中身をまとめたものが以下になります。
事前予約についての記載がある施設のうち、「混雑回避」をメリットとして記載している施設は75%でした。
当日チケットを購入の可否
来館日当日にチケット購入ができる水族館は84施設と、全体の94.4%でした。
事前予約制を採用する施設は普及傾向にありますが、ほぼ全ての施設が当日でもチケット購入できることがわかりました。
まとめ
水族館での予約や前売りチケット制の導入率は全体の31.5%と比較的高い傾向にありました(前回調査の都内博物館は10%)。
▼関連記事
https://yoyakulab.net/research/museum_advancereservation/
また、事前予約していても来館の日時まで指定されているものは2割程度となっています。予約制の導入目的が混雑回避と考えるなら、予約時に指定できる範囲が狭いほど来館者の平準化を図ることが可能となるのに、来館日のみ指定、一定の期間を指定という広い範囲で予約できる施設のほうが多くなっていました。
つまり、決済まで済ませた事前予約によって入場券購入の列は回避することができますが、来館時間の集中は理論的には避けることができません。
一方で、日時まで指定した予約の場合、来館時間の集中を避けることが可能になります。それぞれの水族館の混雑状況や予約制を導入する目的を踏まえた上で、最適な仕組みを導入することが重要といえるでしょう。